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謀略系(?)の主人公の物語を書きながら、一方で著者はアクセス数を減らす為に、謀略を張り巡らす事をしていなかったのではないか? その為、今も増えてしまっているアクセス数に諦めたと言いつつ、諦めてきれていないのではないか?


なら、最後の案でこんなのはどうだろう?

この前置きが書かれている場所に、本編を偽り気分が盛り上がったところでBL小説さながらのアッー!な展開を繰り広げて読者の戦意を削ぐというのは?


こんな事を考えるのが私の著者としてのキャラ作りな気がしてきました。



 さて、今持っている情報を整理しよう。

 まず王太子とヒロイン役(偽)は次兄の本当の仇だ。

 ヒロイン役(偽)が本来の流れから外れて、学園に早く入学する事になった為に『お助けキャラ』である侯爵子息が最前線にやってくることになった。

 王太子は入学当初からヒロイン役(偽)に誑かされ、少しでも仲良くなった男子生徒を学園から追い出していた。その煽りを受けて『お助けキャラ』が最前線にやってくる事になったという経緯がある。


 これだけであれば、ヒロイン役(偽)を仇という事は出来ないし、『お助けキャラ』も完全な被害者だ。

 だが、戦場へやってきた『お助けキャラ』はヒロイン役(偽)に良いところを見せる為に自分の意思もあってやってきていた事は既に調べがついている。


 つまりヒロイン役(偽)は『お助けキャラ』も誑かしていたという事だ。もう完全なビッチだよ。

 結果として侯爵子息という立場の『お助けキャラ』が戦場で暴走をして、立場的に放置する事が出来なかった次兄が煽りを食らったという訳だ。


 この馬鹿王太子とヒロイン役(偽)のビッチは楽には殺さない。死ぬより苦しい罰を与える事が決定している。


 次に本物のヒロインであるクリスティナ嬢の姉で、立場として『悪役令嬢』となるローズ様だ。

 彼女は我が家の為にも、私の為にも助ける事が決まっている。


 邪魔をする者は当然排除だ。乙女ゲーに似通った世界であるなら腹黒キャラが抜けていると思っていたから丁度よい。

 眼鏡ストーカーがその役割をしそうな気もするが、奴では役不足だ。早々に私が奴の後を継ごうと思っている。もちろん馬鹿王太子の取り巻き役はノーサンキューだがな。


 という訳で本格的に1人さっさと舞台から退場願うことにした。


 方法は簡単だ。未だに自分がストーキングされていると気付いていないお馬鹿なヒロイン役(偽)のビッチに、こっそり知らせる事だ。

 全年齢対象っぽいけど、まあ1種類しかゲームをしていないって事は少ないだろうし、ネット小説でもいろんなパターンがあるから、敢えて監禁エンドっぽく演出してお知らせしてあげる事にした。


 翌日から明らかにヒロイン役(偽)の挙動がおかしくなったが、馬鹿王太子は1週間はその事に気付かなかった。

 うん、計画に時間的余裕を持たせておいて良かった。


「最近のご様子を見ている限り、あの方々も本気でやりかねないと思えてきますわ」


「しっ! 本人に聞こえますわよ」


 学園の女って怖ぇぇぇぇって思える程度には、わざとヒロイン役(偽)に聞こえるように噂をしてくれる。噂の大元を流したの私だが、その後の広がりに私は一切手を加えていない。


「それって、束縛?」


「もうそんな生易しいものじゃないと思うわ。監禁って言葉があっているかもしれないわ」


「えぇ、あの方が自分が預かっている直轄地に別荘を建てているのは有名なお話ですからね」


「なんでも既に完成はしているらしいわよ。あの方が完成を急がせたとお聞きしましたもの」


 これについては、ちょっと馬鹿王太子の傍で囁いただけだ。「気が滅入っている相手には息抜きに連れて行くのが一番だよな」「あぁ、別荘なんて最高だろうが、俺たちでは手が出ないな」と学友たちを使いつつ、王太子がいる食堂で囁いただけだ。


 ヒロイン役(偽)を監視している者たちからの報告は上々だ。

 「え? これって別荘地に監禁されるってこと? そんなイベント無かったのに」「もしかして違うゲームが混ざってるの?」「ヤバイ。王太子から別荘地に誘われた。監禁されちゃう………みんなに色々されちゃう?」

 そんな感じで頭の中は既にR15すら通り越してしまったようだ。


 ここで放置すれば、実際にR15の範囲では賄えない展開になりそうな気がするので、ヒロイン役(偽)にもこっそりアドバイスをする。





「あなたは誰です? 我が家に何のようがあって参ったのですか?」


「これは未来の王妃様。突然の訪問の無礼をお許し下さい」


 ヒロイン役(偽)が夜会へ参加する為に王都の屋敷へ帰っている時を見計らって訪問するように商人を用意した。ヒロイン役(偽)の名前はあまり出さないので再度伝えておくとユリア=アトルディで一応子爵家のご令嬢だ。

 ちなみにアトルディ子爵当主は、屋敷にはなかなか帰らない。別邸がある。理由は察してくれ。


「へぇ~。商人としては鼻が利くのね」


「はい。未来の王妃様との縁をお繋ぎしたく声を掛けさせて頂きました。そして、旅行にお出かけという事で、役に立てる物をお持ち致しました」


 そうして商人はいくつかの女性用品と薬を差し出す。


「王太子殿下がお荷物をご用意させているとは思いますが、こういった気配りは苦手のようですので、是非ともお納め下さい」


「確かに王宮の侍女たちが用意してくれるでしょうけど、こう言ったプライベートな物は確かに必要よね」


 そう言って、女性用品よりも薬の方に手を伸ばす。その薬はアトルディ子爵当主もご利用頂いているのは確認済みだ。そして、やはりその薬が何かを理解しているようだ。


「如何でしょう? お受け取り頂けますでしょうか?」


「えぇ、良いわ。受け取りましょう。あなたのお名前は?」


「はい。ランカークス家の御用達をさせて頂いております。本日はあくまで顔見せでございます。名前は次回、より良い物をお持ちした際に覚えて頂ければと思います」


「そう。なかなかに謙虚なのね」


 ランカークス家とは眼鏡ストーカー君の家名だ。もちろん、手配した商人は御用達でも何でもない。


「そちらの荷物は何かしら? 結構大きな物のようだけど?」


「こちらは別のお客様の荷物でございます。王妃様となられるような方には不要の物でございます」


「一応、後学の為に見せて頂けるかしら? 気に入った物があれば次回の土産にして貰いたいのだけど」


 さすがはヒロイン役(偽)のビッチである。子供が出来ないようにする為の薬を持って来た事で、商人が何を扱っているかしっかりと理解したようだ。


「では、お目汚しになりました際はご容赦下さい」


 そう言って商人は荷物を、付き人が数人がかりで開封させるように指示を出す。 私はこの数人の付き人の中に紛れ込んで様子を見守っている。


「これは一体?」


「はい。所謂、特殊な趣味をお持ちの方のご依頼の品です。主に女性を逃がさないようにする為に用いられる事が多く………。未来の王妃様にはお耳汚し大変失礼ではありますが、貴族男性にこのような趣味を持つ者が多くございます」


 遠まわしに監禁用品ですよ。と説明する。


「へ、へぇ~。こ、この品はどなたの御所望した品なのかしら?」


 上手く伝わったようで、ヒロイン役(偽)ビッチの顔色が悪くなる。


(わたくし)も商人でございますので、ご依頼者のお名前を申し上げる事は出来ません」


「そ、そうよね」


「お荷物はガルドレイクの街に食料1か月分と一緒にお届けする事になっておりますので、次回、土産をお持ちできるのも1ヶ月以上先になってしまいます。申し訳ございません」


「商人が忙しいのは良い事だわ。次回の土産も楽しみにしています」


 そうして突然に来訪したにも関わらず、商人を受け入れたヒロイン役(偽)との面会は終わった。うん、普通疑って家になんてあげないよな。賄賂が門番や執事に通じるってどんだけだよ。


 まあ、これで全ての種まきは終わった。あとは勝手に収穫されるのを待とう。





 その後、種まきを終えて収穫されるまで1週間と掛からなかった。

 まあ、それとは別に貴族が種まきなんて表現したら、別の意味になりそうだ。次回から使わないようにしよう。


 ヒロイン役(偽)と商人が接触してから2日後には、王子ご一行が貴族専用のリゾート地でガルドレイクという湖がある王太子の直轄地へと、学業をサボってお出かけになられた。

 もちろんそれに伴って掛かった費用はバッチリ横領だ。証拠も押さえてある。


 王太子は行き先をヒロイン役(偽)に知らせずにサプライズにしようとしていたようだが、それが本当にサプライズになったようだ。

 ちなみに、王太子たちがサプライズにしようと計画しているのを知っている。むしろ本人たちが人がいるところでも関係なしに相談していたから、学園のみんなが知っている。やはり知らないのは本人だけだ。


「聞きましたか? あのお噂」


「えぇ。王太子殿下の取り巻きで宰相のランカークス家のご子息が背任の容疑で国外追放されたとか………」


「私は教会に預けられて罪を償っていらっしゃると聞いていますわ」


「ご病気で領地にお戻りになられたと私はお聞きしましたわよ?」


( えぇ、本当は今王城の地下に幽閉されていますのよ。おほほほほ、とか言えたら楽しいのに……… )


 そう思いつつ噂話に耳を傾ける。


「おい、聞いたか? とうとう馬鹿王太子たちが仲間割れを始めたって」


「あぁ、そのせいで宰相の息子が幽閉食らったんだろ?」


「これで王家と宰相の間に亀裂が入っちまったな。このまま卒業後に兵士になるにしても騎士になるにしても、権力争いに巻き込まれそうだからな。田舎で衛兵にでもなった方が良さそうだ」


 学友たちは正確な情報をしっかり掴んでいるようだ。そしてまともな判断を下せるようで安心する。


 事の顛末を説明しておくとこういう事だ。


 王太子が用意した別荘地はガルドレイクという土地にあり、ヒロイン役(偽)に知らせずに旅行へと連れ出した。

 ヒロイン役(偽)は事前に『眼鏡ストーカーの家』が関わって『ガルドレイクに監禁道具と一ヶ月は持つ食料』という情報を与えておいたので、到着した後は、あら不思議。


 何故かヒロイン役(偽)が悲鳴を上げて逃げ回ったではありませんか! しかも、眼鏡ストーカーに監禁されると叫んで!


 ガルドレイクは貴族たちの間では有名な避暑地だ。当然宰相の身分であるランカークス家も別荘を持っていた。しかも地下室付き。

 事前に地下室へ監禁道具を運び込んでおいたので、真偽の確認で兵たちがランカークス家の別荘に踏み込むと、またまた不思議な事に証拠らしいものが出てきてしまう。


 その場で眼鏡ストーカーは拘束され、当然ご旅行は中止。王太子は大変ご立腹で処刑まで騒ぐ始末。


 結局、眼鏡ストーカーが王太子の寵愛を受けるご令嬢を監禁しようとした疑いで王城で幽閉。王家と宰相家で騒ぎになりましたとさ。めでたしめでたし。


 私も報告で聞いただけなので、詳しい部分までは分からない。

 とにかく、眼鏡ストーカーの排除と国内の混乱とヒロイン役(偽)への嫌がらせが同時に出来た素晴らしい成果を上げた。


 そして残念な事に、私個人で使える手は今はこれだけだ。次に機会があるとすれば、卒業直前の学園のイベントだ。

 それまでは社交界と学園の2重生活苦が続く………。



-後書き-

















ここネタが書かれない事が敢えて新鮮に感じるようになったら、それは飽きが来ている証拠です。

他に素晴らしい小説との出会いがあなたを待っています!


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