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すきと~る -えっ!視えるの?-  作者: 守りの神殿
第2章 覚悟の在処
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#64 覚悟…その答え

今回はちょい長いです。

難産でした。

翌日の14日

盗賊の拠点を出た俺たちは、ガクノ市へ帰還中である。


沈黙・・・気まずいです。

女性とほとんど話したことがない事がこんな沈黙をもたらすなんて…

ボキャブラリー………この世界の知識に面白い事例がない!!


そうだ!

時間があるので、昨日出来なかったティアの容姿について説明しましょう。

髪の色は金色の中に淡い青が合わさっており、光輝いております。まぶしいです…

髪型はミディアムで毛先にいくほど緩いウェーブがついている。

肌の色は白いが若干日焼けしている感じがある。

顔立ちは日本と欧米のハーフみたいな感じで、探索者だからなのかキリッとした顔をしている。右目にある泣き黒子がチャームポイントかな。

身長は155cmくらい。胸の膨らみは見ると分かるが小さめである。


「主殿、我をジロジロ見てどうしたのじゃ?我に何か付いておるのか?」


「イエ、ナンデモアリマセン…」

見すぎた~!!気付かれると恥ずかしい!!


「何故片言なのじゃ…まぁよい、警戒は怠るでないぞ、主殿」


「リョウカイデス…」

どっちが主人かわからなくなってきた・・・


これ以外何事もなく進んでガクノ市に到着したが、俺のメンタル耐久力が急降下しました…



・・・



ギルドに到着すると、ピークは過ぎたのか人が疎らだったので、少し待つだけで受付することが出来た。


「ロゼッタさん、依頼達成の確認をお願いします」


「あら、トールさん。珍しいですね朝に報告するなんて。それに…いつの間にパーティーを組んだんですか?」


「あー…それについても報告するんで、まずはシュバイン討伐からお願いします」


「分かりました。では、証明部位の提出をお願いします」


俺はシュバインの肉を2つ提出し、結果を待った。


「お待たせしました。シュバイン討伐完了を確認しました。どちらも品質が最高のため達成料が10400モルとなります。達成料は入金でよろしいでしょうか?」


「はい。それでお願いします」


手続きを済ませて、俺は本題に入った。


「それで、ですね…こっちが本題になるんですが・・・

昨日、流れで盗賊の討伐しちゃいまして…」


「へ!?…あー、盗賊みたいなチンピラを倒したんですね!」

ロゼッタさんが一瞬呆けた顔をしたが、なんとか持ち直したみたいだ。

若干、現実逃避してるが…


「いえ、拠点に突入してボスも倒したんですが…」


「・・・え~!!!だってトールさんランクDですよね!!盗賊討伐はランクC以上の依頼ですよ!!」

驚き過ぎです、ロゼッタさん…耳が痛い…


「しー!!声大き過ぎです!!皆こっち見てるじゃないですか!!」

視線がイタイ…


「す、すみません・・・コホン、では証明部位となるカードを提出して下さい」


俺は9枚のカードを提出した。


「これが、一部の盗賊のカードです」


「一部?全部じゃないんですか?」


「あと、2枚あるんですが…今度は大きな声出さないで下さいね」


ロゼッタさんに忠告をして、ドナとボビーのカードを提出した。


「うー、あれは私の失態です。すみませんでした。それで、この2枚のカードは…なっ!!」


「はい!!しっー!!」

せっかく忠告したのに!!


「度々すみません。ですが、このボビーという男は「草原の狼」の生き残りでは…それに、このパーティー関連でドナという名の女性というと、ゲルトの恋人ではなかったですか?」


「よく分かりましたね。そうですよ」


「何故この2人が盗賊に?というか、ドナさんの方は探索者じゃないですか…犯罪歴がありますけど…」


「説明したいのですが…もうちょっと落ち着ける所で話せませんか?

盗賊の方も最近有名な「バルトイェーガー」?らしいですよ」


「!!・・・本当ですね…すみません、トールさんに聴取を行いたいので、お時間を頂いてよろしいでしょうか?そこで、ギルドマスターもしくは副ギルドマスターに当時の説明をお願いします」

えらい!!今度は驚かなかったな。


「分かりました。シュバインの素材を売って待ってます。準備が出来たら教えてください」


「はい。では、少々お待ちください」



・・・



シュバインの素材は10240モルになった。

素材を売り、しばらくするとロゼッタさんからお呼びがかかり、取調室に案内された。

ティアと2人でお偉方を待っていると…


コンコン


「入るわね」

ギルドマスター--アイリーンさん--とギルド職員が1人入ってきた。


「お久しぶりです」

俺とティアは席を立ち、お辞儀をした。


「そんなに時間は経ってないけどね。それはそうと、厄介事に巻き込まれたみたいね…」

アイリーンさんが苦笑いをして、そう言ってきた。


「はい。知らないうちにそうなってました」


「では、説明してもらおうかしら。…準備をしてちょうだい」

職員の人…書記みたいだ、アイリーンさんはその人に指示を出して聴取の準備を始めた。


「じゃあ、貴方が理解していることを教えて下さい。質問は話が終わって行います」


「はい。では、まずシュバイン討伐した後、・・・」


俺はドナに助けを求められたところから、盗賊の拠点の場所や自分の対応、「草原の狼」の関わり、最後にドナが俺を殺そうとしたことをアイリーンさんに説明した。また、ティアが俺の知らないことを補足することで、ドナの計画をより詳細に説明することが出来た。


20~30分くらいで説明が終わり、質疑応答が始まる…はずだったんだが…


「では、質問ですが…質問って言ってもほとんど分かったのよね~」

アイリーンさんがそんなことを呟きだした。


「では終わりってことでいいんでしょうか?

あ、そういえば盗賊たちの死体と盗品を持ち帰って来てるんですけど、どうしますか?」


「死体は証拠品としてこちらで預かります。盗品は鑑定して、それ相応の貨幣に換金します。そうね、まず時間が掛かるそれらの処理をしましょうか。

質問に関しては個人的なものになるから、そのあとにまた時間を頂戴ね。昼時になるからお昼でもご馳走するわ」


「おー、ありがとうございます。ティアの分もありますか?」


「主よ、我の分は…」


「ええ、あるわよ。セレスティアさんも遠慮しないでね」


「ありがとうございます」

「あ、ありがとうございます」


俺たちは死体を出すために、訓練場に向かった。

そこで、死体と盗品を出して、死体を検分しているアイリーンさんを待った。



「お待たせ。じゃあ、お昼に行きましょうか」

5分くらい経っただろうか、アイリーンさんが俺たちの下にやって来た。


「「はい」」



近くの食事処でアイリーンさんにお昼をご馳走になった。奢りで好きなものを食べていいと言われたこともあり、久しぶりに腹一杯食べた。アイリーンさんは静かに微笑ましい顔を向けていたが、ティアは呆れた顔をしていた。ティアよ…アイリーンさんは気にしないさ!!たぶん…



食事を終えて、戻ってくるとアイリーンさんからの質問が始まった。


「じゃあ、質問をするわね。質問は2つよ。まずはトール君、貴方このまま探索者を続ける気はある?」


「え?どうしてそんなことを聞くんですか?俺は続けますよ、探索者を」

あー、ティアが不安そうに見てるよ。


「今回のことは、いい経験になったと思うわ。でも、さっきの食事を見て少し心配になったの。死体を見たあとにあれだけの食事を普通にとるなんて、一般人から見ると普通じゃないのよ。分かってる?」

確かに昨日も疲れてて食事は少なめだったが、普通に食べていた。今朝も、さっきもそうだな…


「しかも、人を殺したのは初めてでしょう?こっちには心が壊れ始めてるとしか思えないの」

ティアも驚いた表情をしている。俺が初めて人を()ったという事実が信じられないのか?


「セレスティアさんも私もランクCに上がる時に、試験として人殺しの責任と影響について教えられたわ。それは人殺しという行為で、必要以上の責任感に押し潰されたり、人殺しの狂気に囚われる等の危険性が分かっていたからよ。それを貴方は一足跳びでやってしまったの。心が壊れそうになっていてもおかしくはないわ」

ティアも頷いてるな。


「うーん・・・他人にはそう見えるかもしれません。でも、あの時の俺は人を殺す覚悟はしてましたし、元々「草原の狼」に恨まれてることは分かってました…恋人が出てきてあんな計画をしていたのは意外でしたが。それに、アイリーンさんのおかげでもあるんです」


「私?」

アイリーンさんが首を傾げた。


「はい。“人としての覚悟”…人として“殺し”を許容または肯定化できる状況を考えていたおかげです。自分の命を優先していたので、盗賊には容赦なく対応出来ました。ドナやティアに対しては自分が圧倒的に有利であることを理解したので、降伏を促しました…ここは失敗したので反省する点ですがね。と、まあこういう理由で、ある程度の覚悟もできていたので“人殺し”の整理もついているんですよ。人を初めて殺したので、死体回収時に吐きはしましたけどね。だから、俺は責任を必要以上に感じたりしないし、狂気に囚われることもないですよ。

ここで宣言してもいい。俺は人を“殺す”覚悟を、自分の命と大切な人を守り、俺が…俺たちが笑顔で過ごせるように使います!!」

俺は大丈夫だ!!と、言わんばかりに微笑んだ。


「そう…そう…良かった。貴方にあの話をしてて…あの時出会ってて…」

アイリーンさんは微笑みながら、言葉を噛み締めるように話していた。

その微笑みが綺麗だ…と、俺は素直に思えた。


「でも、今後も注意してね。気負い過ぎるのはダメよ。

呪い等の知識面が足りないことが、今回の経験で判ったわよね。だから、今後も情報を武器に出来るように調査を怠らないでね。

それに、ランクが上がる度に恨みを買う機会も増えてくるわ。特に貴族には注意してね。ただの目障りという理由で仕掛けてくることもあるからね」

年上のお姉さんが子供に世話をやいてるみたいだな。だが、


「はい、ありがとうございます」

心配されるのは嬉しいな。


「じゃあ、この話はお仕舞い。次の質問にいくわね。

トール君…貴方の本当(・・)のステータスを教えてくれないかしら?」


!!…なんだと!!

預金:113345モル

※所持金:25000モル、計138345モル

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― 新着の感想 ―
[一言] まぁどんなに力があっても必要な時にビビって立ちすくむとか人も殺せないようじゃ自殺志願者かイキってる無能やろ(笑)
2020/01/18 16:39 退会済み
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