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すきと~る -えっ!視えるの?-  作者: 守りの神殿
第6章 迷宮災害(メイズディザスター)
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#23 『指揮』と『調教』

やっと防衛戦が始まったと思ったら…

トールだけ変なことやってるみたい?


それでは続きをどうぞ!!

 俺たちのユニオンは順調に戦えていたが、急造ユニオンの弊害のせいか他の場所が劣勢になり始めたのだ。


特に危ない場所がWの左上だ。

盾職はただ受け止めて耐え、近接戦闘職は攻撃よりも防御を優先しているだけで、半分以上は後方に魔物を通していた。

おそらく、俺が優先的に殲滅していた空の敵に後衛が倒されたのだろう。

幾人か倒れている人を中心に回復魔法が飛び交い、それを守るように盾職たちがその人たちを囲っているのが見えた。


やばいな。

あと少しで崩壊しそうだ。

でも、こっちもまだ応援には行けない。

ある程度は()ったが、まだ敵は多い。

せめてあと半数は倒さないと、後ろに抜けた時に第1陣の被害が酷いものになってしまう。


「連絡員…カタリーナさん!!

頼みたいことがあります!!

こちらへ来てください!!」


俺はこの情報を第1陣に伝える為に、前線で戦っていたカタリーナさんを大声で呼んだ。

それだけで気付いてくれたのだろう。

自分が抜ける穴を近くに居たドミニクに頼み、俺の下へ一目散に駆けて来た。


「どうした!?

もしかして順調そうに見えて私たちの戦況は悪いのかい!?」


「いえ、違います!!

悪いのは俺たちの反対側に居るユニオンです。

あと少しで防御陣形が崩壊します!!」


「反対側って…ここからどうやって詳細が分かるんだい!?

ここから向こう側なんて魔物と木しか見えないじゃないか!!」


カタリーナさんは現状を見る限り、俺の言葉を信用出来ないらしい。

ちっ…本当のことを話すと説明が面倒くさいな。

『神眼』と『マップ』のおかげとか言えないし…

仕方ない。


「向こうに居る精霊からの情報です!!

なので、これから言うことを第1陣の指揮官に伝えて下さい!!

――右側の勢力はほとんど抑えました。

しかし他のユニオンは劣勢です。

特に一番左のユニオンがもう崩壊寸前になっています。

私たちはこれからユニオンをパーティーごとに分け、残り4か所へ応援を出します。

ある程度は持ち直せるとは思えますが、第1陣の皆さんは左側の壁を厚くして下さい――

…こう言えば状況は伝わるはずです。

お願いしましたよ、カタリーナさん!!

それと戦線に復帰する時はここから一番近い右下のユニオンへ向かって下さい!!

そこに貴女のパーティーを応援に出します!!

ここに戻ってきても誰も居ませんから注意して下さいね!!」


俺は情報収集能力の高さを精霊のおかげとし、論点を直ぐに()げ替えてカタリーナさんに伝言を頼んだ。

カタリーナさんは俺の怒涛の説明にコクコクと頷くと、「行ってくる」と言って素直に第1陣へと出発した。


「全員そのまま聞いてくれ!!」


俺はカタリーナさんが『クロノス』を連れて出発したのを見送ると、全員に指示する為に再度大声を出して注目を集めた。


「ここは粗方片付けた!!

あとは「日月」だけでもどうにかなる!!

それよりもヤバいのは他のユニオンだ!!

精霊が付いているとはいえ、かなりの劣勢だ!!

特に一番左のユニオンは既に魔物に抜かれ、崩壊寸前になっている!!

そこでこのユニオンをパーティー単位に分けて各ユニオンへ応援に出すことにする!!」


俺はそう言うと、直ぐに配置を発表した。

配置は、Wの右下に「グライフフリューゲル」、真ん中に「力の宴」、左下に「グリーズオルグ」、そして一番遠い左上に「アストラル」と勝手ながら決めさせてもらった。


そこからの皆の行動は迅速だった。

各パーティーのリーダーがメンバーに声を掛けると、それに従って一気に駆け出し、「日月」を残して全員がこの場から消えていったのだ。


さて、そろそろ自覚してもいいかな…『指揮』の力を。

見ていると判るが、(みな)(みな)、俺の指揮に矛盾点等おかしな指示が無ければ問答無用で従うのだ。

まあ、俺も間違っていないと思って指示は出しているが、『指揮』の伝わり易さには驚いている。

おそらく、『指揮』の良い面はレベルが高いほど指揮官の自信に応じて部下の理解度が高まり、作戦の伝達速度が速い事。

反面、自信の無さや悪巧み等をしていると、無意識下で部下の心と反発し合い、信頼度の低下が激しくなったりするのだろう。

いやはや、他人を見て自分を知るとはこの事だな。

正しく他人は自分を映す鏡だよ…昔の人は良い事を言うね!!


「さあ、皆!!

ここからは遠慮せずに行こう!!

目の前の敵をぶっ飛ばすぞ!!」


「「「「「了解 (じゃ)!!」」」」」

俺の号令に、全員が応え、敵を殲滅する為に散開した。


動き出した5人の戦いは先ほど以上に凄まじかった。

ティア、リーン、エルザ、ドミニクの4人は、『すきと~る』を先ほどと同様に駆使し、先ほど以上のスピードで苛烈な魔法や武技を使って敵を殲滅して回っていた。

それに後れをとってはいるが、ギーゼラも先ほどの失敗を糧に頑張っていた。

突っ込みはせずに、自分の能力を把握した戦い方で敵を次々と(ほふ)っていたのだ。


そして俺は…


「脅威度ランクA、カーバンクルか…

倒し(つら)いほど可愛い魔物だな」


額に赤い宝石を付け、兎とリスを足して2で割ったような魔物…カーバンクルと対峙(たいじ)していた。


「キュルァァァァァ!!」

警戒心を前面に出して叫んでくる、カーバンクル。


……決めた。

捕まえよう!!

そしてモフる!!


そうと決めたら行動は早かった。

俺は『調教』の成功率を上げる為に、まずカーバンクルに『威圧』を用いて『以心伝心』で話しかた。

同時に魔力による暴走を止める為に、『魔力吸収』で余分な魔力を吸い取ろうと試みる。

様子見の為に『威圧』と『魔力吸収』の効果を徐々に上げていき、カーバンクルの反応を待った。

すると、ある時を境に目の中の狂気が薄れ始め、逆立っていた毛も収まり始めたのが見て取れた。


「よしよし。良い子だ。

まずは俺の目を見るんだ」


俺はカーバンクルが正気に戻ったことを確認すると、『威圧』と『魔力吸収』を止めた。

そして次に『博愛』を使い、自然と俺の気配を一体化させてカーバンクルの警戒心を更に薄めつつ、『以心伝心』で語り掛けた。


――なに?


そう語り掛けてくるのはカーバンクル。

首を傾げて可愛く語り掛けて来た。

どうやら素直に話に応じてくれるらしい。


「俺の仲間…家族にならないか?」


――わたしを従えるの?


「半分正解かな。

さっきの言葉通り家族になりたいのが本音だよ。

一応、『調教』はさせてもらって従魔になってもらう必要があるんだが、束縛はしない。

一緒に食事して、笑って、遊んで、泣いて、怒って…

そうして過ごして行くんだ。

もし嫌になったら俺の下を離れてもらっても構わない。

どうだ?」


――う~ん…いいよ!!


カーバンクルはそう言うと俺の方に駆け寄って来た。

そして、俺の脚から駆け登り、肩に腰を落ち着けた。


そして俺は彼女の頭を撫でながら、こう告げる。


「今日からよろしくな、ザクロ!!」

突然ですが、モフモフ…もといモンスターをテイムしました!!

何故ここでほのぼのを入れてしまったのだろう…



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