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巨神騎士伝ルトラ ~光の巨神よ、この世界を照らせ~  作者: 長月トッケー
第4話 大空に怒りを込めて -悦楽殺人鳥ドルグラ登場-
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第4話 大空に怒りを込めて (Part8)

 夜、【流星の使徒】本部、救護施設の病室で、フィジーは退屈そうに窓を見ていた。彼女の全身は包帯で包まれていた。診断では、腕をはじめとする、体のあちこちの骨が折れており、しばらくは出撃はおろか、訓練すらできない状態とのことである。

 扉を叩く音が聞こえた。


「いいよー」


 フィジーが答えると、ハイアットを先頭に機動部隊の皆が部屋に入ってきた。


「なになに~、お見舞いにしちゃ随分と豪勢じゃないの~」


 フィジーはおどけた笑みを浮かべて見せた。


「フィジー隊員、この度の健闘は【流星の使徒】全体に知れ渡り、ギルド長の耳にも入った、君の武勲を称え、特別報酬が与えられることになったよ」


 ムラーツは穏やかな笑みを浮かべていた。


「ホントに!! やった……たたた」

「バーカ、何やってんだよ」


 ソカワがぽん、と彼女の頭を叩くと、皆の笑い声が、病室内に響いた。


「しっかし、あの力、ドクマでも厳しいだろうな、改良しないとな……」

「おいおい、こんな所で研究の話すんなよ辛気臭い」

「もー、こんなところで喧嘩しないでよー?」


 イディとドクマに、いつものようにフィジーが諌めた。


「報酬は、回復してからバーッて使えばいい、休暇も与える、好きなようにしたまえ」

「ありがとうございます!!」


 眩しいくらいの笑顔を浮かべて、フィジーはキリヤに頭を下げた。

 その時だった。


「ちょっと見て下さい!!」


 アーマッジが窓の方を指した。空いっぱいに流星が降っているのが見えた。


「まるで、我々の勝利を祝しているみたいですね」

「あら、ホシノちゃんもロマンチックな考え方をするのね」

「えええええ!?」


 アヌエルに指摘されて、ホシノは顔を赤らめ、機動部隊の皆がまた笑いあった。


「……私、頑張って皆を守ってるよ」


 流星を見ながら、フィジーはポツリと呟いた。それが聞こえたハイアットも、力強く頷いた。



 墓の前で、僕とフィジー隊員は、黙祷をささげている。あの少女の、あの時の顔が、僕の脳裏をよぎった。でも、すぐにそれは笑顔に変わり、すぐに消えていった。


「……ごめんね、ハイアット君にもつきあわせちゃって」

「いえ、僕もあの子の魂に、報告したかったので」

「あはは、やっぱりどっか変な言い回しをするねー」

「そ、そうです、か……」


 フィジー隊員に笑われてしまった。前と変わらない、すごく明るい笑い方だ。


「さて、町によってご飯食べよ!私がおごっちゃうよ~!」

「……ありがとうございます」


 フィジー隊員の様子を見て、僕も笑みを零してしまう。

 前方に、黒い服を着た女性が来ていた。


「あ、フィジー隊員、人が来ますよ」

「おっとっと、すみません」

「……いえ、大丈夫ですよ」


 ……体温が下がる感じがした。何だ、この感じは。あの人の顔、見覚えがある。あの人を、僕は知っている?


「おーい、ハイアットくーん、どうしたのー?」

「あ、いえ、なんでもありません!」


 そうだ、思い出した。あの人は、僕の、ディン・ハイアットの憧れの人だ。

 あの人は……シルヴィエさんだ。

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