012
一部読者様の誤解があるようなので、キーワードに「ハッピーエンド」と「純愛」を追加しました。
この物語は純愛ラブストーリーです。異論は受け付けません。(/ー\)
更新は比較的早い部類だと思っていますので、あと5日我慢して下さい。
あまり早いと嫌われちゃうので(/ー\)
当然3日もすれば、社交界だけではなく民衆にまで決闘の話が広がっていた。卒業を控える時期であった事が幸いして、早々に寮の部屋を引き払い、王都の辺境伯邸より学園に通ってる。
屋敷から一歩外に出れば、次期辺境伯の身分ではなく、しがない男爵家子息になる。当然通学は徒歩だ。
民衆からの歓迎ぶりは皆さんの想像を絶するだろう。どれだけ嫌われているんだ筋肉ダルマな新エンターテイナーは………。
徒歩で通っている理由は当然他にある。こんな事になる原因をけしかけた人物を探る為だ。
こういっては何だが、裏切る予定の現在はまだ我が国においての私の価値は高い。もちろん次期辺境伯の身分の方だ。
我が家のおかげで隣国との戦争が1年半以上の間、小競り合いすら起こっていない。民衆からは我が家の人気はうなぎ登りで、対する王家の人気は既に限界いっぱいにまで下がっていたのでこれ以上は下がらなかったという状況だ。
そんな私の従者である男爵家子息の私も人気がある。そして当然の事ながら、権力に固執する方々の標的でもある。父が普段は王都にいない為、標的としての順位は次期辺境伯の私が1位で、男爵家子息の私が2位だ。見事に1人でワンツーフィニッシュだ。
そういった事情と人気がある私が街中を徒歩で移動していれば、当然それっぽい方々の影がちらほら見える。それ自体の対処は私はしなくて良いから、この辺は気にしない。長兄のお仕事だ。
では、これまで説明した私が学園に行くと、どうなるのか?
「これを受け取って下さい!!」
「お願いします!これを食べて下さい!!」
と、普段では絶対に顔を合わせないレベルのご令嬢からもアプローチを頂く結果となった。
羨ましいだって? そんな台詞を我が学友たちは口にした事はないぞ?
受け取った手紙は何か重いし。当然物理的意味で。これまた当然のように刃物が入ってらっしゃる。
受け取ったお弁当らしきものは毒々しいか、とても精が付くものかのどちらかだ。その両方だったパターンもある。
これでも羨ましいというなら、森に入って適当なきのこを食べると良いと思う。きっと結果としては同じになるはずだ。
ちなみにヒロイン役(偽)も近づいてきたが、「顔は良いんだけど、筋肉枠は1人で十分ね」とあっさりとお帰りになられた。身体を鍛えていて良かったと思った。まあ、その程度である。
「おい、本当に決闘なんてするのか?」
「『主から逃げるのであれば、私ではどうだ! それとも従者でもある私からも逃げるのか!!』とカッコ良い事言った手前、引けないのは分かるが、相手は王族派だぞ?」
いや、そんな事は言ってないからな? 尾びれ背びれが酷い事になっているが、幸いな事に風評被害はない。風評被害があるのはあっちだ。
「『パパは近衛騎士団の団長なんだぞ! お前なんてパパに頼んでギッタギッタにしてやるぞ!!』って言われたんだろ? 明らかに権力使う気じゃねぇか」
いや、だからそれ誰だよ。 あいつのキャラ設定もうめちゃくちゃだ。
「筋肉だる・・・おっと、リカルド様は近衛騎士団総出で訓練をしているのに、お前に付き合えるのが俺たちで悪いな」
学友よ。今更取り繕わなくて良いぞ。学園の奴のあだ名は筋肉ダルマだ。そこはもう公言してもいいと思うレベルまで広がっているからな。
ともかく囮としての職務を果たすべく、学友たちと手を抜きつつ訓練をして日課を過ごす。決闘後は学園から去るのは誰から見ても分かっている事なので、学友たちも訓練には根気良く付き合ってくれた。友情に感謝だ。
「そういえば、お前の寄り親の一族が婚約している相手の………ステイフォン公爵家だっけ? 王太子の婚約者の家でもあるところから、剣術指南役が来たんだろ? そっちの訓練はどうだ?」
こんな僅かな時間で、そんな事も噂になっているのかと少し驚いた。
まあ、学友が言っていた剣術指南役の事は事実だ。ただ、昨日やってきて、昨日お帰り頂いた。理由は単純だ。
筋肉ダルマで新エンターテイナーをけしかけた人物が、クリスティナ嬢とローズ様のお父様であるステイフォン公爵だった。目的は私の次期当主の座の失墜のようだ。
実際に剣術指南役は明らかに男爵家子息としての私を怪我させる目的で送り込まれていた。当然返り討ちにしたがな。戦場も知らないでぬくぬくと公爵家の庇護下にいた人物に負ける訳がない。
まあ、結果としてこの事で犯人を特定出来たのだ。小物臭が半端ない。さすが我が国の公爵だ。
現在の段階で、ローズ様が捨てられるのは確定だ。私付きの侍女になった2人からの情報と合わせると、筋肉ダルマは国外追放されるローズ様を自由にするという条件で私に喧嘩を吹っかけてきたようだ。本当に決闘の日が楽しみになる話である。
そして、婚約破棄現場となる卒業パーティーという名の断罪場で、どうやら私の横領疑惑も追及するらしい。
完全に王家もローズ様の家族であるステイフォン公爵家も敵になったのである。長兄はそれを知ってすぐにクリスティナ嬢を我が家に監禁した。本人も同意の上でだ。そして、我が家では義母が完全に嫁に来た状態で可愛がっている。長兄といちゃつく時間は与えられていないのが不憫である。
ちなみに分かっていると思うが、横領については王太子の取り巻き一家が関わっている。金遣いが荒いのは国民にすら知れ渡った事実だ。どういう理由で私に罪を着せるのか楽しみである。まあ、私は卒業パーティに参加予定はない。
今回の決闘後は、王家が謝罪をする訳がないので、我が家への王家の侮辱として、堂々と領地に帰る。なんと言っても王太子の取り巻きで近衛騎士団長の子息がしでかした事だからな。決闘前日には必要な軍備が王都の周りに展開する予定だ。これで決闘の時にも下手な事は行なえば、即行動だ。
そんな訳で、右往左往もなく順調に決闘当日を迎えた。
決闘前日に、もしもの為に我が家の家紋である剣を模ったペンダントをローズ様に匿名で送った。その剣の意味は誓いである。
ローズ様にその気が全くなければ、完全なストーカー行為だが、テンションが上がってしまい、むしゃくしゃしてやった。反省はしていない。
なんかフラグみたいで嫌ではあるが、命を賭けて戦う場所に赴くのだ。それくらいは許して欲しい。
本当に仮に私が死んだとしても、長兄がクリスティナ嬢の為に、間違いなく救出してくれる。だから心配はしていない。
「これより国法に則り、決闘を開始する!」
盛大な声が響き渡る会場中に響き渡る。その声を聞いた観客はさらに響き渡る声を返した。
完全に大盛り上がりだ。そして決闘場として使われるのは上級貴族たちの子息が剣を習う場所だ。なんていうかスタジアム?コロシアムみたいな場所で、普段私たちが使っていた運動場とは雲泥の差だ。
「よく逃げずに来たな!」
テンプレートな発言をいきなりかました新エンターテイナーは、さすがである。その声が響き渡ると共に観客からは笑いが巻き起こる。ちなみに陛下は必死に笑いを堪えていた。国の偉い人でも面白いものは面白いようだ。
「あぁ、1度も授業に出たことがないお前が陛下の御前試合のシード権が与えられる事に比べれば、至って自然の事だ。別にわざわざ声を出して確認するほどの事じゃない」
新エンターテイナーの実力はこんなものではない。もっと本気を出して貰わないと困るので挑発してみる。この事実を知らなかった観客からは盛大な歓声を頂いた。
この筋肉ダルマの父親らしき近衛騎士の団長様がぷるぷると震えているのが分かる。それにしても派手な衣装だ。戦場で出会ったら真っ先に狙われるな。
「人攫いの卑怯者だからこそに逃げないか心配だったのだ!」
この会場観客、いや王都に住まう民の殆どが知っている。彼が娼館で乱暴を働き出禁なってる事を。その娼館が逆恨みを恐れて王都から撤退した事を。そして、先週の夜会であった出来事とこの決闘の真実を知っている。
これで笑うなというのが無理な話だ。
「皆の者! 静まれ!! 陛下の御前であるぞ!!」
近衛騎士団長は、最低限の仕事はする人のようだ。ま、あくまで最低限だ。真面目に仕事をする人なら、こんな決闘は行なわずに新エンターテイナー君はとっくに廃嫡である。っていうか嫡男を差し置いて近衛騎士団長を継ぐとか発言しているのに、なんで廃嫡されないのやら。
一応注意されたので、陛下に向かって臣下の礼を取る。まあ、謝罪の意だ。
「リカルド! お前もだ!!」
民衆が静かになり、目の前の私が臣下の礼をとったのにも関わらず、筋肉ダルマは何もしなかったようだ。本気で大丈夫か?こいつら?
慌てて、筋肉ダルマも臣下の礼をとって場が再開される。
「ルールを説明する! 人数は1対1。ハイマン家からは決闘を申し込んだ本人。リステル家からは代理人が争うものとする!」
あれだ………。普通ならブーイングが飛んできてもおかしくない条件だ。決闘を申し込んだ本人が決闘に出て、受けた本人が代理人を勤める。しかもそれの選択したのは代理人を立てた方だという意味の内容だ。
っていうか国法に則ったなら、本人同士のはずじゃない? もうこの出来レースっぽくなっているのは完全に王家もグルだね。
「決着方法は、審判が決着と判断した場合か相手が死亡した場合とする。なお、この条件では不公平という事で、ハイマン家には実剣の利用を認めるものとする」
私が手に持っているのは、当然刃引きされた剣だ。筋肉ダルマな新エンターテイナーの武器は鞘に収められているが間違いなく実剣だろう。
「ハイマン家が勝利した場合は、リステル家が攫ったとされる娼館に勤めていた者全ての開放とする。以上!」
審判役の人も可哀想に………。こんな条件を読み上げさせられるなんて………………ご愁傷様としか言えない。
見てよ。さっきまでの盛り上がっていた会場が完全に冷たい視線を新エンターテイナーに向けてるよ。彼は本来、笑いで皆を楽しませる事に命をかけているのに、今はその実力を発揮させて貰えていない。
「あのー。リステル家が勝った場合の条件が示されていないのですが?」
一応、分かってはいるが遠慮がちに確認をする。
「決まっているだろう! 勝つのは我が家だからだ! 負ける相手の事などいちいち決め事にする必要はない!!」
審判役の人に代わって丁寧に、リカルド君が説明をしてくれる。
ここまで低下してしまった冷たい空気の中では、新エンターテイナーの才能を持ってしても、空気を一新する事は出来なかった。
「審判! さっさと始めさせろ!!」
近衛騎士団長が、審判にそう声を掛ける。どうやらこの空気ぶち壊し計画を立てたのは、新エンターテイナーのお父様のようだ。彼には空気ブレイカーの称号を授与したいと思う。
そんな事を考えていると、筋肉ダルマ君は既に剣を抜いていた。それを確認した審判が声を上げる。
「開始!!」
当然私は剣を抜いていない。筋肉ダルマ君が全力で向かってくるのが分かる。観客からも悲鳴が聞こえる。
ただ、この時の私は一点の事に気をとられていた。
( あ、ヒロイン役(偽)もドン引きしている )
会場が良く見えるところにヒロイン役(偽)を見つけて、顔が引きつっているのを観察していた。
「「「うぉぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」」」
次の瞬間冷え切っていた会場が再び歓声に包まれた。
観客たちの視線の先には、折られた剣を握り締めたまま、四つんばいになって首元に剣を当てられている。筋肉ダルマでエンターテイナーなリカルド君がそこにいた。というように見えているはずである。
個人的な感想としては、隣国の徴兵された民兵の方が強いであった。
え? それって本当に殺しに来ているの? って思えるほど一直線で、かつ隙だらけだった。相手の剣をなぎ払いながら横へ避けたら勝手にすっころんだ上に剣も折れたのだ。決闘以前の問題である。
一応、茶番を終わらせるには審判の判断が必要のようなので最後に無防備な首元に剣を当てただけである。特別な事は何もしていない。
「あれ? 終わりじゃないの?」
私は軽い口調で、近衛騎士団長へ声を掛ける。審判に言っても無駄だからだ。
近衛騎士団長は苦々しい顔をしたまま、好きにしろという態度を取る。
あらら。リカルド君はこの時点で父親に見捨てられたようだ。
審判もそれを見ていたせいか、終了の声を掛けない。 つまり事故死させろという意味だ。
元祖エンターテイナーの才能を引き継いでいる可能性のある彼を簡単に殺していいのか迷っていると、ご本人様から雄叫びが聞こえてきた。
「イカサマだぁぁぁぁぁあああああぁぁぁ!!!!!」
その声に会場からは完全なブーイングが飛んできた。それでも元祖より魂を引き継いでいるのか、彼はエンターテイナーの道を歩み続ける。その姿は感動すら覚えた。ほじほじ。
「私の剣が簡単に折れる訳ない! 事前にお前が折れやすいようにしておいたのだろう!!」
「いや、あなたが用意した剣でしょう? それに会場入りする前にそういうのって普通自分でチェックしない? 剣って騎士にとって命でしょう」
ボケを繰り広げたリカルド君に、礼儀として即効でツッコミを返す。観客もそのツッコミに賛同してくれた。
「やり直しを要求する!!」
観客の声がまったく耳に届いていないようで、要求だけを口にする。
このまま私がパカっと脳天に一撃、剣を叩き込んだとしてもきっと誰も私を責めないと思う。
この状況に近衛騎士団長も好きにさせろと審判に指示を出す。元からではあった事だが、もう決闘でもなんでもない。
「はいはい。今度は言い訳できないようにご自身で剣を用意してくださいね」
「言われずともそうする!!」
そう言って会場外枠の中に隠してあった大剣を手に取る。おいおい、会場の警備は大丈夫か? 陛下暗殺されちゃったりしないよな?
私の心配を他所に活き活きとしている新エンターテイナーは、その身に一身に会場中の冷たい視線を集める。これはこれで1つの才能だろう。また新しい才能の開花に素直に心の中で賞賛する。
「お前が使うのはそれだ!」
何を思ったのか、先程まで自身が使っていた折れた剣をこちらの足元へ転がしてくる。
「お前が剣を用意しろと言ったのだろう?」
先程まで突き刺さっていた冷たい視線が突然消える。さすがの近衛騎士団長も頭を抱えていた。気持ちは分かるが、親子とも同じレベルだからね?
私は素直に剣を拾い、審判に目で合図を送る。茶番は終わらせようと。審判が頷いたのを確認すると、私は最初の開始位置へ移動する。当然手前の剣を拾って戻るのだから後ろを向く事になる。
「いくぞぉぉぉぉぉ!!」
決闘だけではなく、もう騎士としての体裁も全く存在しない。合図もない上に、背後から襲い掛かってきたのだ。またまた会場から悲鳴が聞こえる。卑怯者という叫び声と共に。
そして同じような光景が繰り返される。大剣を持って向かってきたのだ。先程より走るのが速い訳はない。
今度は腹に蹴りを入れると同時に大剣をなぎ払った。腹を蹴ったのは、あの五月蝿い声を至近距離で聞きたくないからだ。もう既に私のお腹はいっぱいである。エンターテイナーの相手は1年に3分も対応すれば十分だ。
案の定、審判からは静止の声はない。
「ぎぎょうだぞ」と喚いている声を無視して、奴が用意した大剣を拾い、振り上げる。
観客からは、悲鳴と共に「そうだ!やってしまえ!!」というちょっと過激な声が聞こえる。一応言っておくが、ここは学園である。出来ればそんな血生臭い事はしたくない。
「最後に言い残す事はあるか?」
もちろんトドメを刺す気はないが、その場のノリで口にしてみる。
「だずけてください」
この声は観客に聞こえないのが残念だ。「ダメだ」という言葉と共に大剣を振り下ろす。
相手の眼前に大剣が振り下ろされ、大きな音を上げる。
本人は気持ちよく白目を剥いてお休みになられた。どれくらいの気持ちよさかと言えば、地面が湿っている程度だ。
「そこまで! 勝者をリステル家とする!!」
さすがにこれ以上は何もしないという訳にはいないのか。ようやく審判が静止の合図を送る。
会場中は歓声に包まれる。とても気分が良いとは言えないが、一応歓声に応える。
「これより今の試合の感想を陛下より頂く!」
あれ? 決闘じゃないの? と思ったが、陛下へ向かって膝を着き臣下の礼をする。
「まことに見苦しい試合であった。敗者はそうそうに片付けよ。勝者は特別に学園の試合に参加する権限を与える。次は励め」
さすが陛下のお言葉だ。凡人には理解できずに会場中が静まり返っている。それともあれか? これが王家の威厳というやつか?
「それでは、このまま次の試合を開始する! 新たな参加者は中へ!!」
凡人たちの理解を置いて、そのまま何事もなかったかのように物事が進む。
そうか………あれだ! これがゲームの世界の強制力という奴だ!! まあ、仕方がないので、片付けれていくエンターテイナーを見送って、次の対戦者を待つ。
「よっ!よう」
次に会場に姿を現したのは約2年間共に過ごした学友だった。
「こんな空気の中で試合をするってどんな拷問だよ。しかも周りから見たら俺って悪の手先に見えなくねぇ?」
私以外に聞こえない声で、話しかけてくる学友に心底哀れみの感情しか浮かんでこない。
小声で話をする私たちを余所に、審判役が学友のプロフィールを観客に語るが、誰もまともに聞いていない。会場中の冷たい視線は審判役に注がれる。彼は明日から王都を歩けるのだろうか?
「両者剣を抜いて! 構え!! はじめ!!!」
今度は正しい手順で開始の合図をしてくれる。なんだ。ちゃんと出来るんじゃないか。
開始の合図と共に私と学友は剣を交錯させ鍔迫り合いをする。観客からはその様子に歓喜の声が上がる。まともな試合だと………。
当然、私と学友の狙いは別にある。鍔迫り合いをしながら視線を湿っている地面に向ける。学友が回りに気付かれない程度に頷くと、共に鍔迫り合いをしながら、その湿っている部分から離れた。
なんとかこれで凄惨な事故は防げるはずだ。
試合中は私語を話す事は出来ない。さっきの決闘もどきが異例中の異例だ。
互いに剣を交えて、観客に見せる剣を披露する。だんだんに観客のテンションが上がると同時に、学友との剣戟も激しさを増していく。
互いにある程度、見せる剣戟を披露出来たところで、最後の仕上げに取り掛かった。
結果は私の負けである。本当に見事に剣がポッキリと折れてしまったのだ。先程の決闘で無理が祟ってしまったらしい。誠に残念だ。
両手を上げて降参の意を示すと、あっさりと審判が終了を告げる。
今度は陛下からのお声は掛からなかった。そして当然、勝者である学友に批難の声はなかった。素直な賞賛を浴びる学友を背に私は舞台を降りた。
筋肉ダルマな新エンターテイナーよ。前座の仕事、本当にお疲れ様でした。ここに、ご冥福をお祈りいたします。
-後書き-
ちょっと与太話。キャラクター命名についてです。
頭の中でパルプンテ!と唱えても閃かなかったら、仕方がなく、1人しりとりをして、まあ、適当に人物名が出てきたらそれにする事が多いです。
リステルという家名を考えた時は、1人しりとりの時に「りんごをすってみたらおいしいよね!」って意味不明な言葉が出てきたので、そこからもじって作りました。
どうですか? 私はこんなにも頭を使って作品を作っているのです!
あぁやめて! 通報しないで!!
これが私の正常だから! 病院はいやぁぁぁ!!。・゜・(ノД`)・゜・。
著者ビョウキの為、この作品の更新はここまでとさせて頂きます。ご愛読ありがとうございました。
あ、次回は下ネタ回を挟んで、ヒロイン対決があります。