表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロスロード  作者: 睦月心雫
第8章 人魚の住まう海底都市トリトルン
89/119

玉を見つけよう

「やっぱり海の色が少し違いますよね。青と緑だからすごく違うわけではないですけど……」


隣でそう呟くグレーテルに「うん、そうだね」と言おうとしたらカーラがヒューッとこっちへやってきてグレーテルの肩に手をおく。


「うちらの海とこんなとこが同じだっていいたいのかい、坊や」


「ひっ!い、いえ、そんなことないです!」


「そうかい。ならいいけどね」

そういうと一つバシッとグレーテルの背中を叩くカーラ。

カーラはさっぱりしてて根にもつって言葉から一番縁遠い人に思われた。


今私たちは青の海の中、王都トリトルンって場所に向かっているところ。

国境付近からかなり遠くにあるらしくて所々休み休みみんなで一丸となって進んでいる。


そういえばこっちに来てからここの人魚さんを一度も見かけてないけど……


「ここの人魚さんも夜になるとでてくるの?」

不意にそういうとカーラは

「うんにゃ、違うよ」

という。


「まあ、なんだい。簡単に言っちまうとうちらの海は荒くれ者の海でここは貴族やら王族やらの住まう海なのさ。だからさ。貴族や王族は安全なお家に篭ってめったに外に出ないらねえ」


「そうなんだね」


「にしてもそんなことも知らないなんてねえ。泳ぎ方もなんだかおぼつかないしまるで人魚じゃないみたいじゃないか」

そんなカーラの言葉に私のみならず隣のグレーテルやタグ、セレナも目に見えてギクリとする。


「え、そ、そうかなぁ?」


「ああ。まるで地上の人間みたいだよ」


カーラの顔からはいつものニカッとした笑みが消えている。

ゴクリと唾を飲む。

どうしよう。別にバレてもいいかもしれないけどカーラや荒くれ者のみんなは青の海という部外者をこんなにも嫌ってる。

それが地上の人だなんて知ったら……

それに私は魔王の生まれ変わりだし


「なんてね。冗談だよ。なにを真に受けてんだい」

そういうと腹を抱えて豪快に笑うカーラ。


「ほんっとやってられないわ……」

セレナがポツリと呟く。


「大方、撫子の海あたりから来たんだろ。あそこの連中は他の海に興味もない完全自治区で情報も一切入ってこないっていうからねえ」


「そ、そうなの。私たちそこの生まれで」


「だろ?あたしゃ一目見ただけでそいつの生まれた海がどこかわかんのさ」

誇らしげにそういうカーラはなんというか……


「ちょろいわね」

「おい、セレナ!」


「カーラ、今のは」


「っとにちょろいもんだねえ。ほら、もう着いたよ。しかも表に警備もなにもない。こりゃいいね」


よ、よかった……カーラは違う方に解釈してくれたみたいだ。


「……ねえ、あんた」

「なんだい」

セレナの少し無愛想な問いかけもカーラは特に気にする風でもない。


「こんなに警備が手薄なのに、こうしてみんなで攻めるの初めてみたいね。みんななにかしらここの海に恨みがありそうなのに。それはなんで?」


「さっきも言ったけどあたしらは日頃毎日のように喧嘩ふっかけあっててね。今回みたいに部外者に話持ちかけられて、んでそれが全員にとって美味しいもんだったっていうような、こういう特別な時にしか団結できないんだよ」


「……ふーん」


「さてと……。とりあえず今日はここらで休むとするかね」


「はあ?目の前にあるのにここで立ち止まるわけ?」


「中でなにが待ってるかわからないだろ。ここには魔法を使えるやつも結構いるって聞くしね」


「……あっそ」


「……ほんとセレナは素直じゃないね」


「なんか言ったかしら坊主」


「いやなにも」

そんな会話を聞いて私は悩んでたことも束の間忘れて微笑んでいた。








「んで、玉ってのは一体なんなんだい」

そういうカーラに私は若干の苦笑いを浮かべる。


本当のことをいってはいけないんだろうけど私嘘つくの下手だからなあ。

と思っていたらスッとタグが隣に来てくれる。


「一回いったけどすごく値打ちのする宝石みたいなもんだよ」


「ってえいわれてもイメージわかんないだよねえ。ここに集まったやつら全員で山分けできるくらいには値打ちもんってことでいいのかい」


「そうだね。いいと思うよ」


「そうかい。」

そういうと穏やかな笑みを浮かべるカーラ。


「で、あんたらは恋仲、なんだろ」

次の瞬間ニヤリとしてそういうので私もタグも動揺してしまう。


「そ、そんな」

「べ、べつに」


「いやあ、初々しくていいねえ。あたしはもうこんなんだしなんだか懐かしいよ」

そんな言葉に

「カーラにもそういう人がいたの?」

と尋ねる。


「ん?まあねえ。昔はねえ。」

そういって遠くを見るような目をする。


「もう何もかも変わっちまったよ」

まるで独り言のように寂しそうにそういうとすぐに

「さ、そろそろ寝な。明日にはトリトルンへ突入するからね」

という。


私はまだお話してたいなと思ったけどカーラは今すぐにでも寝たいようだったので「うん、おやすみ」そういって目を閉じた…….。







次の日。


「……んん……」

目を覚ましてから大きく伸びをしようとする。けれどなぜか腕があがらない。

なんでだろう?ボーッとした頭でそんなことを考えていると手首になにかヌルヌルしたものが触れていることに気づく。

慌てて手首をみればわかめで硬くしばられている。

しかも口には布かなにかがまかれていてうまく息ができない。


どうしよう?

これって……

辺りを見回すと近くにタグ、グレーテル、セレナも同じような状態でぐったりとしていた。

カーラたちは……


「その子らを運びな!」

そんな勇ましい声にハッとすればカーラがすぐそこにいて荒くれ者さんたちになにか指示を出していた。

カーラ、助けてと言おうとするけど口元の布のせいでうまくいえない。

不意に近くにやって来た荒くれ者さんにヒョイっと持ち上げられる私。


……運ぶって私たちのこと?

じゃあ、これは……カーラが?



不意にカーラの顔に遠目にもわかるくらいに残忍な笑みが宿った。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ