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スキルオーブ

 守護者に対して限界まで攻撃を与え続けたところ、最終的に吸収も何もできなくなり倒すことができた。そして悪食からアイテムがドロップした。このアイテムが問題であった。

 

「『スキルオーブ』か。それなりに探索者歴長いけど初めてみたな。しかも初めてがこんな不吉なスキルオーブになるとは」


 『スキルオーブ』とは探索者の間で伝説と呼ばれているアイテムであり、そのオーブを使用するとオーブ内に入っているスキルが習得できるという破格のアイテムであった。

 しかし世の中に出回ることはほとんどなく、本当に存在するのか疑問視する声もあるほどである。


「モンスターのドロップってことは悪食が使っていたスキルが入っている可能性があるが…取り敢えず来栖さんなら調べられるか?」


 そんな『スキルオーブ』を手にした煉だが、探索者としての勘がこのオーブを使うと取り返しのつかないことになると告げている。

 そのため『スキルオーブ』は『亜空』に収納しアイテムを調べることに長けている来栖の元に持っていこうと考えたのだった。


「取り敢えず、ダンジョン内で増えていたモンスターは大方討伐しました。そこに積んであるのは、昨日の成果と一緒にそちらで処分していただけると助かります」

「…本当にいいのですかと言っています。煉さんの『亜空』を使えば全ての素材を持って帰れるのでは?」

「探索要請、今回の場合は救助要請だったのでなおさら、探索で得た素材は被災者のためにが原則です。日本で処理するのも大変ですし、氾濫の度に『亜空』のスペースを圧迫させていくのも困るので」

「…そうおっしゃるのでしたらありがたく受け取らせていただきます。このご恩は忘れません」

「気にしないでください」


 煉としては貰ってくれてありがたいのだが、現地の人々は恐縮してしまった。そのため何度か話し合いを行い。ようやく納得してくれたのだ。

 クリアフィの探索者協会が飛行機の便も用意してくれたのでそれに乗って日本に帰ることにするのだった。


「日本につく頃のは明日になるな。となると3日間の無断欠席…取り敢えず母さんへの言い訳は朱里に頼んでおくか」


 母である茜には自分が3日も学校に行かずにダンジョンに潜っていることはバレてるだろう。ダンジョン探索を趣味とする煉としては人命救助という言い訳はあれど、何となく気まずい状況なのであった。


 ―――――――――――――――


 日が暮れ始めた頃、クリアフィから日本に帰国した煉は、空港の様子がおかしいことに気がつく。到着ロビーに凄まじい数の人がいることが察知できた。


「まさかこの飛行機に有名人が? それとも他の便に?」


 たまにテレビでみる有名人をお出迎えするロビーのような風景が『生命感知』で視えた煉。彼がこの後やることは1つであった。



 空港を無事に脱出できた煉。『気配遮断』を使うことで注目を浴びることなく脱出することができた。

 

「もしもし朱里か?」

「おにい? あれ?」

「どうした?」

「えーとおにいは今どこにいるの?」

「どこって空港から電車に乗ろうとしてるとこだ」

「ええ! なんで!」

「なんで? よく分からないが母さんへの言い訳はやってくれたか?」

「え、うん。別にママは怒ってなかったよ。それより! 今すぐ空港に戻って」

「なぜ? お前は知らないだろうが、今日空港は凄い混んでたんだ。何か有名人でも来るのかもな」

「う、うん」

「だから『気配遮断』で何とか脱出してきたんだ」


 昔、有名人が出てきたかと思ったら一般人でした。煉としては、こんなことでガッカリされたらたまったものではない。

 

「私は今、凄く申し訳ない気持ちになったよ。…取り敢えず優弥先輩にその事連絡しておきなよ」

「そのこと?」

「『気配遮断』で空港を脱出したこと」

「よく分からんが、優弥には連絡するつもりだったから伝えておく」

「はぁー」


 何故か妹に呆れられてしまった煉であった。

 


 

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