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欠陥だらけの天才魔術師(副題:天災魔術師になった天才魔術師はスローライフを生きて行けるか?)  作者: Seisei
第二章 仲間編

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043 そんじょそこらの魔王じゃねぇよ

【魔王城の魔王の間】



 魔王は自分が完全体になるのを待っていた。普通なら、完全体になるにはそれ程時間がかからないはずだが、思わぬ邪魔が入った。


 魔王は部下達の目を通して全ての事象を分析し、何が起こっているのか理解しようとした。


(なぜだ。僕は創造神様からこの世界を自由にしろと言われてここに来たはずなのに……)

 そう思いながら魔王はエロヒムとのやり取りを思い出していた。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 あっ。と思ったら真っ暗な所にいた。


《君は死んだんだよ》

 何かよくわからないが心の中の声がした。


 そう。思い起こせば、事故で。小さな女の子が猫だか仔犬だかを追って道に飛び出したのを見たと思った瞬間に飛び出して助けていた。


「女の子は?」


《ああ。彼女も死んだよ》


(犬死ですか?)

 何とも情け無い思いをした。


《しかし、君の行為に私はスーパー感動したんだな》

 その声が言った。


「貴方は神様ですか?」


《そう。そう。私は絶対的な神だよ。本当》


(なんだか、本当になんて言うのが怪しい)


《いやいや。怪しくないぞ。私は、創造主であり、絶対的な本当の意味の神で、エロヒムって言う》


(エロ?)


《まてまて、君の世界でも『エロヒム』と聖書に書かれているぞ。「天から降りてきた人」って意味だ。ググってみたまえ》


(死んでて無理ですけど)


 それには神様、スルッとスルーした。


《君は尊い行いをして死んでしまった。そんな君にワンチャンスだ》


(何だかこの神さん。ググるだとか、ワンチャンスだとか表現が……)


《とにかくだ。私の世界は、素晴らしいところだ。魔法あり。ファンタジーだ。しかしだ。私の世界には神の名を偽るもの達が大勢いる》


(この神様。説明下手くそ)


《君ね。説明しにくいから少し黙っててくれ》


「へへへ。勝手に頭が考えちゃうんで」


《早い話。君を私の世界に転生させてやろうって言ってんの。ただ少しお願いがある》


「お願い?」


《そうそう。あっちの世界。ユグドラシルって言うんだけど。あっちの世界では君は魔王になってもらう》


「はあ?」


《驚くだろうね。私の敵はあっちの世界の神々だからね。言ってみれば私は邪神だ》


「魔王。怖いんですけど」


《大丈夫だ。今迄はあっちの世界の神々に邪魔されていつも失敗だったけど……》


「失敗してんかい」


《まぁ。まてまてまて。今度はよくよく考えたよ。私は時間の概念がないから適当にいい物件・・……いや。いい人材・・があったら何も考えずにあっちに送ってだんだけど、最初は裏切られた。あっちの世界で魔王として楽しく生きちゃってくれたんだな。その裏切りもの達のせいで新しい魔王は退治……。いやいや。まぁ。いろいろ有って、失敗続きだったんだが。今回は考えた。まず、どうでもいい人材をばら撒いて囮にし、最後にちょっと良いのを囮として本格的な蝕を起こし、皆がそれに気を取られているうちに君を送り込む。完璧な作戦だ》


(何か不安だらけ)


《まぁ。そう言うな。所詮君は死んだんだよ。やり直しのワンチャンスを逃す手はない。それに魔王とは言え君は今のその姿で蘇るし、オマケに転生前の知識も消さずに置いておいてやるし、それにたくさんチート能力を授けてあげる》


「チート?」


《食いついたね。そうチート能力だよ。この世界ではせいぜいレベルは30前後が限界なのに君には最初からチートな限界レベルをあげるよ。それと成長速度の加速。さらに魔王らしく魔物を支配する能力にそれから魔王城を今回はプレゼントしちゃおう。いつもは自分で作ってもらってるんだよ》


(うーん。美味しい話には裏があるって言うよね〜)


《ほう。君はちょっと用心深い達の人なのかな。まぁ、良い。じゃ、もう一つオマケに君には仔猫をオマケしてやろう》


「仔猫?」


《そうだ。君が命懸けで助けようとした仔猫だよ。そいつに強い魔力を与えて君のしもべしてあげるよ。可愛がってやってくれ。じゃ、頑張ってね》


「待ってくれ。あの女の子はどうなる?」


《ああ。分かった分かった。あの子も何か使ってやるよ。面倒なやつだな》





 魔王は、そもそも自分が転生させられた経緯を頭から振り払った。


(さて。この軍隊をどうやっつけるかだけど)


 魔王は首をひねった。


「ミケ。こっちにおいでよ」

 魔王はペットのミケを呼ぶ。創造神のエロヒムが魔王にプレゼントしたネコだ。


 魔王が自らの命と引き換えにしてそれでも助けられなかったネコだ。


「なゃんだ? 魔王チン」


「魔王チン。言うな! 変なもん付けるな」

 魔王が叱り飛ばす。


 それだけで魔王城が振動した。


 ミケ以外の魔王の部下達が震え上がる。


「ごめん。ごめん。つい」

 魔王が魔物達に謝った。


 ここ。魔王の間にいるのは、『奈落の迷宮』内にいた大ボス達だ。それに『奈落の迷宮』で暮らしていた魔族や魔人などもいる。


「ミケ。魔人と魔族の違いってなんなんだ?」

 魔王が尋ねた。ミケはただペットとして転生したのではなく便利魔物として転生した。世界樹の根っ子や枝葉などの器官がネットのような機能を持った情報ネット、世界樹ネットの端末の役割をしてくれているのだ。


「それはだにゃ。魔精結晶を生物にする時の器とされるのが、人間なら魔人、魔物なら魔族だにゃ。知能が低いと魔獣と呼ぶんだにゃ」


「魔物との違いはなんだ?」


「魔物は魔力が溜まってできた魔核で作られる。まぁ、魔精結晶よりもエネルギーが小さいって思っていればいいにゃ」

 ミケが答えた。


「何だそんな違いかよ」


「お前達。外の奴らは何であんなに不甲斐ないんだ?」

 魔王が周りに聞く。


「す。すみません。魔王様に魔力をたくさん分けて頂いていると言うのに。あのアンデッド共は……」

 魔族の一人が言った。


「ウコバク。お前の主人は僕と同じ魔王なんだそうだな。悪魔皇帝だっけ。そいつを連れて来い。僕の手下にしてやろう」

 魔王が言った。


「魔王様。私は大きな失敗をしてここに逃げ込んだところをあなた様の配下とされました。あなた様のような偉大な魔王様を支持できるならこれ以上の喜びはありません。ですが悪魔皇帝ベルゼブブ様を軽く見られるのはどうかと」

 ウコバク悪魔従男爵デーモンバロネットは言った。


「そうか。僕でもまだ成長が足りないかい?」


「あなた様は、生まれながらの魔王様。そんじょそこらの魔王とは違う方。さらに成長されて世界を征服される方だと思いますが。魔王城の前の奴らは私を追ってやって来た恐ろしい半神英雄エインヘリャル達です。奴らを魔王様自ら狩って頂ければ」

 ウコバクが力強く進言した。


(うう。あんなの殺せないよ)

 魔王は思わず尻込みする。人間を殺せなんて簡単にできるはずない。幾ら魔王になっても心は人間のままなのだ。


 魔王は自身の恐ろしいようなオーラに周りの全ての生き物が恐れをなして近づかない事に不安が強い。これ程、神から授けられた力がチートな力とは思わなかった。


 魔王は、想像を絶する展開にただただ戸惑っていた。


043 了

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