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すきと~る -えっ!視えるの?-  作者: 守りの神殿
第3章 王国の戦友
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#13 はじめてのおおさま

ちょっとした雑談になってしまった…

5の月30日

ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン


4つの鐘の音が王都に響き渡った。


そんな中、俺は今ドナドナ中。


早目に馬車が宿に着いて出発も早まったので、もうそろそろ王城に着く…てか、着いたみたいだ。

門がデケー…あ、あれが城か…きれいなシンメトリーになっているな。


馬車が入口に着くと、昨日の執事さん…コンラッドさんが俺たちを出迎えてくれた。


「お待ちしておりました。王子は謁見の間でお待ちです。案内致しますので、私の後に付いてきて下さい」


「分かりました」

・・・?謁見の間?


「では、こちらです」

そう言うと、コンラッドさんは先導して歩き始め、俺たちもそれを追った。


俺は先程疑問に思ったことを、声を小さくしてティアに聞いてみた。


「…ティア、謁見の間って王様と会うところだよね?」


「…そ、そうじゃ。多分、会うのは王子だけではないと思うぞ・・・」

あ、今気付いた。ティアの表情が固い。

待て待て!俺、謁見の方法知らねーぞ!?


「…ティアは謁見の方法知ってる?」


「…すまないのじゃ。我は道中で王族等に会った時の方法しか知らぬ」


「私がお教えしましょう」

あ、コンラッドさん…聞こえてたのね。


「まず、謁見の間の入口にいる騎士が扉を開けますので、そのまま広間の中央までお進み下さい。

その後、膝を付いて頭を下げ、口上…そうですね・・・探索者ランクD、パーティー名「日月」、第3王子の命により参上しました…とでも述べれば良いでしょう。

後は、陛下が顔を上げるように促すと思うので、言葉通りにし、楽にするように言われたら立つ…という流れになると思います」

陛下って…やっぱり、王様に会うのね…


「ありがとうございます。コンラッドさんのおかげで失敗しなくて済みそうです」

コンラッドさんは「いえいえ」と言い、先を進んでいく。



・・・



5分くらい歩いたか?コンラッドさんがある入口の前で立ち止まった。


「謁見の間に着きました。後は、先程教えた通りに…」

と、言うとコンラッドさんは騎士に扉を開けるように促した。


騎士はノッカーを鳴らしたあと、一拍おいて扉を開いた。


「陛下、(くだん)の探索者が参っております。お通ししてもよろしいでしょうか?」


「ああ、頼む」


「了解しました。…では、「日月」の皆様どうぞお入り下さい」

俺たちは騎士に促され、謁見の間に入った。俺たちは、先程教わった通りに事を進めていく。


「探索者ランクD、パーティー名「日月」、第3王子の命により参上しました」

俺は広間の中央まで進み、膝を付いて口上を述べた。


「うむ、顔を上げよ」

言葉に従い、顔を上げた。


目の前には王様が座っており、その隣に3人の男性--1人は第3王子なので、残りは第1と2の王子だろう--が立っている。

王様を挟んで王子たちの反対側には7人の女性--多分、王妃3人に王女4人かな?--が椅子に座っていた。


何でこんなに居るの?てっきり、王様と王子だけだと思ってたんだけど…


「まずは礼を…クリフォードと騎士たちを救出してくれたことを感謝する」

王様は頭を下げて、俺たちに礼を言ってきた。


「い、いえ、判断したのはキャメロン商会の人ですし、俺…自分がやったことは指示に従って、アンデットを倒しただけですから…それに、王子より謝礼金も受け取ってますし…」


「いや、お主が全て討伐したことで、結果的に国民を助けることにもなっている。その事でも、ここにいる(みな)がお主たちに感謝している。どうか我々の感謝を受け取ってほしい」

王様たちだけでなく、周りに居る騎士と貴族?も一様に頷いている。


「そこまで…はい、分かりました」

さすがにあそこまで言われてはお礼を受けるしかない。


「ちち…陛下、感謝する相手をあのままにしておくのも如何なものかと…」

第3王子は俺たちが膝を付いたままなのに気付き、王様に注意を促した。

前に会った時と口調が違う…性格作ってんな。


「おお、そうであった。すまない。立って楽にしてくれ」


「はい」

俺たちは言葉に従い、起立した。


「それでは、今回の件が何故起こったのかをお主らに説明しておこうか…」

ん!?なんかこれを聞いたら後に退けないような…不味い!先手を打たないと!!


「いや、その様な重要事項を一探索者に説明して頂かなくても…

我々も感謝の言葉を貰いましたので、この辺で・・・」


「オイオイ、ここで逃げても結局巻き込まれるんだ。大人しく聞いておけ」

なに言っちゃってんの!?この第3王子!!口調も戻ってるし・・・


「うむ、お主らに指名依頼を出すので結局は参加してもらうことになるんだが…クリフォード、いつも注意しているが、その口調を直せ」


「ハハハ、父上、これはこれで役に立つこともあるんだ。それに、ここにいる全員俺の性格や口調は知ってるんだ。今さらだろう。さっき口調を丁寧にした時は鳥肌もんだったんだぜ」

あ、直す気ないんだ…まあ、親しみやすくはあるからいいのかな。


てか、指名依頼って…


「あの~質問なんですが、指名依頼って絶対に受けることが前提にあるんですか?」

俺は控えめに挙手をして質問した。


「ん?うむ…お主らはランクDだったな。

基本的に指名依頼はランクB以上が受けると、ギルドのルールでなっているはずだから知らないのも頷ける。指名依頼は絶対に受ける必要はない。

しかし、今回はギルドと共同でことに当たる為、今王都にいるランクD以上の探索者は余程の依頼がない限り強制参加になっているはずだ」

マ、マジか…


「あ~、ご説明ありがとうございます。と言うことは、第3王子がおっしゃった通り、結局は討伐に参加することになるんですね…」


「そういうこった。あと、俺のことはクリフと呼べ。王子とか体がむず痒い・・・」

軽いな王子!!てか、出来そうにないことを言うな!!


「まったくお前は…まあ、大体はお主の言った通りだ。しかし、指名依頼を受けて置けば通常よりも報酬が良い…とだけ付け加えておこう」


「それは…もう受けるしかないじゃないですか…」

俺は頭を垂れた。ティアは「ハハハ…」と苦笑いしている。


「ま、そうなるわな。あと追加で言っておくと、指名依頼を受けたら俺の部隊と共に最前線で目標まで一点突破することになるから準備だけはしておけよ」


「はいー!!なんでそうなるんですか!?」

俺は謁見の間に響くくらいの大声を出した。


「そう(わめ)くな。あんだけの力があるんだ有効活用しない手はないだろう。なに、俺の部隊は優秀だ、危険はない…とは言えんが、何処に居ても同じだと思えるくらいには安全だ」

そこは断言してほしかった!!


「すまんな。だが、クリフォードを助けた時の話が本当なら、確かに有効な攻撃方法になり得るのだ。

クリフォード自身がランクAに匹敵する力を持っているのに加え、クリフォードと共に育った王都でも屈指の部隊、そしてアンデットを一瞬で殲滅することの出来る探索者、これらが揃えばアンデットを操っている首魁の討伐も早まり、安全確保も容易くなる」

あー、確かに…戦略的には早期解決が見込めてるからいいのかも…超攻撃的ではあるけど


・・・ん?


「ていうか、首魁が分かってるんですか?」


「うむ、それで先程の話に戻るのだ…」


王様は今回の事の発端を話し始めた。

次回、アンデット発生原因

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