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第3章14話 『茶会の顛末』

 紅茶をこぼしたシーツの処理は後にして、紅茶を飲んで一息つく。

「冷めちゃう前に」ということだが……

 シミにならないのかな、コレすぐに洗わないと。……まあいっか。俺は知らん。


 顔の横に少しかかってしまった紅茶をコッソリ拭う。ちょっとヒリヒリするな。火傷したかもしれない。



 ベッドに腰掛けてピトスが新しく注いでくれた紅茶を冷ましながら、チラッと彼女の様子を窺う。


「朝日様の戦闘指南、どうでした?」


「あれはもう、指南と言えるものではなかった気がする……」



「ところで、お茶菓子ないの?」

「ないです」


 そうして、紅茶を味わいながら、他愛もない雑談に花を咲かせる。

 ——その間中ピトスが顔に浮かべていた笑顔が、不思議と印象に残っている。




 ┈┈┈┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈┈┈┈┈




 ひとしきり話し込んだ後、ピトスはよしっ、と気合を入れて立ち上がる。


「そろそろ、仕事に戻らないとですね」


 扉に手をかけて、帰り際に振り返る。


「あと、鞭を使った体術の訓練、次からは私が教えることになりましたよー」


「え゛っ!?」


「明日の朝、起こしに来ますねっ♪」


 そして言い逃げ。



 ——ピトスさん、戦えるタイプのメイドさん……?




 ┈┈┈┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈┈┈┈┈




 ……あの後、紅茶をこぼしたシーツを回収し忘れたピトスが慌てて戻ってきた一幕があったことは言うまでもなく。


 嵐の様なお茶会だったが、少し元気が出た。ベッドから立ち上がり、机に向かう。

 それから、鞭の訓練を振り返っての反省点を挙げ、部屋に備え付けの紙に書き出してみる。

 沢山挙がった反省点を暗記して、常に意識する。


 もともとダメダメなのだ。これくらいはしなければ追いつけない。


 それから自分にとり得る戦術をシュミレートして、ひたすらイメージトレーニングを重ねていく。ひたすら、ひたすらに。圧倒的に足りない経験を、偽りの経験でかさ増ししていく。

 これからは、ひと時も無為に過ごす訳にはいかない。いっそ狂気的なまでの思考(試行)を重ねて、重ねて。

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