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すきと~る -えっ!視えるの?-  作者: 守りの神殿
第3章 王国の戦友
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#9 マレノ王国第3王子

事後処理回です。

「皆さん大丈夫ですか?」

俺は皆を正気に戻すために近付いて声をかけた。


「はっ!?お前ら急いで状況の確認をしろ!!確認後、早急に城へ戻る!!」

意識が戻ったのか、あの身分のよさそうな人がすぐに命令を出し、俺たちに話し掛けてきた。


「助力感謝する。俺はマレノ王国第3王子クリフォード・コリント・マレノだ。助けてもらって言うのもなんだが、何故ここにいるんだ?」


「俺…いや、私は探索者ランクCの「男祭」のグスタフだ…です。私たち4パーティーはキャメロン商会の護衛依頼で偶然通りかかったんだ…です。ダメだ、サイラス代わってくれ」

グスタフさんは敬語が苦手なのか、後ろにいるサイラスさんに助けを求めていた。

俺も後ろを振り向くと、他の人たちは跪いて頭を下げていた。


・・・あれ!?俺もやった方がいい?

ティアもやってるし…教えてくれよ!


「あー、気にするな。他の奴は知らんが、俺に敬語を使う必要も跪つく必要もない…人にもよるがな。しかも、こちらは助けてもらった側だ。むしろ、俺が頭を下げなきゃいかんくらいだ」

おぅ、第3王子ってフランク。

俺が不敬罪にならなくて、ほっとした顔をしていると、王子がこっちを見てニヤリと笑っていた。

恥ず!!気付かれてた!!


「えー、ランクC「鎌鼬」のサイラスです。続きですが、王都へ向かう途中でここでの異変に気が付き、またその中で戦っている人達がいることが判明した為、今回の護衛対象であるキャメロン商会の責任者…シモンさんの号令で駆けつけた次第です」

全員が立ったあと、サイラスさんはグスタフさんから引き継いで説明をし始めた。


「そうか…悪いがその責任者を呼んで来てくれ。俺は騎士たちの報告を聴いてくる。お前たち探索者は、アンデットの素材を集めておけ。俺たちに素材は無用だ」


「分かりました。…皆、とりあえずアンデットの素材…というか魔石や装備品を集めよう。分配は時間が出来たら改めてやろう。ハンスさんはすまんがシモンさんたちを呼んで来てくれ」

サイラスさんの指示で俺たちは行動を開始した。



・・・



「おう、終わったか?」

第3王子…どんどんフランクになっていくね。


「はい、王子…こちらがキャメロン商会のシモンさんです」


「お初に御目にかかります…王子。キャメロン商会輸送課のシモンと申します。この度はご無事で何よりです」

輸送課なんてあったんだ…


「いやいや、聞くところによるとお前の英断で彼らが駆けつけてくれたそうじゃないか。助かった、礼を言う」

王子がシモンさんに頭を下げていた。第3王子、市民の好感度高いだろうな。


「ありがとうございます」

シモンさんも頭を下げた。


「でだ、お前らへの礼だが、俺たちは今回の出来事の報告の為、急いで城に戻らなければならない…なので、探索者ギルドとキャメロン商会へ助力の謝礼金を先に王都に戻って渡しておく。この証明書を見せて受け取ってくれ」

王子が2枚の紙を差し出し、シモンさんが受け取った。


「お心遣いありがとうございます。道中お気をつけて」


「ではな!!また会おう!!」

そう言うと王子は騎士を連れて去っていった。


俺たちも王子が出発した後この地を離れ、再度王都に向けて出発した。

アンデットが大量発生した理由…王子は知っていたのか・・・

その時は誰もその事を気にもしていなかった。



・・・



その日の夜のこと…


「さて今日の戦闘の分配だが…今回の功績を鑑みて、全体の5割以上を「日月」に渡していいと俺は思っている。そこで、「日月」以外の3パーティーに問いたい。分配の割合はどうする?」

サイラスさんが皆にとんでもない提案を持ち掛けた。

場が騒ぎだした…各パーティーで相談を始めたみたいだ。

俺とティアはお互い困惑しながらも、静観する事に決めた。


パーティー内での相談が終わったのか、「男祭」が先手をきって意見を出し始めた。


「俺たち「男祭」はサイラスの案に賛成するぜ。実際、ほとんどのアンデットを倒したのはトールだ。まあ、俺たちも少しは倒したから「日月」に7割、残り3割を俺たちで分けるくらいでいいんじゃないか?」

こうグスタフさんが言うと、


「「鎌鼬」も同じ意見だ。グスタフが言うように、ほとんど戦ってないという事実がある。俺たちはそこまで面の皮は厚くないさ」

司会をしていたサイラスさんの代わりに、ヴィンスさんが「男祭」に同意を示した。残りは…


「「ホープレイ」もほぼ同意する。だが、割合は「日月」が6、他が4でいいと思う。王子への対応などは全てサイラスさんなどがやったのだから…それと…いや、今はいい。これが俺たちの意見だ」

「ホープレイ」のアーサーが譲歩した!!槍でも降るんじゃなかろうか…


「ふむ、意見はほぼ一致。分配は7:3か6:4のどちらかか…当事者だが、「日月」にも意見を聞いていいかな?」

サイラスさんが俺たちに意見を求めてきた。


「そうですね…では、7割私たちに頂けませんか?」

俺はニヤッと笑って返答した。


「なっ!お前!!図々…」

「ただし、この護衛が終わった際の打ち上げの代金は全て「日月」で持ちます。どうですか?」

俺はアーサーの言葉を遮り、全員に提案をした。

皆は呆然としていたが…


「ガハハッ!いいねぇ!俺は賛成だ!!ただ酒呑みまくるぜ!!」

と、グスタフさん。


「あたしも遠慮しないよ~!好きなだけ酒が呑めるのは久しぶりだからね!!」

と、カミラさん。


「トール…ご馳走さま」

ヒューゴーさん口下手ですけど嬉しそうですね。


「ハハハ!いいじゃないか!!こちらも倒れるまで飲ませてもらおうか!」

おお、アーサーが笑ってる。何気に初めて見たかも…

あ、クラリスに怒られてる…前回潰れてたからな~


「ククク…では、トールさんの意見を採用でいいですね!!」

サイラスさんが賛否を促すと…


「「「「「「「「「「「「賛成!!」」」」」」」」」」」」


俺の案は満場一致で採用された。

報酬は闇属性の魔石を小160個、中70個で計230個貰った。ウハウハですね!


それにしても、全員が笑ってるところを見ると、提案して良かったよ。

最後の最後で「ホープレイ」とも打ち解けられたしね。



トラブルが色々あったが、この依頼気持ちよく終われそうだ。


次回、王都アクセプタール到着!!

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