#15 模擬戦~セレスティア~
戦いにしては短かったかな?
それと10万PV突破です!!
いつもありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。
トールです。突然、戦うことになりました。
「では、トール殿はあとに回して、まずセレスティア殿から実力を見せてもらおうか。相手は…」
修練場に着くと王様が実力を計る為、ティアの対戦相手を探していると…
「父上、私がやりましょう」
エルザ王女が立候補してきた。
「エルザか…うーむ・・・」
ん?何か問題があるのか?
「不死結界を張るのでしょう?であれば、問題無いかと…私は実力的にもランクCぐらいはありますので」
あー、試験官として合わないってことかな?
「…まあ、よかろう。では、すぐ着替えてこい」
「はい」
そう言うとエルザ王女は小走りで衣装チェンジに向かった。
「セレスティア殿の相手はエルザでよいとして、トール殿の相手は…」
「はい!!はい!!俺がやる!!」
クリフ殿下が食いぎみに王様に詰め寄った。
「えーい、離れろ!!・・・にしても、クリフォードか…お前が出るとトール殿の実力は計れないんじゃないか?」
王様はクリフ殿下を突き放すと、クリフ殿下の提案に疑問点を挙げてきた。
「いやいや、父上。俺も情報収集はしてるんだぜ。なんでもランクCと模擬戦を行って圧勝したという情報を得ている。しかも、アンデットとの戦いを見るに、気配と強さが合ってないんだよ。トールは実力を隠してると思うぜ。つーことで、トール!!手加減だけはするなよ!!」
いやー、クリフさん鋭い!!…やベーな本気出したら一瞬かも・・・最初は受けにまわるかな。
「まあ、クリフォードがそこまで言うならばやってもらおうか。トール殿期待しておるぞ」
「ハハハ…ガンバリマス」
「では、審判は騎士団長のルシアン。頼んだぞ」
「はっ!!承りました」
王様は隣に居た鎧を着こんだ魔人の騎士に命令を出した。
その人は190cmくらいで小麦色の肌をしており、赤い髪をスポーツ刈りにしている30代くらいの成人男性だ。顔はイケメンだよ!!チクショー!!
「父上、戻りました」
模擬戦に移行しようとしていたタイミングでエルザ王女が戻ってきた。
「おお、ちょうどいい。早速始めるとするか。エルザとセレスティア殿は中央へ」
「エルザ!!ちょっと来なさい!!」
エリアーナ王妃がエルザ王女を呼び寄せると、時々こちらを見ては話をしている。作戦会議か?
なら、こっちも…
「…ティア、相手が何か企んでるみたいだ。注意しろよ」
「うむ、分かっておるよ。しかし、いくら王女との模擬戦と言えど負けたくはないのう…」
おろ?ティアって負けず嫌いだったっけ?
「ティアが負けず嫌いとは初めて知ったよ」
「いや、負けず嫌いとは違うんじゃが…」
「ん?じゃあ何で?」
「う…主殿の…パートナーでありたいんじゃよ…」
「え?どういうこと?」
「主は強い。強すぎる。王子にも勝つじゃろう。そうなると我の実力によっては「日月」の欠点が我ということになってしまう。だから、ここで王女に勝って他者に認めてもらえれば、他の者にもパートナーと認めてもらえると思うのじゃ。だから、これは負けず嫌いではなく、我のわがままなのじゃ」
・・・ヤッベ、めっちゃ嬉しいんですけど…
「おし、じゃあ少しヒントを上げよう。
まずティアが魔法主体だとさっき言っていた情報収集でバレていると予想される。エルザ王女はそれを見越して開始直後突進して早期決着を決めにくるんじゃないかな?
なら近付けさせない方法をとろう。
相手の足を止める方法…それは、恐怖心を煽ること。恐怖心を煽るには五感…今回は視覚や聴覚だな…それを壊せばいい。その方法は俺が既に示している」
「既に…あれか!!」
「それとティア、『虚無魔法』以外を全て使って、高速で広範囲の避けれない魔法を撃てば『心眼』のレベルが高くない限り絶対当たるよ。以上だけど、ヒントって言ったけど作戦会議になっちゃったね。自分らしく頑張れば勝てるよ」
「ああ!!ありがとう主殿!!」
そう言うとティアは弓を取り出しながら修練場の中央へ歩き出した。エルザ王女もそろそろ位置に着きそうだ。
・・・
「両者準備が出来たようですね。それでは、始め!!」
騎士団長の号令でティアとエルザ王女の模擬戦が始まった。
ティアは俺の助言で『フラッシュバン』を発動しようとしていたので、俺は風と闇の保護魔法の『プロテクト』を対戦者以外に発動させた。ラウンド市での模擬戦ではこれを俺のみにしか発動させなかった為、皆に怒られた。そのあとティアにはこの魔法を教えているので、今回は使用しているだろう。王様たちは突然目と耳が効かなくなったのでキョロキョロしていたが、ここでティアの魔法が発動、修練場が明るくなり、全員がその光を直視した。
光が収まってきたので俺が魔法を解くと、先ほどよりも間合いを半分ほど詰めていたエルザ王女と、そのまま立っているティアが見えた。そして、ティアが間髪を入れずに『プリズン』を発動。多分光が収まる直前に『アクセル』も使ってるな。発動が速い。そうして発動した魔法はエルザ王女を氷の牢獄に閉じ込め、行動を停止させられた。
1分ほどエルザ王女は氷の中で抵抗していたが、動けない為に何も出来ず、息も出来なかったので徐々に弱っていった。そこで騎士団長が判断を下した。
「勝負あり!!勝者セレスティア!!」
ティアは魔法を解くと、エルザ王女に一礼し、俺の下へ走ってきた。
「主殿、主殿!!勝てたのじゃ!!やったのじゃ!!」
と、言いながら俺に抱きついてきた。
あ、なんかいい匂い…
「よ、よかったね。俺も嬉しいよ。でもここでその表現はちょっとやり過ぎかも…」
「え・・・きゃっ!」
ティアは小さな悲鳴を上げながら、いそいそと俺から離れた。
パチパチパチ…
「いやー、素晴らしい魔法だった。あの光はセレスティア殿のオリジナル魔法かな?」
王様たちが拍手をしながら近付いてきた。
「いえ!!あれは主殿が創った魔法です」
ティアは王様が背後に現れたので、急いで振り返り、直立不動となった。
「そうか…トール殿、出来れば魔法の解説と我々になぜ魔法を施したのかの説明をお願いできないだろうか」
「かしこまりました。あの光は目と耳を壊す為の魔法です。激しい光と爆音で対象の五感を狂わせ、恐怖心により足を止めるのが今回の魔法の役割でした。しかし、それをそのまま使用すると自分にも影響するので、目に入る光と耳に入る音を制限しなくてはいけません。ティアはその魔法も発動して自分を保護していたので、即座に次の行動に移せました。今回は自分が陛下たちに影響の無いように対戦者以外全ての人にその魔法を掛けました。事前説明をせずにすみませんでした」
そう言って俺は王様たちに頭を下げた。
「それは…嫌な魔法だな。模擬戦を伝えたのはついさっきだ。事前説明は無くても仕方ないだろうな。しかし、エルザが近接戦闘を仕掛けるのがこの短時間で判っていたのか?」
「あくまで予想です。クリフ殿下が自分たちのことを調べたと仰っていましたので、ティアの戦闘方法も知っているのではと思いました。それにエルザ王女の装備を見て、重量を抑える装備だったというのも近接戦を狙ってるのではないかと思った理由の一つです」
「そこまで判っていたのか。感服したよ」
エルザ王女がエリアーナ王妃に連れられ俺たちの前に現れた。
「ありがとうございます。ただ、近接戦が強く予想されたのは、クリフ殿下の発言やエルザ王女の装備の件より、エリアーナ王妃がエルザ王女を呼んでこちらを見ながら話をしていたからと言うのが一番の要因ですね」
「どういうことだ!?私が悪いと言うのか!!」
エリアーナ王妃が俺の発言にビックリし、声が若干裏返っていた。
「ただ呼んでエルザ王女に助言をするだけなら、何度もこちらを見ながら話すことは不自然だと感じました。それに初見の相手です。相手の情報がない状態なら話すこともそうないでしょう。だから自分はこっちのことが知られているのだろうと思い、ティアに魔法を使って勝つための助言をしました」
まあ、これでも予想は粗いんだけどね。俺には軍師や参謀は厳しいかな…
「・・・そうか。言われてみれば、対戦者の前で作戦会議をするのは、相手に対策があることを教えているようなものだな。いや、素晴らしい洞察力だ」
エリアーナ王妃…褒めすぎです。
「まあ、たまたまではあるんですがね…お褒めの言葉ありがとうございます」
「トール殿の違った一面を見れて面白かったよ。セレスティア殿も模擬戦ご苦労だった。
では、次のクリフォードとトール殿を始めようか」
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名前:セレスティア
種族:エルフ
年齢:167歳
職業:奴隷-探索者-ランクD「日月」
犯罪歴:違約金未払い-100000モル
レアスキル
・『心眼Lv.6』
スキル
・『弓術Lv.6』・『杖術Lv.3』
・『気配察知Lv.6』・『気配消失Lv.5』
・『看破Lv.6』・『魔力操作Lv.7』
・『並列思考Lv.7(↑)』・『接客Lv.3』
・『算術Lv.3』・『異常状態耐性Lv.4』
・『魔物知識Lv.3』・『物品知識Lv.3』
・『調合Lv.3』・『異常状態付与Lv.2』
・『裁縫Lv.1』・『合成Lv.4』
魔法スキル
・『無魔法Lv.6』・『水魔法Lv.6(↑)』
・『風魔法Lv.5』・『光魔法Lv.7(↑)』
・『火魔法Lv.6(↑)』・『地魔法Lv.4』
・『闇魔法Lv.4』・『時空間魔法Lv.4』
・『虚無魔法Lv.3』
所有者
・トール
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