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欠陥だらけの天才魔術師(副題:天災魔術師になった天才魔術師はスローライフを生きて行けるか?)  作者: Seisei
第一章 レベルアップ編

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025ー4 ポップ、ステップ、大要塞 4

「なるほど。お前達が普通じゃ無いと言うのは、事実って訳だ。あと二人いるんだな」


 アルマが尋ねた。戦乙女デミヴァリキャリーと聞いて、全て納得してしまった。


「翔とアメリアは、戦後処理中らしい」


 メロが答えた。


 アルマが視線を転ずると、顔見知りのランカー冒険者のパーティーのいる事に、気付いた。彼等に話を聞けばもう少し詳しくゴブリンとの戦いの様子が掴めるだろうと、駆け寄って行った。


 しかし、一人は、地面にうずくまっているし、他の連中は、地面に長々と伸びている。何という体たらくだろうとアルマは呆れた。


「“祝福の風”のグスタフじゃないか。どうしたんだ?」


 その呼びかけに、地面に這いつくばっていたグスタフ・ハルハーゲンが、死にそうな青い顔をあげた。肩で息をし、顔中が汗だくだ。


「アルマ姉さん。面目ない。俺たちは、そのイリスさんを守るつもりで森に入ったんだが、イリスさんは、鬼神のようだった。こんな強ぇえ人は初めて見た。俺たちは、足手纏いどころか邪魔者だった。皆、イリスさんに命を助けてもらったんだよ」


 グスタフ・ハルハーゲンは息を切らせてゼェゼェー言いながら喋った。


「馬鹿な。この子は、平然としてるじゃないか。だらしないね」


 アルマは、呆れて言ったが、“祝福の風”の全メンバーの様子から、どれほど過酷だったのかがわかった。


 グスタフ・ハルハーゲンは、リーダーの意地で横にならないようにしているが、他のメンバーは、意識を無くしている者もいる。戦場では、考えられない醜態だ。


「ゴブリンは、あれから増援が有りましたから、とても大変でしたわ。ゴブリン将軍ジェネラルが、二人も来るとは、思いませんでしたもの」


 レイラがアルマの背後から言った。


 その話は、アルマも初耳だった。アルマがギルドからゴブリンの大群が出没するので討伐するようにとのクエストを受けたのが一昨日だった。


 ギルドの説明では、ゴブリン騎士ナイトか、ゴブリン貴族ロードが生まれたとの分析で、もしゴブリン貴族ロードが生まれていたとしも対処できるようにとS級冒険者のアルマ達とA級冒険者のバッシュ達を含む討伐隊、総勢三百を組成したとの説明だった。


 それが、ここまで来ると、妙な魔物の群れが守る砦があり、足止めされたわけだが、実際には、アルマ達では、到底太刀打ちできない七千以上のゴブリン軍とゴブリン将軍ジェネラルが攻めてきたと言うのだから、討伐隊の全滅の危機だったわけだ。


 そうアルマが理解したのが、つい二時間ほど前だ。ところが、どうやら話はさらに上が有ったのだ。二人目のゴブリン将軍ジェネラルが更に七千余の軍を率いてやって来たと言うのだ。合わせて一万五千だ。どうも、考えられない何かが起こっているのではないかと、アルマの胸に不安が過ぎった。


「ゴブリン将軍ジェネラルが二人も現れるなんて信じられない」


 アルマが言った。


「そんなことはないわ。今から百八十年前に、ゴブリン王子プリンスが、誕生しました。その時は、七人のゴブリン将軍ジェネラルが、彼に追随していたわ」


 そう説明したのはイリスだ。彼女は誕生するまで世界樹ネットとリンクして知識を吸収していた。その知識の一端だ。


「ゴブリン王子プリンスが生まれたのだろうか?」


 それを聞いたアルマが、最悪のシナリオを思い描いて身を震わせた。


「ゴブリン王子プリンスはレベル80以上になった個体よ。直ぐにでも退治しないと更に成長してゴブリンキングになりかねないわ」


 イリスが言った。


「ほう。お前はまだ若く見えるのに詳しいな。魔人とは皆、物知りなのか」


 アルマが聞いた。彼女の質問には魔人に対する、どうしようもない黒い差別意識が混じっており、少なくない皮肉があった。


「その通りよ。魔人は、世界樹ネットから情報を入手しつつ誕生するから大抵は、物知りよ」


 イリスは、アルマの皮肉を無視して淡々と説明した。


「そうなのか。ほんの小娘にしか見えないのにな」


 アルマは、馬鹿にしたように言った。


 その時、イリスは、ため息を付いて、すこし呆れ顔になった。次の瞬間、イリスは闘気バトルオーラの塊をアルマに投げつけていた。


 一瞬、アルマは意識が飛びそうになった。それ程、イリスの闘気バトルオーラは激しく重かった。アルマは、不思議な物を見るように可愛らしい女の子のイリスを見た。


 イリスは、くすりと可愛らしく笑った。


 アルマにも、イリスの表面上のレベルは、分かるのだ。51のはず。自分と同じレベルなのだ。


 しかし本心では、自分の方が上だと思っていたのだ。しかし事実は、全く逆だ、実力はアルマよりもイリスの方が遥かに上のようだ。


 多分、レベル換算で、20以上のレベル差があるだろうと、アルマは、イリスの今の威圧から本能的に悟った。


 多分、この少女はレベル50の恐ろしい魔物を、簡単に切り裂けるほどの実力があるはずだとアルマの勘は言っている。


 アルマの本能は、このイリスと言う少女から直ぐに逃げるように、悲鳴のような警告を激しく鳴り響かせていた。


 冷や汗が、アルマの背中を流れた。これが本来のレベル差なのだ。レベルの低いものはレベルの高いものの前に、まともに立つことさえできないのだ。


「すまん。見かけだけで話していた。失礼な事を言った」


 アルマは、素直に謝った。その途端にイリスからの恐ろしいプレッシャーが無くなって嘘のように楽になる。アルマは、大きなため息をついた。


 驚いたのは、剛腕の他のメンバーだ。イリスは、範囲を絞って闘気バトルオーラを放っていたので、他のメンバーは、イリスとアルマの間にそんなやり取りが有ったと気づかなかったのだ。


「イリス。ダメ。翔が目立つなって、言ってたよ」


 一番目立っているメロが言った。


 アルマは、もう一度ため息をついた。このメロと言う娘はレベル52だが、バッシュの話では、ランクA級の盗賊の渾身の突きを魔法の杖で、軽くあしらっていたと聞いた。


 見るからに、魔術師系のこの冒険者に、そんな事ができるのは遥かに実力が高いからだろう。


────こいつらは一体何なのだろうか。不思議な奴らだ。


 アルマは!心底不思議だった。これほどの実力者が噂にすらなっていないとは、どういう事なのだろうか。


 その時、砦の外から二人の男女が入ってきた。


「翔! アメリア!」


 それを見て、メロ達が走り寄って行ったのは、セキ・コーエンが言っていたパッとしない男の子の事だろう。


 もう一人は、見るからにエルフとわかる美しい女の子だ。豊かな胸と細い腰、スラリと伸びた四肢が魅力的だ。しなし背中の青く美しい羽な、また事が無い。


「アルマ。翔だよ。私達のリーダーみたいな人だよ。それと、アメリア。妖精王の孫なんだよ」


 メロが二人を紹介した。


「妖精王の孫だって?」


 アルマが驚きの声を上げた。


────この子らは、何もかも規格外れだね。


 アルマは、開いた口が塞がらない気分だ。


「あっ。ごめん。これも秘密にしてね」


 メロは、そう言うと笑って誤魔化した。


「アメリア。この人は、剛腕ってパーティーのリーダーさんだよ」


 メロは、アメリアにアルマを紹介した。


────どうして、この少年には紹介しないんだ?


 翔は、世界樹ネットの端末少女アリスから情報を得ているという事を知らないアルマは、怪訝に思った。


「アルマ。聞きたい事がたるんだが良いか?」


 男の子が聞いてきた。


────いきなり呼び捨てかい。


 と、アルマは無言で突っ込んでいるが言葉では、違う事を言った。


「なんだ。小僧」


 『小僧』と言ったのは、呼び捨てにされた、仕返しだ。


 しかし翔は、相手の自分に対する態度など、一切無頓着な様子だ。


「剛腕は、クリストファー公爵の顧問だそうだな」


「何だそれは?」


 アルマは、逆に尋ねた。


「世界樹ネットには、そんな紹介のされ方をしていたぞ。俺達は、クリストファーのバカ息子とイザコザが有って、場合によってはクリストファー公爵の私設クラン“F旅団”と事を構える必要があるかもしれない。敵の頂点の事を知っておくのは大切だからな」


 スラスラとその男の子は、答えた。


────こいつ。良く頭の回る奴らしいな。頭で、この実力者の少女達を従わせている、賢者タイプだな。


 アルマは、翔をそんな風に捉えた。


「昔、F旅団に誘われた事が有って、十日ほどの間、クリストファー公爵邸で食客となった事が有ったな」


 アルマは、翔の質問に肯定も否定もしなかった。一度食客になれば名前を使われても文句は言えないのだ。


「なるほど。ありがとう」


 男の子は、分かったと言うように頷きながら礼を言った。


「こんだけの情報で何が分かるんだい?」


 逆にアルマが尋ねた。


「F旅団の名前は息子のフランツの名前を取って名付けられているな。それだけでも、公爵のクランに対する軽い気持ちが分かる。アルマも魅力を感じなかったのだろう。そんなクランに、まともな冒険者が加担するはずがない。F旅団のメンバーは、公爵の威を借りようとするバカ共か、元々の家来だけだろう。大した事は無いと判断した」


「ふん」アルマは鼻で笑った。「悔しいが、お前の推理は概ね当たっているよ。しかし、ここは、意外性のためにも、もう少し外れた回答をするか笑いを取りに冗談を言うのが最上だね。あんたの話は、つまんないよ」


 最後は、言い掛かりだった。


「なるほどな。参考にさせてもらうよ」


 男の子は、アルマの挑発にも、全く動じなかった。


────こんだけいじっても全くの無反応か。大したもんだ。若造の癖に。


 アルマは、心の中で感心した。


「ところで」アルマは話題を変えた。「ゴブリン共は一万五千の軍でゴブリン将軍が二人も、現れたそうだな。ギルドに報告するので詳細を教えくれないか」


「ゴブリン将軍ジェネラルは、レベル56とレベル54の二人だった。ゴブリン貴族ロードは八名。ゴブリン騎士ナイトは十三名だった。ゴブリンの軍は軍政が行き届き厳しい訓練が見て取れた。レベルの近接したゴブリン将軍ジェネラル二人が協調しているところから見ても、二人よりも、ずっとレベルの高いゴブリンの親玉がいると想定するべきだろうな」


 何から何までギルドの予想よりもゴブリンの規模は、大きいようだった。この少年の話だけなので信じきれないが確認する必要はある。


「小僧。ゴブリン将軍ジェネラルは、お前が退治したのか? 尋問する必要性は、感じなかったのか?」


 これも意地悪な質問だ。レベル50を超える魔物を捕獲しろと言うのは、退治しろと言うよりもずっと難しいことだ。


 しかし、アルマは、目の前の男の子が、彼女の想像しているよりもずっと凄い存在だと直ぐに知る事になった。

「なるほど。お前達が普通じゃ無いと言うのは、事実って訳だ。あと二人いるんだな」


 アルマが尋ねた。戦乙女デミヴァリキャリーと聞いて、全て納得してしまった。


「翔とアメリアは、戦後処理中らしい」


 メロが答えた。


 アルマが視線を転ずると、顔見知りのランカー冒険者のパーティーのいる事に、気付いた。彼等に話を聞けばもう少し詳しくゴブリンとの戦いの様子が掴めるだろうと、駆け寄って行った。


 しかし、一人は、地面にうずくまっているし、他の連中は、地面に長々と伸びている。何という体たらくだろうとアルマは呆れた。


「“祝福の風”のグスタフじゃないか。どうしたんだ?」


 その呼びかけに、地面に這いつくばっていたグスタフ・ハルハーゲンが、死にそうな青い顔をあげた。肩で息をし、顔中が汗だくだ。


「アルマ姉さん。面目ない。俺たちは、そのイリスさんを守るつもりで森に入ったんだが、イリスさんは、鬼神のようだった。こんな強ぇえ人は初めて見た。俺たちは、足手纏いどころか邪魔者だった。皆、イリスさんに命を助けてもらったんだよ」


 グスタフ・ハルハーゲンは息を切らせてゼェゼェー言いながら喋った。


「馬鹿な。この子は、平然としてるじゃないか。だらしないね」


 アルマは、呆れて言ったが、“祝福の風”の全メンバーの様子から、どれほど過酷だったのかがわかった。


 グスタフ・ハルハーゲンは、リーダーの意地で横にならないようにしているが、他のメンバーは、意識を無くしている者もいる。戦場では、考えられない醜態だ。


「ゴブリンは、あれから増援が有りましたから、とても大変でしたわ。ゴブリン将軍ジェネラルが、二人も来るとは、思いませんでしたもの」


 レイラがアルマの背後から言った。


 その話は、アルマも初耳だった。アルマがギルドからゴブリンの大群が出没するので討伐するようにとのクエストを受けたのが一昨日だった。


 ギルドの説明では、ゴブリン騎士ナイトか、ゴブリン貴族ロードが生まれたとの分析で、もしゴブリン貴族ロードが生まれていたとしも対処できるようにとS級冒険者のアルマ達とA級冒険者のバッシュ達を含む討伐隊、総勢三百を組成したとの説明だった。


 それが、ここまで来ると、妙な魔物の群れが守る砦があり、足止めされたわけだが、実際には、アルマ達では、到底太刀打ちできない七千以上のゴブリン軍とゴブリン将軍ジェネラルが攻めてきたと言うのだから、討伐隊の全滅の危機だったわけだ。


 そうアルマが理解したのが、つい二時間ほど前だ。ところが、どうやら話はさらに上が有ったのだ。二人目のゴブリン将軍ジェネラルが更に七千余の軍を率いてやって来たと言うのだ。合わせて一万五千だ。どうも、考えられない何かが起こっているのではないかと、アルマの胸に不安が過ぎった。


「ゴブリン将軍ジェネラルが二人も現れるなんて信じられない」


 アルマが言った。


「そんなことはないわ。今から百八十年前に、ゴブリン王子プリンスが、誕生しました。その時は、七人のゴブリン将軍ジェネラルが、彼に追随していたわ」


 そう説明したのはイリスだ。彼女は誕生するまで世界樹ネットとリンクして知識を吸収していた。その知識の一端だ。


「ゴブリン王子プリンスが生まれたのだろうか?」


 それを聞いたアルマが、最悪のシナリオを思い描いて身を震わせた。


「ゴブリン王子プリンスはレベル80以上になった個体よ。直ぐにでも退治しないと更に成長してゴブリンキングになりかねないわ」


 イリスが言った。


「ほう。お前はまだ若く見えるのに詳しいな。魔人とは皆、物知りなのか」


 アルマが聞いた。彼女の質問には魔人に対する、どうしようもない黒い差別意識が混じっており、少なくない皮肉があった。


「その通りよ。魔人は、世界樹ネットから情報を入手しつつ誕生するから大抵は、物知りよ」


 イリスは、アルマの皮肉を無視して淡々と説明した。


「そうなのか。ほんの小娘にしか見えないのにな」


 アルマは、馬鹿にしたように言った。


 その時、イリスは、ため息を付いて、すこし呆れ顔になった。次の瞬間、イリスは闘気バトルオーラの塊をアルマに投げつけていた。


 一瞬、アルマは意識が飛びそうになった。それ程、イリスの闘気バトルオーラは激しく重かった。アルマは、不思議な物を見るように可愛らしい女の子のイリスを見た。


 イリスは、くすりと可愛らしく笑った。


 アルマにも、イリスの表面上のレベルは、分かるのだ。51のはず。自分と同じレベルなのだ。


 しかし本心では、自分の方が上だと思っていたのだ。しかし事実は、全く逆だ、実力はアルマよりもイリスの方が遥かに上のようだ。


 多分、レベル換算で、20以上のレベル差があるだろうと、アルマは、イリスの今の威圧から本能的に悟った。


 多分、この少女はレベル50の恐ろしい魔物を、簡単に切り裂けるほどの実力があるはずだとアルマの勘は言っている。


 アルマの本能は、このイリスと言う少女から直ぐに逃げるように、悲鳴のような警告を激しく鳴り響かせていた。


 冷や汗が、アルマの背中を流れた。これが本来のレベル差なのだ。レベルの低いものはレベルの高いものの前に、まともに立つことさえできないのだ。


「すまん。見かけだけで話していた。失礼な事を言った」


 アルマは、素直に謝った。その途端にイリスからの恐ろしいプレッシャーが無くなって嘘のように楽になる。アルマは、大きなため息をついた。


 驚いたのは、剛腕の他のメンバーだ。イリスは、範囲を絞って闘気バトルオーラを放っていたので、他のメンバーは、イリスとアルマの間にそんなやり取りが有ったと気づかなかったのだ。


「イリス。ダメ。翔が目立つなって、言ってたよ」


 一番目立っているメロが言った。


 アルマは、もう一度ため息をついた。このメロと言う娘はレベル52だが、バッシュの話では、ランクA級の盗賊の渾身の突きを魔法の杖で、軽くあしらっていたと聞いた。


 見るからに、魔術師系のこの冒険者に、そんな事ができるのは遥かに実力が高いからだろう。


────こいつらは一体何なのだろうか。不思議な奴らだ。


 アルマは!心底不思議だった。これほどの実力者が噂にすらなっていないとは、どういう事なのだろうか。


 その時、砦の外から二人の男女が入ってきた。


「翔! アメリア!」


 それを見て、メロ達が走り寄って行ったのは、セキ・コーエンが言っていたパッとしない男の子の事だろう。


 もう一人は、見るからにエルフとわかる美しい女の子だ。豊かな胸と細い腰、スラリと伸びた四肢が魅力的だ。しなし背中の青く美しい羽な、また事が無い。


「アルマ。翔だよ。私達のリーダーみたいな人だよ。それと、アメリア。妖精王の孫なんだよ」


 メロが二人を紹介した。


「妖精王の孫だって?」


 アルマが驚きの声を上げた。


────この子らは、何もかも規格外れだね。


 アルマは、開いた口が塞がらない気分だ。


「あっ。ごめん。これも秘密にしてね」


 メロは、そう言うと笑って誤魔化した。


「アメリア。この人は、剛腕ってパーティーのリーダーさんだよ」


 メロは、アメリアにアルマを紹介した。


────どうして、この少年には紹介しないんだ?


 翔は、世界樹ネットの端末少女アリスから情報を得ているという事を知らないアルマは、怪訝に思った。


「アルマ。聞きたい事がたるんだが良いか?」


 男の子が聞いてきた。


────いきなり呼び捨てかい。


 と、アルマは無言で突っ込んでいるが言葉では、違う事を言った。


「なんだ。小僧」


 『小僧』と言ったのは、呼び捨てにされた、仕返しだ。


 しかし翔は、相手の自分に対する態度など、一切無頓着な様子だ。


「剛腕は、クリストファー公爵の顧問だそうだな」


「何だそれは?」


 アルマは、逆に尋ねた。


「世界樹ネットには、そんな紹介のされ方をしていたぞ。俺達は、クリストファーのバカ息子とイザコザが有って、場合によってはクリストファー公爵の私設クラン“F旅団”と事を構える必要があるかもしれない。敵の頂点の事を知っておくのは大切だからな」


 スラスラとその男の子は、答えた。


────こいつ。良く頭の回る奴らしいな。頭で、この実力者の少女達を従わせている、賢者タイプだな。


 アルマは、翔をそんな風に捉えた。


「昔、F旅団に誘われた事が有って、十日ほどの間、クリストファー公爵邸で食客となった事が有ったな」


 アルマは、翔の質問に肯定も否定もしなかった。一度食客になれば名前を使われても文句は言えないのだ。


「なるほど。ありがとう」


 男の子は、分かったと言うように頷きながら礼を言った。


「こんだけの情報で何が分かるんだい?」


 逆にアルマが尋ねた。


「F旅団の名前は息子のフランツの名前を取って名付けられているな。それだけでも、公爵のクランに対する軽い気持ちが分かる。アルマも魅力を感じなかったのだろう。そんなクランに、まともな冒険者が加担するはずがない。F旅団のメンバーは、公爵の威を借りようとするバカ共か、元々の家来だけだろう。大した事は無いと判断した」


「ふん」アルマは鼻で笑った。「悔しいが、お前の推理は概ね当たっているよ。しかし、ここは、意外性のためにも、もう少し外れた回答をするか笑いを取りに冗談を言うのが最上だね。あんたの話は、つまんないよ」


 最後は、言い掛かりだった。


「なるほどな。参考にさせてもらうよ」


 男の子は、アルマの挑発にも、全く動じなかった。


────こんだけいじっても全くの無反応か。大したもんだ。若造の癖に。


 アルマは、心の中で感心した。


「ところで」アルマは話題を変えた。「ゴブリン共は一万五千の軍でゴブリン将軍が二人も、現れたそうだな。ギルドに報告するので詳細を教えくれないか」


「ゴブリン将軍ジェネラルは、レベル56とレベル54の二人だった。ゴブリン貴族ロードは八名。ゴブリン騎士ナイトは十三名だった。ゴブリンの軍は軍政が行き届き厳しい訓練が見て取れた。レベルの近接したゴブリン将軍ジェネラル二人が協調しているところから見ても、二人よりも、ずっとレベルの高いゴブリンの親玉がいると想定するべきだろうな」


 何から何までギルドの予想よりもゴブリンの規模は、大きいようだった。この少年の話だけなので信じきれないが確認する必要はある。


「小僧。ゴブリン将軍ジェネラルは、お前が退治したのか? 尋問する必要性は、感じなかったのか?」


 これも意地悪な質問だ。レベル50を超える魔物を捕獲しろと言うのは、退治しろと言うよりもずっと難しいことだ。


 しかし、アルマは、目の前の男の子が、彼女の想像しているよりもずっと凄い存在だと直ぐに知る事になった。

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