色欲
『理想郷計画』の話をしている間にスキルオーブの解析が終了した。解析結果を見ると『暴食』よりも虫食いは少なかった。
『色欲』
■物を■わす権■
■能を刺■し他者を■のま■■操る■、自身も本■に思考を侵■され■■ることとなる
原初のス■■の1つ
「『色欲』ですか。『蟲の女王』が発動した『色欲』を『暴食』で喰らおうとしたら反発して喰えなかったんですが、これは原初のスキル同士だからですかね?」
「うーん。分かんないな。でもその可能性はあるね。そうなるとーこれを使って装飾品でも作るのがいいかもー」
「そうなんですか?」
「うん。レンレンの話がほんとーなら、原初のスキルは原初のスキルで防げるってことでしょ? 毎回、グラルで防げるか分からないでしょ?」
「そうですね…まあ東藤会長は怒りそうですが…まあ大丈夫でしょう」
「だねー。東藤センパイは困らせとけばいいんだよー。協会長なんだからねー」
と言うことで来栖に原初スキル装備を依頼することに決定した。今回も色々と改造しデメリット効果を軽減したいとのことなので、3日後に取りに来ることとなった。
「3日でできるんですね。流石です」
「まーね。がんばるよー」
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『理想郷計画』の動画は反響が凄まじく、世界中に拡散された。そのためその動画に名前が載っていた煉の元にも、計画に参加するのかとの問い合わせが相次いだ。優弥がSNSで参加の意思は無いことを発表したため問い合わせは無くなったが、一方で『理想郷計画』からのラブコールは続いているようであった。
「でもあの動画に映ってた人の中には結構有名な探索者もいたよね」
「いたな」
「しかも煉以外に載ってた参加候補者の中の人が昨日、参加を表明してたね」
「そうだな」
「条件がいいにしても有名探索者を引き抜くって相当だよね。『Ruler 』みたいに精神干渉系のスキル持ちがいるのかな?」
「さあな。思ったよりも国や協会、非探索者に対して不満を持ってる探索者が多いのかもしれない」
「そうかもね」
世間からはその筆頭は煉だと思われているだろう、という言葉を飲み込む優弥。煉がこの2ヶ月余りで受けてきた仕打ちだけを考えれば、不満が爆発してもおかしくないが、煉の側にいるからこそ分かるが、一切の不満を抱いていないのだ。
それは煉が優しいと言うのは勿論あるが、それ以上に国、協会、世間の声等に関心が無いのだ。不満の裏には期待があるとは良く言うが、関心が無い煉に期待がある訳がない。煉が不満をもつとすれば、煉のダンジョン探索を明確に邪魔してきてからであろう。
「『理想郷計画』から会いたいって来るからずっと断ってるけどいいよね?」
「俺が1つしかダンジョンの無い島に移住することはない」
「了解。あ、そういえばこの前のスライム種対策の動画、めっちゃ好評だったから、もしそれ系が撮れるタイミングあったらお願いね」
「わかった。来栖さんから装備を受け取ったら行きたいダンジョンがあるから、そこで撮れたら撮る」
『理想郷計画』は現状、煉の眼中にもないのであった。




