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すきと~る -えっ!視えるの?-  作者: 守りの神殿
第6章 迷宮災害(メイズディザスター)
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#7 後始末と6色目!?

やった!!久々に見たら評価が増えてた!!

感謝です!!モチベーションが上がりますね!!


それでは続きをどうぞ!!


 さて所変わって、今は晩餐会前。

皆がテーブルに着いて雑談に華を咲かせている中、2つの席でだらけている人が居る。


「「あ~だる…」」

分かるとは思うが、これは俺とクリフの呟きだ。

そうだらけているのは、俺たち2人なのだ。

何故、全身全霊を尽くしたクリフだけでなく、勝った俺までだらけているのか…

あの後、行ったことを説明しよう。





 あの後、俺たち…というより俺は、自分の行いによる後始末をさせられていた。

誰に…って?

うちの女性陣(ドミニクを除く)にだよ!!

後始末とは…だって?

魔人衣(まとい)』で気絶及び体調不良を訴えた人の回復だよ!!


王様たちは「観戦を行ったのは自己責任だから気にすることは無い」と言っていたのだが、女性陣には俺がやったのだから回復させなさいと笑顔の圧力を向けられてしまった。


反論はしなかったのか…だって?

しなかった…というより、出来なかったんだよ。

反論しても口撃(こうげき)で勝てる気がしなかったし、何より笑顔が怖かったからな!!


という訳で、大人しく修練場を覆う様に全体回復魔法の『キュアオール』を掛けましたよ。

結果、倒れた時に多少の傷を負った人も、疲労困憊だった人も完全回復。

突然のことに困惑した人も居たが、事情を把握した人たちは、頭をペコペコと下げて「ありがとう」という言葉を掛けてくれた。

その言葉を掛けられるだけでも嬉しかったので、多少あった不満感は観客が居なくなるころには無くなっていた。


だがその後、俺にとって胃に穴が空くような出来事が起こった為、精神的な疲労が溜まることとなる。


その様子を見ていた王様が、観客が居なくなった途端、深々と頭を下げてお礼を言ってきたのだ。

「部下の始末には上の者が頭を下げるのが道理だ」とか言って、俺が礼を受け取るまで頭を上げてくれないんだもんなぁ…

上司としては素晴らしい人だが、受けるこっちの身にもなってほしい所だ。

まぁ、勝手に観戦しに来た挙句、体調不良で仕事の効率が落ちるはずだった所を俺が助けたんだから、お礼を言ってきたのも分からなくはないんだがなぁ…





 で、話は始めのあの呟きに戻るのだが…

分かってくれたか?

俺も精神的に疲れているんだよ。


奥ゆかしい元日本人としては、相手に頭を下げられる程、恐縮してしまうのだ。

それが国のトップならなおさらだろう。




そんな風にだらけている最中(さなか)、時間になったのか部屋の入り口から食事が運び込まれてきた。


これは余談だが、それを確認した俺とクリフは、流石にこのままでは無礼だと思い、直ぐに姿勢を正した。

食事は礼儀よく、美味しく食べないといけないからな!!

しかし、それを見ていた周りの皆は、そのあまりにも素早い行動が可笑しかったのか、クスクスと静かに笑い始めた。

おそらく、待ってましたとばかりに素早く動いたので、まるで子供みたいと思われたのだろう。

なんともばつが悪い俺たちは、「「コホンッ」」と1つ咳をすることでそれを誤魔化そうとした。

だが、その仕草(誤魔化し)のタイミングが同じだった為、再度巻き起こる笑い声…

この時の俺たちは、もう黙して食事が始まる事を待つしか出来なかった。


閑話休題


運ばれてきた料理はまず前菜。

前菜は3種ほどの野菜をピンクの身の魚(鮭か?)で巻き、上にオリーブオイルを垂らした料理だ。

それに食前酒としてスパークリングワインが皆のグラスに注がれた。


「それでは会を始めたいと思うのだが、いいかな?」

全員に食前酒と前菜が行き渡ったのを確認した王様は、グラスを持って立ち上がると、そう言った。

俺たちはグラスを持つことで準備が整ったことを示す。


「うむ。

それでは、まず大会で健闘した「日月」の方々、そして優勝したトール殿に…

さらに、先ほど素晴らしい戦いを見せてくれたクリフォードとトール殿に…

最後に、私たちの更なる発展を祈って…乾杯!!」


「「「「「「「「「「「「「「乾杯!! 」」」」」」」」」」」」」」

俺たちは一斉にグラスを掲げ、中のお酒を飲む。


うまいな…

喉を通って胃に到着したスパークリングワインの発泡を意識すると、胃を刺激してくれているのが分かる。

だるかったせいで食欲減衰気味だったのだが、おかげで食欲が出て来たぞ!!

今まで言葉しか知らなかったが、食前酒の役割は結構重要だったんだなぁ…


「ふぅ…

さて、この場は片っ苦しい席ではないので、会話は自由だ。

お互いに親交を深めようではないか。

で…だ。早速で悪いが、トール殿とクリフォードよ。

私からの願いなのだが、先の模擬戦の解説を聞いてもいいかな?

戦闘経験がある者でさえ、何があったのか分からない所があった。

よって、私もあまり観ることは叶わなかった。

話せる範囲でいい、あの素晴らしい戦闘の詳細を教えてくれないか?」

…あの顔を見るに単なる興味だろうな。

一応『読心術』を使ったが、力や政治等がどうこうという意図はほとんどないみたいだ。

なら話せる範囲で素直に解説するとしますか!!



そこから俺とクリフは交互に模擬戦時の解説を行った。

立ち回り方や技の内容、その時々の心情や反省点等を話せる範囲で詳細に話した。

途中、こんな真面目な話は食事中にあまりふさわしくないのではと感じたが、そこは流石王族。

それに気付いたクリフが多少話を盛って話し始め、場の緊張感を(やわ)らげようとしていたのだ。

俺もそれに乗り、クリフの話にツッコミを入れて場を盛り上げる協力を行う。

案の定、場には笑いが起こって空気はそれ以降悪くならず、晩餐会は和やかな空気を醸し出しながら順調に進んだ。


一方、料理は解説の間にサラダ、スープ、パン、魚介のメイン料理、口直しのシャーベットに肉のメイン料理へと進んでいる。

模擬戦の話はシャーベットを食べている最中(さいちゅう)に終わっており、今は大会の話を織り交ぜながら肉料理を食べていた。

因みに、肉料理は牛のほほ肉の赤ワイン煮込みだった。

だが、そんな上等なもの食べたこと無かったので、感想としては赤ワインソースが絡んだ肉ウマ!!柔らか!!くらいの反応しか出来なかった

残念だ…俺がな!!

まあ庶民ということで許してほしい。



さて、晩餐会は終盤に差し掛かり、食事としては最後となるデザートが俺たちの前に運ばれてきている。

そして、そのデザートが俺の前に置かれて間近で見た瞬間、俺は驚愕した。

「これは!?」と大声を上げてしまうくらい驚いてしまったのだ。


何故なら、そのデザートにあのソース…レインボーソースが使われていたからだ!!

見ただけで分かるのか?…だって?

分かるさ…あれだけ鮮やかな橙色が出ていて分からないはずがない!!


デザートとしては、ゼリーの中に数種の果物が散りばめられた物で、そこまで尖ったデザートではなかった。

だが、そのゼリーの上に掛っていたソース…それが放つ気配が強烈だった。

色は先ほど言ったように鮮やかな橙色、そして匂いは色が示す通り柑橘系…と思うだろ!?

なんであの色でミントの香りなんだよ!!

時々思うが、このソース…見た目と匂いの違いが「詐欺か!!」というほど大きいな。


「どうしたのだ、トール殿!!

何か料理に不備でもあったのかね!?」

あ、自分の思考に浸っていて周りを気にしていなかったな。

辺りを見回すと、全員が大声を上げた俺の様子を伺っているのが分かった。


「あ、いえ…

このデザートに掛っているソースなのですが…」


「トール殿はこれを知っているのかね!?」


「え、ええ、これを食べれば6色食したことになりますね」


「なんと!!それは凄い!!

このオーロラソースの伝承者は少ないのだ。

それに取り寄せようとしてもソースの期限は数日。

権限を持っている王族や貴族でも、全色食べるのは困難になってしまっている。

それを6色も食べているとは…

…私でさえ5色しか食べたことがないのに…」

おい、王様!!最後の愚痴じゃねーか!!

小声でブツブツ言っていたが、俺には聞き取れたぞ!!


つーか、え!?このソースってそんなに凄いソースだったの!?

行く先々で出くわしていたような気がするんだが…

ガクノ市では2色出て来たぞ!?


「あの~…これそんなに凄いソースなんですか?

今まであまり苦労せずに食べられていたので、良く分からないのですが…」


「なんと!!

それはイカン!!

これは…いや、私が語るのはよそう。

済まない、急ぎ料理長を呼んできてはくれんか?」

ソースについて説明しようと意気込んでいた王様が、突如それを止め、侍女を使いへと出してこの城の料理長を呼びに行かせた。

話に付いていけなくなった俺が王様をジッと見ていると、王様はそれに気付き加えて説明を行った。


「なに、私が説明しても良かったのだが、当事者を連れてきた方がいいと思ったのだ。

私から又聞きするよりも、より多くの情報が得られるだろう?」


「では、このソースを作ったのは…」


「うむ、この城の筆頭料理長レイモンド・オカムラだ」

次回はオーロラ(レインボー)ソースの謎が…




解明できるといいなぁ

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