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欠陥だらけの天才魔術師(副題:天災魔術師になった天才魔術師はスローライフを生きて行けるか?)  作者: Seisei
第二章 仲間編

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051 あぁぁ! お前も化け物なの?

 アガサナス悪魔騎士は、目の前の驚くべき光景に身を震わせた。


 数千と数千の軍が正面衝突する迫力は見たものしか分からないだろう。


 アガサナス悪魔騎士デーモンナイトは『空中浮遊リビテーション』の魔法は使えないが、もし『空中浮遊リビテーション』を使うことができたら、空から俯瞰ふかんして戦いを見る事ができるのにと悔やんだ。


 彼はできるだけ戦場の全てが見えるようにと、近くの丘を見つけて登った。距離が遠退くが戦場の全体を見渡すことができるようになった。彼は『遠見とうみ』の魔法を使い戦況を把握しようと戦場を見渡して行った。


 敵はどうやら数千の精霊軍のようだ。彼はその精霊達が召喚されて突然出現したところを見ていなかったので精霊がどのようにして現れたのかは想像もできなかった。


 しかし、こんなにもたくさんの精霊を召喚できるなんて思いもよらなかったから、もし彼が精霊達の突然現れた様子を見たとしても、その光景の本質的な理由は思いもよらなかったかもしれない。


 アガサナスは戦場を見渡しながら、天井にあるまぶしい光源をチラリと見て、好都合な光源だと感謝の念が湧いた。


 しかしアガサナスは、ほんの一瞬してから、自分の認識不足と頭の巡りの悪さに自己嫌悪におにいりそうになったが無理やり現実に意識を戻して(良く考えろ)と自分を叱咤しったした。そしてアガサナスは冷静に良く良く光源を観察し大きさや光量を計測した。


 あの光源は『光沢フルライト』の魔法でできた物であるのは明らかだ。しかし同じ魔法でも魔法の技量が高ければ高いほど効果が上がるのは当たり前だ。見ればあの『光沢フルライト』の魔法により作り出された光源は恐ろしく強く大きい。それから導き出されるのは、この光源を作った者は本当に想像を絶する魔法使いだという恐ろしい答えだった。彼はそれに気づいて背中に冷や汗が出た。この光源を作った魔術師は間違いなく敵陣営にいるに違いないからだ。


(こいつは、第一階位(グレイド)魔法ぐらいは使いそうだぞ……ハウント将軍は小手調べもせずに全面攻撃なんて馬鹿な)


 アガサナス悪魔騎士デーモンナイトは心で吐き捨てるように呟いていた。


 見た所、幸いにして、今のところ悪魔の軍団と精霊の軍の戦いは拮抗しているようでアガサナスが危惧きぐしたような恐ろしい極大魔法が使われるきざしは無いようだ。


 悪魔軍団の上級騎兵キャバリエ・カーネルが配下の中級騎兵キャバリエ・ルテナント・カーネル下級騎兵キャバリエ・メイジャーなどの中隊長達をうまく操りながら、精霊達を包囲殲滅ほういせんめつして行く。


 歩兵達もうまく戦線をまとめて凸型とつがた陣形を作り精霊の伸び切った陣形を二分しょうと奮戦している。


(思い過ごしだったか)

 戦況は悪魔軍団が優勢のように見えた。


 みるみる精霊軍の戦線が分断され、悪魔軍団が後方に雪崩なだれ込んで行った。


「よし!」

 思わずアガサナスは声をあげてガッツポーズを作った。


 雪崩なだれのように悪魔軍団が走り込んで行く先には数人の人影が見えるだけだ。


 アガサナスは『遠見とおみ』の魔法でそれらの人影を大きくして良く確認した。


(おお。見た所あの先頭の大きな女(ヌーブ)がリーダーなのだろう。魔人のようだな)

 アガサナスはそう考えた。


 アガサナスにも闘気バトルオーラがダダ漏れのヌーブが一番強く見えるのだ。ヌーブは翔が作ってやった武具を身につけている。さらに翔はヌーブに武器まで作ってやったのか立派な魔法の薙刀なぎなたを構えているようだ。


 悪魔兵が走りやると、ヌーブは魔法の薙刀なぎなたで容赦のない一撃を浴びせかけた。その一撃で先頭の悪魔達が吹き飛んだ。


 アガサナスはその威力に驚いた。もちろんヌーブの剣技がえていたのでは無くて、翔が作ってやった神代文字の威力が発揮したのだ。


 ヌーブは精霊の戦線を突破した悪魔達を次々と吹き飛ばしている。


 アガサナスは思わず舌打ちした。

「あいつを何とかしろ!」

 大声で叫んだ。


 アガサナスが見るとレベル100は超えるだろう上級騎兵(キャバリエ・カーネル)一人や同じようにかなりのレベルの数人の中級や下級の騎兵キャバリエが束になってヌーブにかけて行くところだった。


「よしよしよし」

 アガサナスは思わず大声を上げて応援した。


 先頭の上級騎兵(キャバリエ・カーネル)斬馬刀ざんばとうを振り上げヌーブに鋭い斬撃を振り下ろした。


「おお。見事!」

 アガサナスが叫ぶ。


 上級騎兵(キャバリエ・カーネル)の斬撃は見事、ヌーブを切り裂いていた。


 続いて束になった騎兵キャバリエ達がヌーブを次々に切り裂いて行く。


「勝った!」

 アガサナスは諸手を上げて叫んだ。


 しかし、彼は直ぐに絶叫を上げた。


 最初に、上級騎兵(キャバリエ・カーネル)を含む騎兵キャバリエ達が一瞬で無慈悲なミキサーにかけられたかのように空に舞い上がった。


 続いて、その後ろから攻めていた悪魔の軍団の数十名がバラバラでメチャクチャの肉片と化して空に舞い上がった。


「な、な、何が起こっているんだ?」

 アガサナスは唖然としながら呟いた。


 精霊の戦線を破って突出した悪魔達が瞬く間に吹き飛ばされあっという間に戦線まで追い出された。精霊の戦線が修復される。


 アガサナスが『遠見とおみ』でその存在を見ると魔人の小さな女の子だった。暗黒魔法の巨大な黒剣を振り回しているのだ。


 それは狂戦士化バーサクすらしていないイリスだった。淡々と処理しているかのようなその姿にアガサナスは戦慄を覚えた。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


【マム村の村長の屋敷。臨時の復活の天宮】



「ララさん。気づかれましたか。私はサラです。ララさんは復活しました」


 ヌーブこと、ララは目の前の美しい女性の顔を呆けたように見つめた。死にそうなほど辛い。全身がバラバラになりそうだ。


「今から、復活障害を取り除く魔法をかけますね」

 聖母マザーサラがそう言ったかと思うと身体が楽になった。


 ララは思わず大きなため息をついた。


「ララさん。起きれますか? 翔さんからあちらに服や鎧兜、薙刀なぎなたが届いていますよ」

 聖母マザーサラがそう言った。


「無理です!」

 ララは死の恐怖に顔を引きつらせて叫んだ。


「ララさん。貴方に話があります。辛いでしょうが聞いてくれますか」

 聖母せいぼサラが尋ねた。


「はい。何でしょうか」

 ララは少し警戒している顔をしていたがそれでも承諾した。


 聖母マザーサラは、翔との出会いから現在までの物語を語った。特にゼノ要塞におけるゴブリンとの死闘のくだりは、ドラマチックに語った。


「この話は、地上のユーリ王国という国の王様にも話しました。王様もこの話を聞いて戦場に戻って行かれましたよ。貴方どうします?」



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


【戦場】


「戻ったか。ララ。お前の戦い方はダメだ。闘気バトルオーラがダダ漏れ。闘気バトルオーラは言ってみれば気迫きはくだ。意識で壁を作る感じで敵が来たら跳ね返す感じだ。こんな感じだ」

 翔が身振りで教えてやる。少し闘気バトルオーラを出したり引っ込めたりして感覚を伝える。


「はい。こうですか」

 ヌーブが真似てやってみるが全く効果がない。


「違う。俺が闘気バトルオーラを出して叩きに行く。お前は必死で止めてみろ」

 翔はそう言うとわざと強い闘気バトルオーラを出してヌーブを斬る振りをした。


「ぎゃ!」

 ヌーブはそれだけで本当に殺されたような声を上げた。それほど翔の闘気バトルオーラに殺気を感じたのだ。


「ぎゃ。じゃないだろう。防御しろよ。もう一度行くぞ」

 同じように、翔はヌーブに闘気バトルオーラを放ちながら切りつける振りをした。


「ぎゃ!」

 結果は同じだ。


「ぎゃ。じゃねえだろう。防御しろよ防御」


 そのようなやりとりが何度も繰り返される。その間も戦線は混戦状況だ。


 しばらくしてまた、戦線に穴が開き、悪魔達が雪崩れ込んできた。


「ララ。行くぞ」

 翔はそう言うとララを連れて走り始めた。


「確実に倒せると思う奴だけお前が倒せ。後は俺がなんとかする」

 翔はそう言うと自から走り始めた。


 慌ててヌーブも後を追った。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


【アガサナス】


 また、戦況が膠着こうちゃくしている。しかし、ハウント将軍は良く戦っている。


 うまく、軍団を纏め上げて、精霊の戦線を局所的に攻めている。


 しかし、あの魔人の女の子が戦線の後ろに待ち構えているのだ。


 その時、アガサナスは思わず叫んでいた。

「死んだはずだ!」


 あの一番大きな人族の女が別の者と打ち込みの練習をしているの事に気付いたのだ。


 アガサナスはしばらくその様子を見てから、治癒魔法で治したのだろうと結論づけた。


(人間ども。なかなか参らないな)

 アガサナスは頭で考えた。

(しかしあの魔人はヤバイぞ。ハウント将軍。どうすんだよ)


 そんな事を思っていると、精霊の戦線にまた、亀裂ができる。そこに鋭くハウント将軍麾下(きか)の魔族の騎兵キャバリエ達が切って入った。


「ハウント将軍。うまいがしかし大丈夫か」

 アガサナスは思わず大声で独り言を言っている。


 精霊達の戦線が切れたところから、先程と同じように上級騎兵(キャバリエ・カーネル)を先頭に騎兵キャバリエ達が精霊軍の分断に成功した。


 今度は、あの大きな人族(ヌーブ)と練習をしていた()の二人が精霊軍の亀裂に向かって走って行くのが見えた。


 アガサナスは嫌な予感を覚えながらその様子を見ていた。あの大きな人族(ヌーブ)は大丈夫だろうがもう一人の長い棒のような物を持った()がどれほど強いのか今は確信を持って予測できないのだ。


 みるみるうちに悪魔の上級騎兵(キャバリエ・カーネル)()が接触。やはりと言おうか、上級騎兵(キャバリエ・カーネル)は、無残なバラ肉と化して空に舞い上がって行った。


(お前もか)

 アガサナスはガックリと馬のくらの上でうなだれながら思った。それからは痛ましくて戦場に視線を戻すことができない。


 しばらくして恐る恐る視線を戦場に戻した時、アガサナスはその光景が一生忘れられない物になった。


 長い棒を持った()は、その棒を縦横に振るって、戦場の悪魔兵達をぎったぎったに斬りまくっているのだ。棒で斬るというのはおかしな表現だが、確かに()が棒を振ると手足頭が飛んで行くのだから叩くのではなく斬るとしか表現ができない。


 しかも腹立たし事に、その()は、彼の後ろにいる大女ヌーブ薙刀なぎなたの使い方を教授していると思われるのだ。


 なので()は、棒を薙刀なぎなたのように使うので手足が斬り落とされて行くのだと思われた。


 哀れな練習台として葬り去られる同胞を見ながらアガサナスは無意識のうちに「おお!」「おお!」と大声で叫んでいた。


 しかし、アガサナスがこれまで見た事はこれから見る事になる惨劇のほんの序章でしか無かった。



051 了

先週はあまり更新できず申し訳ありませんでした。


今回、敵が少し可哀想な感じですみません。基本、勧善懲悪を目指しているんですが許してください。

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