#20 ユニオンと提案
遂に…遂に100万PV突破しました!!
ユニークも10万人!!
皆様には感謝感謝です!!
これからもよろしくお願いします!!
今回は遊撃隊の話となります。
それではどうぞ。
って思って若干ビクビクしていたんだけどなぁ…
文句なんてほとんど出なかった。
それどころか…
「にしても、私たちのリーダーがあの大会の優勝者か…」
金髪の美女が感慨深げに頷き…
「本当にこいつがあの【心滅の無限者】なのか!?」
ゴリラの様な奴が真正面から覗き込むように、俺をもの珍しそうに見つめてき…
「ギルドマスターが言うんだから間違いないだろう!!
こんなに小さい奴だとは思わなかったがな!!ワハハッッ!!」
白髪で肌黒の大男が、大きな手で俺の頭をバスケットボールの様に叩いてくるという始末だった。
この2人殴ってもいいかな?
さて、何故こんなことになっているのかというと…
…
「以上が遊撃隊として動くユニオンだ。
それではまずそれぞれのユニオンに分かれてくれ」
ギルドマスターの発表は恙なく終わった。
発表されたユニオンの内訳としてはこんな感じだ。
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担当場所:Wの左上
リーダー:「ヴァーチェ」【知の地】キーリー
編成
・ランクAパーティー「ヴァーチェ」
・ランクBパーティー「インパクト」
・ランクBパーティー「シュトゥルム」
・ランクBパーティー「水蜂」
・ランクBパーティー「ラストリゾート」
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担当場所:Wの左下
リーダー:「サージュ」【賢き戦士】サロモン
編成
・ランクAパーティー「サージュ」
・ランクBパーティー「バタフライ」
・ランクBパーティー「パルトナー」
・ランクBパーティー「女神の僕」
・ランクBパーティー「アンサンブル」
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担当場所:Wの中央
リーダー:「ロートブリッツ」【円匙マスター】フェリクス
編成
・ランクAパーティー「ロートブリッツ」
・ランクBパーティー「デュナミス」
・ランクBパーティー「カタラクト」
・ランクBパーティー「金糸雀」
・ランクBパーティー「ブラックパイソン」
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担当場所:Wの右下
リーダー:「巨巌の座」【青鱗の守護】ディルク
編成
・ランクAパーティー「巨巌の座」
・ランクBパーティー「アヴァランチ」
・ランクBパーティー「ブレッヒェン」
・ランクBパーティー「イブリッド」
・ランクBパーティー「ナイトメアハウル」
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担当場所:Wの右上
リーダー:「日月」【心滅の無限者】トール
編成
・ランクBパーティー「日月」
・ランクBパーティー「力の宴」
・ランクBパーティー「グリーズオグル」
・ランクBパーティー「グライフフリューゲル」
・ランクBパーティー「アストラル」
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「おいおい、ギルマスよぅ。
何でランクBの奴が指揮執るようになってんだい?
ランクBじゃ実力不足じゃねぇか?」
あ~やっぱりこういう人が居るか。
ま、ギルドマスターがどうにかしてくれるだろう。
「おいおいディグル、知らないのか?
この「日月」、特にリーダーのトールは魔闘技絢爛大会の優勝者だぞ」
「はぁ!?ホントかよ、サロモン!!
あの大会、普通にランクSが出てるじゃねーか!!
そんなに強いのか、そいつ?」
「静かに!!
先に言われてしまったが、サロモンが言っていた通り、トール君の実力は大会にて証明されている。
彼は大会で優勝した上に、エキシビションではあるが現獣王様をも倒す実力の持ち主だ。
また、先のリッチ戦で首謀者が変異したリッチを討伐したのもトール君だ。
戦闘力に関してはランクS上位に匹敵すると言っても過言ではないだろう。
また彼のパーティーメンバーもランクS~Aの実力を持っている。
その者たちをまとめているリーダーなら、指揮を任せるには十分過ぎると思っている」
やっぱりフォローしてくれたか。
この言葉に呼応するように、ここにいる探索者にも理解の輪が広がったみたいだ。
周りに「じゃあ大丈夫だ」というような肯定的な言葉が聞いて取れた。
ギルドマスターは偉大だね。
直ぐに俺がリーダーを務めるのを拒否する人はいなくなったよ。
「にしても、私たちのリーダーがあの大会の優勝者か…」
「本当にこいつがあの【心滅の無限者】なのか!?」
「ギルドマスターが言うんだから間違いないだろう!!
こんなに小さい奴だとは思わなかったがな!!ワハハッッ!!」
そして始めの状況に戻る訳だが…
ゴンッゴンッ
「「いってー!!」」
あまりにもウザいんで、頭をど突いてしまった。
一瞬やり過ぎたか?
…とも思ったが、周囲に居る彼らのパーティーの表情を見るに、こういうことが頻繁にあるのだろう。
2人を呆れた目で見ていたからな。
「そこ!!静かにしろ!!
…さて、これから各ユニオンの連絡員を決めてもらう。
5分後に報告してもらうので、各ユニオン集まって選出してくれ」
「すみません、ギルドマスター。
その前に俺の提案を聞いて頂けませんか?」
俺はギルドマスターの指示で皆が動き出す前に、意見を言う為に素早く挙手をした。
ここで事前に皆と話して決めていた内容を提案するつもりだ。
そして、その内容とは…
「何だね、言ってくれ」
「各ユニオンの生存率を上げる為に、俺が大会の決勝で使用した『疑似精霊』を1体ずつ配置させて下さい。
単体でもランクAを圧倒することが出来るので役に立つはずです」
「…それはもう援護というよりも、戦闘の主軸に置きたいくらいなのだが駄目なのかね?」
ギルドマスターの言葉に周りにいる探索者たちも頷いている。
影から「…この戦い余裕じゃねえの?」とか聞こえても来るな…
これはイカン。反論しないと…
「好ましくはないですね、駄目とも言えませんが…
そもそも『疑似精霊』は魔力消費が高く、持続力が無いんです。
俺の介助なしで戦うと倒せてもせいぜい50くらいが限度でしょう。
なので、万が一の場合の備えとしてだけでも配置したいんですよ。
時間稼ぎくらいは出来るはずですから」
「そうなのか。う~む…
取り敢えず、その『疑似精霊』を見たこと無い者も多いだろう。
実際にここで見せて貰えることは可能かな?」
「ええ、可能です。
どの属性がいいか等の希望はありますか?」
「そうだな…出来るなら2体見せて欲しい。
1つは最も周りへの影響が少なそうな水属性、もう1つはトール君が使える若しくは強いと思う属性のモノを出してくれないか?」
使えるに強いか~…正直、どれも使い方次第で有用なのだが。
よし、皆があまりお目に掛れない属性を出すか!!
「では、『疑似精霊』・『ウンディーネ』、『ヴァニタス』」
俺は『アイテムボックス』から水と虚無の魔石を取り出し、誰も居ない方向へ放り投げた。
そして2体の精霊が顕現する。
周囲から聞こえた音は布の擦れる音とガチャッという金属音だけだった。
誰も何も発せず…というよりも誰も言葉を発せられなかったというのが正しいのだろう。
元ランクSのギルドマスターでさえ、目を見開いて自然と戦闘態勢に移行していたのだから…
俺は仕方ないので皆の正気を取り戻す為に、多少の『威圧』を込めて柏手を打った。
パンッと音が会場に響いたと同時に、周りの人たちがビクッと跳ね、緊張という名の糸が解けたのを俺は感じた。
それを境に周りから少しずつ声という音が戻ってきた。
「あ~…何とも素晴らしいというか、恐ろしいというか…
明らかに脅威度ランクSの魔物と同等に戦えるだけの力を感じるな。
これらの力が味方になるのは心強い。
是非、配置をお願いしたいのだが、その『疑似精霊』はトール君以外の指示は受け付けるのかね?」
「ええ、簡単な指示程度なら自分が精霊を出した際に命令しますので受け付けることが出来ます。
但し、自爆などの己を犠牲にして攻撃する指示等は受け付けません。
護衛者…つまりユニオンメンバーが危険な状態にある場合にだけ、自分を犠牲にして逃がすように命令しておきますので指示の出し方には注意して下さい」
「分かった。
全員聞いたな。特に各ユニオンのリーダーは注意をしておくように。
他に意見のある者はいるかね?
………いないようだね。
それでは先ほど話したように連絡員の選出を行ってくれ。
また、もし貸して欲しい属性の精霊がいるならそれと同時に申告するように。
それでは始めてくれ」
ギルドマスターの言葉に遊撃隊のメンバーは頷き、理解を示した。
良かった、良かった。さっきの状態を見て不安になったが、畏怖という感情はもう無いみたいだな。
それどころか近くの人と「どの属性がいい?」などと小声で話し合っているのさえ聞こえる。
期待に応えられるよう、出来る限りのことはしなくちゃな!!
そして、その後は連絡員の決定やユニオン毎の動きを決め、その場は解散となった。
時間的な猶予はあまり無いので、俺たちは直ぐに王都を発ち、魔の森を目指した。
決戦まであと少し…
その間にも出来ること、やるべきことを怠らずに油断なく過ごさなければならない。
でなければ、1万という脅威の軍勢に俺たちは勝てず、飲み込まれてしまうだろうから…
次回は一気に飛んで魔の森です。
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