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すきと~る -えっ!視えるの?-  作者: 守りの神殿
第5章 魔闘技会開幕
175/329

#35 新の月の終わりと新たな旅立ち

今回で5章の本編終了です。


今日で2周年になりました。

今後も頑張りますので宜しくお願いします。


それでは続きをどうぞ!!

 「こんばんは、「日月」の皆さん」

王妃がナチュラルに挨拶をしてきた。

俺たちはその手に掴んでいる獣王を見て混乱し、素早く返事することが出来ない。


「…ど、どうも、こんばんは」

俺は突然の展開に一瞬停止してしまったが、何とか王妃に返事する事が出来た。


「ねぇ、アンネ…ソレ、どうしたの?」

リーンが未だ王妃に首根っこを掴まれたままの獣王を指差し、こう言った。

しかし、かなりフランクに話すな…王妃とは長い付き合いなのかな?


「いえね、聞いて下さいアイリーンさん。

このバカが試合直前に語った失礼の数々を謝らせようとしたのですが、「イヤじゃ、イヤじゃ」と駄々をこね始めまして…

イラッと来たので、お腹を殴って気絶させたのち、ここまで引きずって来ました」


「「「「「……」」」」」

あまりにもな衝撃発言に俺たちは言葉を無くしてしまった。

この際、駄々をこねた無様な獣王はどうでもいい。

淡々と話す王妃様コエーよ!!

表彰式の時は獣王が脳筋なら、王妃様は知的な人かなと思っていたが…

怒らせたら危険なタイプの人だったか!!

表彰式(あの時)の俺、グッジョブ!!下手していたら、その場で矯正されていたかもしれん。


「ちょっと待って下さいね。今起こしますから…」

王妃様はそう言うと、獣王の背中に手を当て呼気と同時に衝撃を獣王へ叩き込んだ。


「ごはっ!!」

…起こすというより、ご臨終の方が近くありませんかねぇ、王妃様。

獣王、軽く血吐いているんですが…何か可哀相になってきたな。


「さ、あなた早くトールさんとアイリーンさんに謝りなさい」

獣王が痛みに悶えている最中だが、無情にも王妃様は謝罪を行うよう要求する。


「…ん!?

何じゃと!!イヤじゃと言ったじゃろうが!!」

痛みから復帰した獣王は状況を理解したのか、王妃様が言っていたように再度駄々をこね始めた。


「うる…さい!!」

「へぶっ!!」

獣王の顔面に王妃様の拳がクリーンヒットー!!

あぐらを掻いていた獣王がゴロゴロと転がった!!


その後も押し問答(物理)が続く。

その度に獣王が殴られ、転がっている。

俺たちは立場上、去る訳にもいかず、ずっとその問答を見続けていた。

それを見ていた周りの人たちも関わり合いたくないらしく、どんどん離れて行っている。

だが時間が経つにつれ、最初は戦々恐々としていた俺たちも次第に呆れの方が強くなり、正直どうでもよくなってきつつあった。


「ふぁ、ふぁかったのじゃ。ふぁかったからもうびゃめてくれんかのう…」

何度も殴られたせいで顔がボコボコになった獣王が遂に負けを認めた。

やっと終わったか…あ~酒飲みて~。


「それではあなたの言葉で今回の事を謝罪してくださいな。

もし、ふざけたことを言うなら…判っていますよね?」

ふぁ!!気の抜けたところにこの殺気はヤベーよ!!

一瞬、身構えてしまった。


「…う、うむ。

トール、アイリーン、この(たぶ)はワシの勝手な行動により、迷惑をかけた。

すまなかったのう。

この(とぅ)り許してほしい」

獣王は俺たちに深々と頭を下げる。


「私も今回の行動で今までこの人を自由にさせ過ぎたことを痛感しました。

これを機に公私を明確に分けさせるよう厳しく教育致しますので、何卒今回の件はお許し下さい」

獣王に続き、王妃様も頭を下げる。


「2人とも頭を上げて頂戴。

この状況が続くと居心地が悪いわ。

それと謝罪は確かに受け取りました。私もトールも今後一切あのような言動をしないと誓うなら今回は許します。

トールもそうよね?」

うん、公衆の面前で王族が頭を下げないでほしいよね。居心地が悪い…分かります。

それが狙いなのかもしれないが、ここまでしてもらったからには…


「ああ、正直王妃様の行動で既にスカッとしていましたし、それに加えて謝って貰ったので私も今回は許そうと思います。

特に王妃様が仰っていたことを私は信じていますので、お願いしますね」

許すしかないよな。

ただ、獣王の教育は思いっきり厳しくしてほしいと、念を込めて王妃様にアイコンタクトを取ったら、一つ頷いて「任せて下さい」と向こうも頷いたのでそこは信じようと思う。


獣王の謝罪の後はエキシビション戦の賞品の話をした。

賞品は皆と相談して馬付きの馬車を要求。

高価すぎるので拒否されるかと思われたが、王妃様はそれを即受理してくれた。

どうやらこれも謝罪の内容に含まれていたらしい。

馬車の受け渡しまで4日程時間を欲しいと言われ、俺はそれに頷く。

どうせ旅の準備やらなにやらで時間も欲しかったので、王妃様の提案は願ったり叶ったりだった。

しかし、たった4日で馬車を用意出来るとは…流石王族といったところなのかな。


因みに何故馬車かというと、この世界の移動手段が基本馬車だからだ。

全国に転移出来るようになった今、せめてものカモフラージュの為に馬車が欲しかった。

時間的な誤魔化しはし難いが、人は物証というものがあるだけで疑惑の目は薄れ易い。

鋭い人等は例外として、「ちょっと近くまで来ていたんです」などと言っておけば大抵の人は気にしないだろう。

それに、転移出来るのは行ったことある場所だけだ。

そこからの交通手段を考えても、馬車を持っておくことのメリットはある。


閑話休題


王妃様+おまけが俺たちの下を去った後、程なくして閉会の宣言が行われた。

主催者である獣王…はボロボロだったので居らず、王妃様が代わりを務めることになったらしい。

王妃様が(つつが)なく最後の挨拶を行い、パーティーは幕を閉じる。

最後は落ち着いていたが、色々刺激的なパーティーだったな。

それにしても最後まで残念な奴だったな…獣王。

もう当分会わんだろうが、強く生きろよ!!





1の月1日

朝、昼、晩、深夜(ベット)と激しい戦いが終わった翌日、俺たちはマハムートを観光していた。

フェックスでは全然ゆっくり出来なかったから今回は存分に休息を取ることにしたのだ。


俺たちはギルドの訪問や馬車の受け渡し等を行う為、マハムートに10日間滞在する予定に決めた。

マレノ王国へ出発するのは11日。それまでの間は重要な案件の時以外、自由時間にした。

正直転移で帰ってもいいんだが、リーンが一緒に旅をしたいと言ったので、ご要望にお応えして旅の準備を始めることに…

まあ、変化の乏しい船旅になると思うので色々修行をやるつもりだ。

迷宮攻略の為にはまだまだ力も技も連携も足りてないからな。


さて話変わって、重要な案件の1つであるギルドへの訪問だが、何の問題も無く速攻で終了した。

謝罪金と報酬貰って、ランクアップ試験の為のサインを貰って…ステータスプレートに二つ名が刻まれて、2つの意味で終了した。

報酬に至っては全員貰えたので良かったのだが、あのイタイ二つ名をとうとう刻まれてしまったのは本当に精神的な痛手だ。


次の案件である馬車の受け渡しも直ぐに終了。

王妃様も流石に受け渡しの為だけに来ることは無く、手紙のみでの挨拶に留まった。

内容は当たり障りのない内容で、目標の事についてや、また遊びに来てほしい旨などが書かれていた。

馬車については受け渡し後、影になる所で即『アイテムボックス』へ収納。

馬に関しては転移で自宅である屋敷に送り、奴隷たちに世話を頼んできた。

王家から貰った屋敷ということで、小さな厩舎(きゅうしゃ)があったのは幸いだったな。


そして最後の案件。俺的にはこれが一番重要だったな。

ティアの誕生日だ!!

1の月9日がティアの誕生日だと聞いていたので、皆でお祝いをすることに。

まあ地球みたいにケーキは無いが、ちょっと豪華な食事で祝うことにした。

プレゼントは前日までにきちんと用意して渡したぞ。

因みに送ったのは、レネットという赤い宝石が雫の形をした1対のイヤリングだ。

ちょっと驚かれたが喜んで貰えたので俺的には上々の出来だったと思う。

驚かれた理由は食事に加えてプレゼントまであるとは思っていなかったかららしい。

平民で2つの祝い方が重なることは金銭的に無いから驚いたとのこと。

だから俺以外はプレゼントを用意してなかったのか…


余談だが、俺からだけの誕生日プレゼントは恒例化してしまった。

次は2の月20日のエルザだな…早めに決めておかなければ!!





取り敢えずこの国でやることはやった。

この後やる事と言えばアクセプタールで正式なランクBにならなくてはいけない。

でないと、迷宮に通じる道である魔の森に行けないからな。


「トール、そろそろ出発するらしいぞ」

魔の森の方をじっと見ていた俺に、ティアがもうすぐ出航することを知らせに来た。


「ああ、今行くよ」

俺は船に向かって歩き出した。

歩きながらも俺はマレノへ戻ってから何をやるかの考えを巡らす。


今回は命を賭ける戦いではなかったが、収穫は十分にあった。

あとはそれを活かす(すべ)を考えなければならない。

装備の充実や連携の確立…やることは一杯だ。

でも、文句は言っていられない。

次は今回みたいに安全ではないのだから…


束の間の休息は一旦終わり。

俺たちは次に向かって進む。




その安全でない戦いが目前に迫っているなどと露知らずに…

【募集】

トールの時も行いましたが、ティア、エルザ、ドミニクの二つ名を募集します!!

作者自身も考えてみますが、今のところ全く案がありません。

4月1日まで募集しますので案がございましたら、ご提案お願いいたします!!


これで5章は終わりです。

来週に閑話を1つ入れる予定です。

早く6章のプロットを固めねば…



お金の遷移

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トールの所持金

・預金:515万5000モル→1982万2000モル

・所持金:5万モル

収入:報酬100万、賞金500万、謝罪金1000万

支出:宿3万3000、食事代15万、旅の支度金10万、プレゼント5万、奴隷への金100万


ティアの所持金

・預金:7万モル→17万モル

・所持金:3万モル

収入:報酬10万


エルザの所持金

・預金:145万モル→155万モル

・所持金:5万モル

収入:報酬10万


ドミニクの所持金

・預金:約200億(トリスタンの遺産)

    →10万モル(遺産を除く)

・所持金:10万モル

収入:報酬10万


リーンの所持金

・預金:約5000万モル

・所持金:50万モル

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