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sideとある学友

このドS共Ꮚ・ェ・Ꮚ メェェェェェェェェ


あ、この話の前半は、読まなくても問題ありません。物語のダイジェストみたいな感じですので!


sideとある学友


 私はそこそこ格式のある家の貴族として生まれた。

 だが、上には既に兄が3人いた。当主にも予備にも政略結婚にも使われる事のない4男だった。


 ここで頭が良ければ、どこかの婿養子として当主としての道もあったのかもしれないが、私は考える事が苦手だったので剣に生きる事にした。

 今思えば、少しでも多くの事を学んでいれば、この結末はなかったのかもしれない………。後悔しても、もう遅い。私は……れたのだから………。





 剣の道だけを目指したからには当然、女っ気のある生活にはならなかった。家にいた頃には家の侍女たちにも相手にされない始末。

 ただ、最後の希望に賭けて、王都にある高貴な者の集まる学園へ入学する事が出来た。


 だが現実は非情だ。学園は夢と幻の国だった。

 この学園に通う自称お嬢様方は、口を開けば害虫や底辺と蔑みの言葉を吐き、その目は愚か者を見るような濁った瞳をしていた。

 見た目が良いだけに、遠くから見てる分には夢が見れた。ただ、近づくと消える幻だ。


 私が配属されているクラスは騎士や兵士を目指す者が集まる。私と同じように家として価値のあまりない者たちが集まる場所だ。

 それも半年もすれば、そのクラスも悪くなかった事を知った。

 我が国の王太子殿下が、次々と男たちを学園から追いやっていたのだ。理由は、自分が寵愛する者と話をしただけだというから恐ろしい。本当に王太子と関わるようなクラスじゃなくて良かった。


 学園に入って1年もすると蔑みの瞳にも慣れるようで、むしろ程よいスパイスと思える程度には自分たちの立場を自覚した。

 そんな最底辺のクラスに編入生の知らせが入った。まあ、期待したが裏切られるというのは当たり前の事で、ここは騎士と兵士を目指すクラスだ。当然男しか入ってこないよな。

 入ってきた奴は最初はつまらない奴だと思ったが、いきなり王太子に呼ばれても無事に戻ってきた。さすが戦場帰りは違う。

 そして、そいつから馬鹿王太子の単純さを学んだ。あいつは俺よりどうやら馬鹿らしい。そんな情報を持ち帰ってくるとは良い奴だと思った。


 またしばらくするとご令嬢がたびたび編入生を尋ねてくるようになった。狙いは編入生の寄り親の家の次期当主様らしい。

 社交界では『仮面の貴公子』と呼ばれている。本物の仮面をつけた痛い奴らしい。編入生はそれに付き合わされて仮面を付けているらしいので同情する。


 馬鹿王太子が定期的に馬鹿をやらかす以外は概ね平和が続いたが、卒業間近になって、編入生が王太子の取り巻き筋肉ダルマと決闘する事になった。

 結果は授業にも出ずに女の尻を追いかけていた奴が、戦場で生き残るような腕の持ち主に勝てるわけもなく、瞬殺だった。

 


 

 

「お前たちは卒業後は軍に入り、反乱軍との戦いに参加する事が決まった」


 翌日の学園で、そう教師に告げられた後は教師すら学園に来なくなった。馬鹿王太子が取り巻きの筋肉ダルマを殺したらしい。

 それで何故、我々が戦争に行く理由になるのか分からない。クラス全員は田舎へ行って衛兵にでもなる予定だった。


「私はラインバルト=リステル。この国に反逆する者の名だ!」


 完全に私たちのクラス以外に人がいなくなったんじゃないかと思える学園で、姿を消していた編入生が寝言をほざいていた。

 当然、私たちから批難を浴びせると卑怯な手段を使ってきた。


「私がラインバルト=リステルと信じるのであれば、直属の部下に加えて、お嫁さんの面倒も見てあげよう!!」


 私はその言葉に知らぬ間に雄叫びを上げていた。戦場の最前線に行くかそれとも嫁さんを貰う選択肢など選択肢ではない。

 私はこの日から、奴を親友と思う事にした。

 ただ、誤算だったのが、本当に反逆首謀一家の次期当主だった。本当にこいつは何がしたいんだ!?


 その後は流されるまま、卒業パーティーで明らかな無実の罪を着せられた馬鹿王太子の元婚約者を追放する為の護衛に選ばれた。

 まあ、こっちはその事を利用してそのまま逃亡する予定だ。

 編入生の話では、現場で口封じに殺されるか、戻ってから罪を着せられて殺されるしか選択肢はなかったようだから、これも選択肢とは言えない。


 移送中に近衛騎士が途中で馬鹿みたいに計画を話しながら、国境へと向う。私も頭は良くない方だと思っているが、さすがにこいつらよりはマシだ。

 さすがの私でさえ、近衛騎士の計画を聞いて虫唾が走った。護衛部隊に紛れ込んだ編入生から物凄い殺気が出ていたのは正直少しびびった。


 馬鹿な近衛騎士が計画を実行しようとすると、即座に動き出した編入生によって一瞬で全滅させられていた。授業中でも見たこともない速さで剣を振るっていたのには本気でびびった。

 その後は編入生の告白現場を見せられるわ………惚れ合っている恋人同士のような会話を聞かされるわ。散々だった。

 まあ、その後には約束を再度守る事と給料の前払いをしてくれるというので、その事は水に流した。


 あと1ヶ月ほどで念願の恋人が出来るかと思っていた時に、学友たちの中から裏切り者が出た。しかも2名だ。

 何かとても清々しい感じで話をするようになって、我々との間に亀裂が入ったが、その後1ヶ月も経たないうちにどんどん衰弱していく様子を見て、我々の学園での聖書を思い出すきっかけをくれた。

 彼らの死は無駄にはしない。


 反乱領地となっているリステル領に到着すると正式に次期当主の直轄の部下として配属された。

 最初に街に入った時は、街の女性に手を振っても不審な顔をされていたが、隊服を身に纏ってからは街へ行けばどこへ行っても歓迎された。

 まあ、囲ってくる女性たちは、我々の聖書の教えが危険だと教えてくれたので、素直に従って無事、高貴な血筋のお嬢様を紹介頂ける日を迎える事が出来た。学園生活も無駄ではなかった。


 私は中立派のレルッゾ子爵家の生まれであった。紹介していただいた高貴な血筋の方は、実家のレルッゾ子爵家の寄り親のご当主様だったのには驚いた。驚きすぎて少し記憶が曖昧だ。

 それでも紹介された5名のお嬢様は本当に綺麗だった。学園のご令嬢など、そこら辺の石と変わらないくらいだと思える程だった。さすがは美人に目がないと噂の『駿馬の若様』だ。あれ? 暴れん坊将軍に改名したんだっけ?





 その後の事は思い出したくもない………。是非にと思ったお嬢様には目すら合わせて貰えず。他の学友(ライバル)たちと楽しく話す姿を眺めるしか出来なかった。

 仕える事になったリステル領へ戻っても、すぐに同じレベルのご令嬢は紹介が難しい為、素直に娼館で人生を謳歌しようか悩んだ程だ。


 仕えるべき(あるじ)であり、元学友にはコキ使われ、現当主の愛人の館で、立場の違いを見せつけられた………。

 完全に心が折れそうだった。


「クワー。ここに居たのか探したぞ」


 そう私に声をかけてきたのは我らが(あるじ)にして、臆面もなく恥ずかしい台詞を吐いて、公爵令嬢を口説き落とし、さらに別の女性まで遠慮なしに口説き落とす節操なしで、さらに次期当主のせいか領民のみならず、屋敷内の侍女、さらに先日父親の愛人にさえ囲まれていた。今だ婚約者どころか恋人すらいない我らの敵の『仮面の貴公子』であった。


「昨日の働き助かった。これはお前だけへの褒美だが、来週の休みにご利用出来る高級娼館での夢のひと時か、地位は高くないがとある貴族の未婚のお嬢様とのお見合いか、どっちが良い? あぁ当然、学園内にいた令嬢たちじゃないぞ。我が領の者だ」


 己の不甲斐なさを棚に上げて、絶対の忠誠を誓う(あるじ)に対して裏で非道な感情を抱く愚か者たちと違う私が、高貴で気高い(あるじ)に認められた事を誇りに思う。これからもより一層の忠誠を誓おう。

 そして、私は選択肢は当然決まっていた。


(だが、この時の選択が運命を左右するなんて当時の私には知るよしもなかった。)

  

 運命の選択をしてから3日後に、私の誇り高い(あるじ)より手紙を手渡された。どうやら、相手のご令嬢からの手紙らしい。

 そこには控えめに可愛らしい名前と『たのしみにしています』との簡潔な内容が記されていた。

 手紙には花の香りがついていた。それだけでも心が踊る気分だ。

 今回は他の学友(ライバル)たちはいない。私の為だけに会いに来てくれるご令嬢がいるのだ。


 次の手紙は2日後に届いた。やはり花の香りがする手紙だった。

 控えめな可愛らしい名前と共に『予定より2日はやく着きます』とだけ書かれていた。

 その予定日は合同訓練の日であった為、臨時休暇の申請は許されなかったが、本来の日のお見合いの日と合わせて連休をとる事を許可された。

 さすがは私が絶対的な忠誠を誓うべき(あるじ)だ。


 その翌日にも手紙が届いた。手紙の頻度からこの街に近づいてきているのが分かる。やはりいつも通り安心する花の香りがついていた。

 今回はあの可愛らしい名前の記載はなく『夜に会いにいっても良いですか?』と書かれていた。

 次の日、あまりの出来事に返事を出す事が出来なかった。………気が付いたら、訓練でミスをして気絶してしまっていたらしい。

 何とか我が(あるじ)に取り成しをして貰い、伝令兵に訓練と称して翌朝早くに手紙を出してくれるよう手配してくれた。今後いかなる場合であっても、この(あるじ)を裏切るなんて絶対に出来ない。


 私が出した手紙と入れ違いになる形で新たな手紙が届いてしまった。その手紙にはいつもより少し強い花の香りがした。それだけ近くにいるという事が分かる。

 最初と同じように控えめな可愛らしい名前と『あいにいきます』と簡潔な内容が記されていた。

 入れ違いになった手紙にも『早く会いたい』と書いたので、すれ違っても思いは同じだと運命を感じた。

 その日の合同訓練は気合が入った。いつもは勝てないような相手にもなんとか辛勝ではあるが勝つ事が出来た。これも愛ゆえか。





 こんなに時間が経つのが長く感じた事はない。本来は明日に彼女を待つ予定だった宿を一晩早く借り受けた。

 もしもの時の為に、私が真に忠誠を誓う(あるじ)が手を回しておいてくれたらしい。本当に部下思いの(あるじ)の心配りには感謝してもし足りない。

 

 そんな(あるじ)がこんな事を話していた事があった。

 楽しいと思う時間は短く、苦しいと思う時間は長く感じるのだと、確かに訓練の時はそのように感じた。実際の戦場ではもっと時間を長く感じたのだろうと思うと、戦場に立っていた尊敬するべき(あるじ)は本当に優れた人物だと思う。


 今、彼女を待つ時間は長く感じるのは苦しいからだろう。これは彼女を思っての苦しさであるなら、耐えられる苦しさだ。

 そんな事に考えていると、私の部屋の扉をノックする音が聞こえた。その扉の奥に人の気配を感じる。これも訓練の成果かと思うと、感動も一入(ひとしお)だ。


「メ、メリーです。今扉の前にいます」


 扉の奥にいるノックをした本人は、手紙に会った控えめで可愛らしい名前を口にして、そこにいる事を告げる。

 緊張しているのか、自身の名前をいう時につまったところも可愛らしく思う。


 焦らずに返事をするとゆっくりと扉へと向う。その扉の向こうから、手紙と同じ花の匂いがした。手紙の彼女に間違いない。そう思うとつい勢いよく扉を開けたくなるが、必死に気持ちを抑える。


「今、扉をお開けします」


 私は深呼吸しながら扉を開けると、そこで一度意識を失った………。





 私が意識を取り戻すと、胸の辺りにやわらかい感触と、花の香りが口元を掠めるが、まだ意識はハッキリとしていないのか身体が上手く動かない。

 耳元には暖かな吐息が掛かるのが分かり、彼女の声が聞こえる「気付かれましたか?」と………。どうやら私は何かトラブルで倒れてしまったらしい。緊張していたとは言え、途轍もない失態だ。


 なんとか返事を返そうとするが身体は何か柔らかいものに包まれている感触がする。その感触にせいか、視界がはっきりとしない。

  

「メリー様、申し訳ございません。ご迷惑お掛けしました。視界がはっきりとしません。どちらにいらっしゃいますか?」


 ぼんやりとした輪郭と花の香りからすぐ近くで心配しているのだと思い、精一杯強がって返事を返した。



 


 「私、メリー。今………」





 「あなたの、上にいるの♪」




-後書き-


おぃおぃ。何を言っているのか私には分からない。

全て秘書がやった事だ。私は無関係だ(=´ω`=)y─┛~~



次回は「side???」色々な都合上、文字数はとても少ないです。

この話を含めて、物語にも影響はないので読まなくても大丈夫です。



ついでに、風邪復帰後のリハビリで書いた。王道ファンタジー。異論は認めない。

https://ncode.syosetu.com/n7731ek/


むしゃくしゃしてやった。ちゃんとビリーに許可は貰った。

思いついてから24時間以内に書き上げた。

全く反省していない。きっとまたやる(๑•̀ㅂ•́)و✧

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