第9話 人間という愚かな生き物に鉄槌を
海人の家に帰ると海人は料理の準備に取り掛かった。
「適当に座ってて」
そういうと海人は手際よく、リビングダイニングキッチンで野菜を刻み調理を開始した。俺はダイニングテーブルの椅子に腰かけた。
「なんか、この世界のおもしろい話してよ」
海人が調理している間、俺は暇だったので海人に話しかけた。
「そうだな。あれは神様が「人間という愚かな生き物に鉄槌を下す」っていいながらこの町を攻めてきたときの話でもするか」
海人は思い出すのに調理の手を一旦止めて、また調理をしながら話を始めた。
「神様攻めてくるとかヤバくね」
俺は思わずそう言ってしまった。それでも海人は話をつづけた。
「そして、神様対人間の人智を超えた戦いの火ぶたが切られた。最初に人間たちがロンギヌスの槍を投げて刺さって、神様は「えっ」とかいいながら死にかけてたんだけど、この世界にはロンギヌスの槍とかミストルテインとか十束剣とか神殺しの武器いっぱい持っている人多いから皆それらを投げる投げる。それで神様はとっくの間にオーバーキルしてたんだけど、その神様の落としたアイテム『神の涙』は誰の物か揉めて、それがのちに言われる『ロンギヌスの槍投げ大会』って事件だな」
「いやいやそこはせめてその事件名に神様の名前つけようよ。神様の立場ないよ」
思わず俺はツッコミを入れてしまった。海人は俺のツッコミを気にせず話をつづけた。
「そしてなぜ、この事件が『ロンギヌスの槍投げ大会』って呼ばれるようになったかというと、一番多く刺さっていたのがロンギヌスの槍だったから」
「そういう武器って世界に一つだけなんじゃないの?」
「皆がいろんな世界から来てるからいっぱいあるんじゃない?ロンギヌスの槍とかバザーで売ってるよ。ちょっと高いけど」
「神殺しの武器の武器がちょっと高いだけの売り物かよ」
「ちなみにあの有名なエクスカリバーもこの世界にいっぱいある。まがい物も多いからエクスカリパーとかエクスカリハーとか確認しないとぼったくられる」