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001ー1 これって、転生? 死んでないんだけど? 1 *

2019年9月6日

第一話をプロローグと二つの第一話に分割しました。


2019年10月19日

レリエルのイラストを追加しました。

イラストに合わせて羽は一対にしました。はい。すみません。

 突然、不思議な空間に投げたされた翔は。


「へ?」


 と、間抜けな声を出したが、それも仕方がないだろう。


 しかし翔は、少しも慌てずに、その不思議な薄暗い空間の様子を見回す余裕を持っていた。


 その空間は小さいとも大きとも言えない不思議な空間だった。一見して部屋のようでもあるが周囲は何も見えなくなっていて壁は存在しないようだ。


 足元に大きな魔法陣が光っていた。その魔法陣は、蛍光塗料か何か光る素材で書いたようで、薄暗い空間に魔法陣だけが妙な迫力を見せて浮き出るようにくっきりと光っていた。


────光を魔法陣の媒体に使うか……良いアイデアじゃないか?


 翔は感心して、しきりに頷いていた。自分の知らない術式が有るってだけで気分が盛り上がる。


 翔は、魔法陣の中で三角の魔法陣に立っているようだ。その反対方向に視線を向けると、防御の魔法円が見えた。


 そんな魔法陣ばかりに注意を向けていた翔は、その時になって初めて防御の魔法円の中に、女の子が立っていたことに気付いたのだった。


挿絵(By みてみん)


────おっ。どうして気づかなかったのだろう。


 翔は、不思議に感じて女の子の様子をじっくりと観察してみた。


 魔法陣の形式や魔法術式から判断すると、この魔法陣は、召喚魔法陣だ。


 そして、召喚されたのは翔の方で、魔法円の中心に佇む女の子が、翔を召喚した方と言う事になるようだ。


────なるほど.......


 翔は、勝手に納得して心の中で呟いた。


 彼は、ストーカーの女魔術師に拉致されたと判断したのだ。


「おい。お前。何をやらかしてくれたんだ?」


 翔は、眉を大きくしかめながら聞いた。


 魔法円の中の女の子は、翔の知らない女の子だった。なかなかの美女だ。上品な雰囲気の中にどこか色っぽい所があった。


 しかし、その女の子は、腰に手を当ててふんぞりかえって立っていた。いわゆる女王様風の立ち姿だ。


 翔は、改めてよくよく観察してみて、その女の子の尊大な態度に少し警戒度を上げた。


────少々ヤバイ系か?


 なぜなら、その女の子の肩のあたりには、何だか見た事ももないような純白の白鳥のような羽が付いているのだ。


 翔は、怪訝な視線を女の子全体に這わせ。


────認識阻害の魔法か.......。


 術式が異質なので気付かなかったようだ。


 女の子には、認識阻害の魔法が掛けられているようだ。


 普通ならその女の子が普通でないと思うところだが、学園内には魔法の効果を少しでも上げるため、おかしなコスチュームをしてくる男女が存在する。


 翔は、そんな厨二な奴かと思って女の子を観察していた。


 しかし、女の子の背中の一対の純白の羽は、妙に本物っぽく動いているようだ。


────キマイラの魔法か? しかしそんな高度で危ない魔法を、この学園の生徒如きが使うとも思えんが………


 翔は訳が分からなくなってきた。


「おい。お前は何者だ?」


 翔は、ここで始めて事態の異常さに気付き、詰問するように鋭く尋ねた。


「はん?」


 その女の子は、翔を見下すように見ながら鼻で笑って見せた。普通に前に立っているのに、見下ろすというのはどんな技なんだろうか。


「あんた。生意気な口を利くじゃない。私の偉大な魔術に恐れをなしてひれ伏しなさい。あなたは今、私の偉大な魔術でここに呼び出されたのよ」


 女の子は、態度が大柄なだけではなく、言葉も尊大だった。


「あなたには、これから重大な事実を告げるから、聞き逃さないようにしなさい」


 女の子は不思議な神々しさのある声で滔々(とうとう)と話し始めた。


 この時になって、翔は女の子が単なる悪ふざけやストーカー行為をしているとの考えを改めた。


────くそっ。平和ぼけしていたぞ.......


 慌てて魔法円に書かれている魔法術式の内容を読み取り始めた。そして直ぐに魔法円に、重大な間違いがある事に気付いた。


 相手の女の子は悦に入って、くだらない話を進めている。


「私の偉大で崇高な魔術で貴方は、新たな世界に転生をさせてあげるのよ。これは本当に稀な事で、とてもラッキーな事よ。偉大な私でこそ初めて可能になる事。あなたは、そこに(ひざまず)いて私に(こうべ)を垂れて感謝するのね。……」


 察するに、この女の子は、この魔術に、大きな失敗がある事に気付いていないようだ。


────馬鹿め。こんな過ちを犯す馬鹿な奴など怖くは無いな。


「お前。神聖四文字(テトラマトン)の綴りを間違えているぞ」


 翔は女の子の訳のわからない話を遮り指摘した。


 ふんぞりかっていた女の子が慌てて足元を見る。


「そんな馬鹿な。偉大な私がそんな愚かな間違いをするはずがないわ」


 女は尊大さを少しも緩めずに言い放つ。


 翔はそこで馬鹿な女に間違いの場所を指差してやった。


 正しい神聖四文字は『ヤハウェ』だ。綴りが微妙に違う。


 女はチラリと翔の指摘する所を見てギョッとしたようだ。ようやくその誤りに気付いたのだ。


(こいつ。絶対ダメ女だ)


 翔は天を仰ぐ仕草をした。


「あんた。こんな状況で、よくも偉そうに指摘してくれちゃうじゃない」


 それでも女は、余裕しゃくしゃくの風を装いつつ、翔の指摘を嘲笑った。


「状況が分からんのだが?」


 翔は、呆れて先を促す。


「あんたは、私の転生魔術によって転生されたのよ」


 女が叫ぶように言った。がしかしそもそも翔は死んでいない。


「まてまてまてまて。お前。そんな馬鹿な魔法陣で、まともに転生なんてできると思ってんのか?」


 翔が女の話を遮ぎった。


 翔の指摘に、女は眉根(まゆね)を寄せて目を三角形にした。


「黙りなさい。これが目に入らないの。これは転生を司る大女神フォーチュナー様が私に託した神器じんき『転生車輪』よ」


 女は、偉そうに神々しく輝く車輪をふりかざして言い放った。


 翔はその『転生車輪』と言う神器(じんき)とやらを見て、それが相当な魔力を秘めたアイテムだと解析した。


────この馬鹿女はともかくこの魔法道具はやばい。この魔法道具のせいで死んでもいないのに転生などに巻き込まれたって訳だな。


 ここにきて翔はただ事ではないと顔を緊張させた。

 レリエルのイラストは、悪役っぽくしました。

 この時のレリエルは、まだレベルが低いので(と言ってもめちゃくちゃ高いですが)翼は一対のみです。

 天使は、レベルが上がると翼が増えます。ちなみに女神は、生まれた時から翼が六対あり、12対まで増えます。

 天使も12対まで増えます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 挿絵やるんならもう少し上手な挿絵にしてくれないか。ヒロインとか出来れば理想な感じで想像したいのに下手な顔が浮かぶ
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