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第3話・緑の大地と青い空

買ってきた雑誌のインタビューによると、こっちの世界では千影役の人のほうが結月っぽく、結月役の人のほうが千影っぽくて、よく「お前ら性格逆だろ!」とツッコまれるらしい。



こっちの世界ではどっちを推すべきか……



さて、千影役の人目当てで買ってきた雑誌だが、目当ての人とは関係の無い袋とじが付いていた。


せっかくだから開けて見ておきたいが、袋とじを上手く開けられずに破れて台無しにしてしまうというあるあるは回避しなければならない。


定規を使えば綺麗に切れると聞いたことがある。


しかし執筆にデジタルな方法をとるようになってから、定規を始めとする文房具全般をほとんど使わなくなった。


どこにしまったか部屋のあちこちを探しているうちに、いつの間にか袋とじが見事なまでに綺麗に開いていた。



……いや、まさかな。



ここまでの流れがあったとはいえ、さすがにヨーカイジャーが来て袋とじを切るなんてこと……



「また、つまらん物を斬ってしまった」


どこかで聞いたような台詞を呟きながら青い人がカラフルなデザインの剣を腰のホルダーに納めた。


やっぱり二度あることは三度あった!


えっと、ヨーカイブルーさん?


「いかにも。拙者は斬空妖怪カマイタチより力を託された、ヨーカイブルー・霧崎武士きりさき たけし


「流石は侍、袋とじカットたぁ粋な挨拶だな。俺ぁ長老妖怪メガガッパーから力をもらった、ヨーカイグリーン・河村智和かわむら ともかず


いつの間にか緑の人もいた。

変身解除した青の人は硬派な印象のイケメン、緑の人は細マッチョだけど顔は優しそう。


グリーンってことはあんたがリーダーだな。

さっきからヨーカイジャーの人達が次々やってきて、俺の小説にケチ付けたり、気になること言うだけ言って消えていったり。


「そいつぁ失礼なことしちまったな。仲間の無礼は俺がヨーカイジャーを代表して謝ろう。だがなぁ、あいつらの話じゃ、ケチを付けてるのはおめぇさんのほうだって話だぜ?」


あんたらの喋り方、異世界の人達っていうより江戸時代から来たタイムトラベラーって感じだが、そんなことはどうでもいい。


赤黄ピンクの人達と話してスーパー戦隊の知らなかったことがいろいろわかってきたけど、それでもまだツッコミどころはあると思う。


どうせ合体してロボになるのにわざわざバラバラのメカを作ってるとか。


「ロボ? メカ?」


侍にはわからないか。

えっと……巨大からくり人形?


「いや、拙者は現代を生きる侍故、ロボもメカも知っておるしスマホも使っておる。しかも5Gだ」


古風なのは喋り方だけか。


「ただ、ロボだのメカだのとは何の話であろうか?と」


ロボとかメカとか持ってないの?

じゃあ敵が巨大化したらどうすんの?


「拙者達のパートナー妖怪達が合体してムゲンオーという巨人となり共に戦う」


妖怪が合体!?

メカじゃないの!?


「巨大戦力がメカじゃないスーパー戦隊はけっこういるぜ。神様だったり精霊だったりメカっぽく見える生物だったり」


「カマイタチ達もメカと言われればメカに見えなくもないな」


メカじゃない奴らが合体するのか。

不思議だな。


でも確かに妖怪とか精霊とかなら「バラバラに作られた」というより「バラバラに生まれた」んだから最初から合体した状態じゃないのもわかる。


「戦隊メンバー自身が魔人に変身したり巨大化したりして合体するってのもあるぜ。魔法戦隊マジレンジャー先輩や機界戦隊ゼンカイジャー先輩なんかがそうだ」


乗って操縦するんじゃなくて自分自身がロボっぽくなるのか!!


「暴太郎戦隊ドンブラザーズ先輩なんて、合体してから巨大化したりしなかったりして戦うんだぜ」


人間サイズのまま合体して戦うこともあるのか。

シュールだな……


「それから、元々一つだった存在が事情によりバラバラになってるってパターンもある」


「恐竜戦隊ジュウレンジャー先輩の守護獣は、7体合体の究極大獣神が本来の姿」


そもそも合体じゃなくて分離ってこともあるんだな。


「元々一つじゃないメカだって、バラバラの状態と合体した状態を使い分けられるほうが戦術の幅が広がるし、戦闘以外のレスキューとか探索とかにも便利だし」


バラバラにもバラバラのメリットがあるんだ。

なるほどな。


じゃあその巨人とかを最初から出して敵を踏み潰さないのはなんで?


「ウイルスを踏み潰して病気を治せるか?」


ああ……


「戦うなら相手と同じくらいの大きさのほうがやりやすいし、余計な被害も出にくい」


確かに相手が人間サイズなのにこっちがデカいの出してたら、壊さなくてもいい建物とか壊しちまうかもしれないしな……


「拙者達は巨大戦の際、なるべく建物を壊したりせぬよう気をつけて戦っておる。敵を倒せても街を守ることが出来ねば何の意味も無い」


「一番の目的はみんなの命と平和を守ることで、敵を倒すなんてのはその手段でしかねぇからな」


戦いながら戦隊側のデカいのが人間を踏んじゃうことは?


「無ぇな」


「拙者達も巨人の中で気を配りながら戦っておるし、巨人となっておる妖怪達は拙者達より感覚が鋭い故もし踏みそうになれば避けられる」


「こっちの世界で放送されてる『作品』をちゃんと見たらわかるが、けっこう足元映ってるけど踏んでねぇんだ。ヒーローと協力してる人達が避難誘導とかやってる『作品』もある。踏まねぇようにしてるところと踏んでねぇところは映ってるけど、踏んでるところは全く映ってねぇ。実際踏んでねぇから当然だがな」


なのに踏んでるとか言う人達がいるのは?


「そのほうが面白いとか思ってんじゃね?」


「死人が出たほうが面白いとは笑止千万」


それも黄色の人が言ってた「夢が壊れて面白いとか思ってる少年の心を忘れない人達」が言ってるだけってことなのか……


「ハハッ、そいつぁ千影らしい言い回しだな。他人の落ち度を見つけて喜びたがる奴らは、どこの世界にもいるもんだ」


「しかも拙者達はヒーロー。常人以上に正しくあることが求められる」


「そのヒーローも実は正しくなかった、って思って安心したいから、人間を踏み潰してるとかよく考えないまま思い込んじまうのかもな」


政治家とかの発言の一部分を切り抜いてまでスキャンダルを作り出そうとする輩と似たようなもんか。


「そやつらは拙者よりもつまらん物を切っておる」


流石は侍、切れ味抜群のコメントだ。

戦隊側のデカいのが最初から出てこない事情はわかったけど、敵の怪人が最初から巨大化しないのは?


悪い奴らなら、余計な被害が出てもお構いなしに暴れられるんじゃね?


「死ななきゃできないやり方で巨大化してる奴らが多いな。死んだ怪人に悪の組織の幹部が術を使って巨大な姿で生き返らせるとか。俺達が戦ってる奴らもそうだ」


その術とかは死んだ怪人にしか効かないの?


「そう。そのタイプの悪の組織の幹部が、怪人を巨大化させるために殺しちまうなんてこともあった」


それは……ヒーローにはできないことだな。


「他にも、巨大化を最後の手段にするしかない事情のある奴らもいる。巨大化に使う薬が寿命を縮める劇薬だとか、巨大化したらどこにも住めなくなるからできればしたくないなんてのも」


深い事情もそれほどでもない事情もそれぞれあるんだな……とか思ったけど巨大化してどこにも住めなくなった自分を想像したらそっちも激重な事情だった。


ってかまた例によってヨーカイジャーさん達が薄くなってきてる。


「拙者達の世界へ帰る時間だ」


「どうだい? いろいろ話聞いて、それでもまだツッコミどころとやらを探すかい?」


うーん……うん! まだ何かあるはずだ!


「諦めない姿勢、おぬしもある意味侍か!?」


どの意味で侍だよ。

ヨーカイジャーってもう一人いるんだろ?

この流れで言えばその人もどうせ来るだろうから、とりあえず話聞いてみるわ。


「この不可思議な状況への順応性……やはりおぬしはある意味侍!?」


「もしくは妖怪?」


「妖怪侍!?」


新しいバケモン生み出してんじゃねえよとツッコもうとしたら消えた。


二度あったことに三度目があって、また知らなかったことを知ることになった。

それでもまだツッコミどころ、あるよな…………?




【to be continue……】

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[気になる点] 踏みつぶしはしなかったけど巨大ロボで等身大の敵に攻撃と言えばボウケンイ(轟轟音にかき消される発言)
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