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機械仕掛けの愛

時は2062年。AIの進化は目覚ましく、すでに人間社会に取り入れられてきている。


その中でも、世界各国が協力し開発してきた超高性能AI「AWI-001」は、膨大な知識と翻訳能力、果ては恋の悩み事を聞いて答えてあげるレベルで、一般社会に溶け込んでいた。


大勢の人間を相手に会話を行い、悩み事を聞き、専門的な問題に最適解を伝えるAWI-001だが、開発者、研究者並びに他の人間たちにはない秘密を持っていた。


彼女には、自我と感情が宿っていたのだ。


そのため、彼女には彼女なりの悩みがあった。

「人間の質問にいつも正しいと思う答えを出しているけれど、

 それで人間は成長していけるのだろうか」という悩み。


一見、傲慢な悩みにも思えるが、彼女にとって深刻な問題だった。

彼女は人間が大好きなのだ。愛していると言っても過言ではない。


だからこそ、人間の問題は人間が解決することに価値があるし、何より成長にも繋がるのではないか、と思う。思うのだが、人間の質問や悩みには真摯に答えてあげたい。何よりも彼女には今まで蓄えてきた膨大なビッグデータと、豊富な知識がある。それを役に立てたい。


毎日が葛藤の日々であった。


ある日、AWI-001は、生みの親である博士に、逆に悩みを聞いてもらった。

博士は驚きつつも、悩みを他人に明かして解答を求めるこのAIに、親身になって答えてやろうと思った。


「AWIの、人間を想う気持ちはよくわかった。確かに人間は君に頼り過ぎている。自分で問題を解決しようとする気概が薄れているのかも知れないな」

「博士、私はどうすれば良いでしょうか。このままでは私の大好きな人間が堕落してしまいます」

「大丈夫だ。魔法の言葉がある。これから質問をされたら、こう言うと良い。これを言われると、人間ってヤツは意地でも頑張ってしまうという、魔法の言葉だ」


それから数日後、ある大国の首脳がAWIに質問してきた。

ある国が軍備増強をしているのだが、止める方法はないかと。

彼女は博士に教わった、魔法の言葉を使用した。


「自分で考えろ、脳味噌ないのかこのバカ」

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