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欠陥だらけの天才魔術師(副題:天災魔術師になった天才魔術師はスローライフを生きて行けるか?)  作者: Seisei
第一章 レベルアップ編

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012ー7 ユニオーガ

2019年8月25日文章を分割しました。

一角岩鬼ユニオーガ


 一角岩鬼ユニオーガの一匹と遭遇した。

 やはり討伐対象は、豚鬼オークではなく一角岩鬼オーガだったようだ。


 翔はミスリルとアダマンタイトの合金でできた六角棒を、孫悟空の如意棒のように伸ばしてみた。

 その伸長速度は、なんと音速を超えている。さらにヘルメットの能力である「時間延長」をも解放した。


 これほどの加速は初めての経験だが、もともと武闘家である翔の速さステータスは、既に30を超えていた。さらに時間延長の効果によって、実質32相当にまで引き上げられている。

 対する一角岩鬼ユニオーガはレベル15に過ぎなかったが、速度ステータスは28を記録していた。


 一角岩鬼ユニオーガは、一本角しか持たないオーガの中でもいわば最弱の種だ。とは言え、オークとは比較にならない巨体と膂力りょりょくを持つ強靭な種族であることに変わりはない。

 だが、その一角岩鬼ユニオーガも、翔の放った電光石火の一撃に胸を貫かれ、あっけなく絶命した。


 もっとも、流石はオーガと言うべきか。翔の想像を上回る素早い回避行動を取ったのも事実であり、翔が思わず冷や汗をかくほどの俊敏さを備えていた。

 翔はすぐさま「魔核精製」の能力を使い、一角岩鬼ユニオーガを魔核と角素材へと精製した。


 翔は手で合図を送り、メロとアメリアを近くに呼び寄せた。三人は顔を寄せ合う。

「お前たちの鎧に、弱い『認識キャンセル』の付与魔法をかける。敵から見えにくくなるが、お互いの位置も把握しづらくなるから注意しろ」

「了解!」

 メロが調子よく敬礼して応じた。

「よし。今回は俺が先頭、中間がアメリア、メロは後衛だ。メロは精霊を一匹出して、背後の警護に当たらせろ。よし、行くぞ」


 翔の言葉を合図に、三人は歩き出した。オーガが飛び出してきた形跡のある草むらを、中腰の姿勢で慎重に進んでいく。

 認識キャンセルの魔法を掛けているとはいえ、相手は勘の鋭い魔物たちだ。いつ発見されて大騒ぎになるか分からない。

「アメリア、補助魔法の速度向上アーリを皆に掛けてくれ」

 一角岩鬼ユニオーガの予想以上の素早さを警戒し、翔が命じた。アメリアは返事の代わりに、翔、メロ、そして自分自身の順でアーリの魔法を付与していく。


 翔はいつものように、アメリアが放つ魔法の術式に干渉し、補正を加えて矯正した。アメリアはその様子をじっと見つめ、翔の技術を理解しようと努めている。

 翔による補正の恩恵もあり、アーリの魔法によって三人の速度は15パーセントほど向上した。


 その時、森の葉陰の向こうに一角岩鬼ユニオーガの集団が姿を現した。その数、およそ30体。

「一挙に畳み掛けるぞ。俺とアメリアは回り込んで左右から攻撃を仕掛ける。メロは精霊を一匹防御に回し、他に三匹の精霊を出して攻撃を援護してくれ」

「了解!」

 メロは翔の命令に従い、新たに三匹の精霊を召喚した。


 メロが使役しているのは、レベル18のクーシー(牛ほどもある番犬)、レベル20のネレデス(海のニンフ)、レベル22のナイアデス(泉のニンフ)、レベル19のオレアデス(山のニンフ)の計四匹だ。

 精霊が出揃ったところで、翔とアメリアは左右に分かれて疾走した。一角岩鬼ユニオーガたちにメロの居場所を悟らせないための散開だ。


 翔は神秘の合金たる六角棒を構え、一角岩鬼ユニオーガの群れへと突っ込んでいく。

 反対側からはアメリアも飛び込むのが見えたが、認識キャンセルの魔法の影響で、その姿は陽炎のように朧げだ。

 翔が一番手近な個体にたどり着く頃には、アメリアは既に二体の一角岩鬼ユニオーガを屠っていた。


 翔が六角棒を巨大な刀へと変じさせ、横なぎの一閃で二体を同時に仕留めた時、アメリアは既に六体目を葬り去っていた。まさに目にも留まらぬ早業だ。

 続く瞬間には、三匹のニンフたちも一角岩鬼ユニオーガを次々と仕留め始めていた。

 ほんの僅かな時間で、三十匹あまりの一角岩鬼ユニオーガは全て殲滅された。


 その時、メロの方から「キャー!」と悲鳴が上がった。予期していたことではあるが、メロの居る地点に新手が出現したようだった。

 メロが茂みから走り出てくると、その後ろには予想を上回る数十匹の一角岩鬼ユニオーガが迫っていた。精霊のクーシーが威嚇しながら後退し、主を守っている。


 翔とアメリアは即座に反転し、メロのもとへ駆け出した。翼を広げたアメリアの飛翔速度は凄まじい。

 しかし、アメリアが到着するよりも早く、メロは別の精霊を呼び出していた。

 お馴染みの天空の馬、レベル28のペガサスだ。

 さらに、先行していたネレデス、ナイアデス、オレアデスの三匹も反転してメロの前へと飛来する。


 翔がメロの傍らにたどり着く頃には、新手の三十匹以上の一角岩鬼ユニオーガは、精霊たちの手によってことごとく退治されていた。

 今までの苦労が嘘のように思えるほど、呆気ない幕切れだった。


一角岩鬼ユニオーガ退治後のレベル】

○翔:レベル6【2アップ】

○アメリア:レベル10【1アップ】

○メロ:レベル10【1アップ】


【魔法能力のレベル評価】

○翔:レベル9【2アップ】

○アメリア:レベル12【1アップ】

○メロ:レベル19


012 腕試し 了


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