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すきと~る -えっ!視えるの?-  作者: 守りの神殿
第5章 魔闘技会開幕
165/329

#25 見切り

新年1っ発目!!

今年もよろしくお願いします!!


それでは続きをどうぞ!!

~side エルザ~


 「それでは、トーナメント第3回戦第3試合、エルザ対エレイン!!試合開始!!」

っな!!


「消えた!!」

転移か!!

エレインは早々に勝負を決めに来たみたいだな。

だが、直ぐに終わる気はない!!


「『バドシールド』!!」

私を覆う様に鉄の蕾が形成される。

来る場所が分からないなら全方位の防御を可能にすればいい。

さあ、どこからでも来い!!


ギャリァッ!!


私の右後ろから金属音が鳴り響いた。

真後ろに出て首を刈るように振り抜いたらしい。

金属が擦れる音が聞こえたということは、蕾の先端の曲線をなぞるように大鎌が通り過ぎたようだな。


大きい武器を振り抜いたのならば、そこにスキが出来るはず!!

ここは牽制…いや攻勢に打って出る!!


私は魔法を解除すると同時に後ろを振り向き、剣を横薙ぎに振るう。

エレインもそれに対応する為、すかさず自分と剣の間に大鎌の柄を割り込ませた。

瞬間、武器同士が衝突。会場に衝撃音が鳴り響く。

しかし拮抗していたのは一瞬。

私の攻撃は体重が乗った鋭い斬撃だったのに対し、エレインは若干体勢が崩れ気味で無理矢理に防御した為、私が徐々に押し始めたのだ。

不利に思ったのかエレインは私の力を利用して後方へと跳んだ。


間合いを取ったか。

仕切り直しだな…


「にゃぁぁっ!!訳が分かりません!!

一瞬で近づいたと思ったら離れましたよ、獣王様!!

一体何が起こったのですか!?」


「ええい、落ち着けい!!

そんなに早くなかったじゃろうが。お主の意識は飛んどったんじゃないのか?

まあよい。あれはのう…」


解説が語ろうとしていた時、エレインが突然語り掛けて来た。


「私の魔法に対策を取っていたということは、あそこで解説しているように魔法の内容は判っているようね。

誰かに教えて貰ったのかしら?」

エレインが解説席を横目でチラリと見ながら私に問い掛けた。

確かに獣王が『テレポート』の説明をしているな。私が対策をしていたのも見抜いていたか。


「…半々だな。最初は動きが速い者と転移を操る者との判断が付かなかった。

まあ、私の仲間が見破って初めて確証が取れたがな。

何故そんなことを聞く?」


「1つは油断を誘う為。

油断した相手に突然、一撃を叩き込んだ時のあのびっくりした顔が面白いのよね~。

でも貴女には無理みたい。会話をしていてもスキが出来ないもの。

またあの魔法で防がれちゃうわ。

2つ目は質問の答えによって本気を出すのか出さないのかの判断を行う為ね」


1つ目を答える時の笑顔…

顔は笑っているのに目の奥は真っ黒だった。

多分、面白いというのは嘘。その程度でスキを見せる弱い奴は認めないという意思表示の様に思える。


「判断…それで不合格になったら本気を出さないのか?」


「ええ。だって私の魔法が判らないなら遊んで戦っていても最終的には私が勝っちゃうもの」

自信家…いやこれまで戦ってきての経験則なのだろうな。


「…ふぅ。そういうものか。

それで、私はどっちに分類されるのかな?」


「合格よ。減点は教えられたっていうとこだけね。

だから今から徐々に本気を出して行くわね。

出来ることなら、私の本気受け止めて欲しい…わ!!」

最後に言葉を切ると、エレインは突然武器の大鎌を投擲して来た。


とは言っても、投擲の動作が大きかったから良く見れば躱すことは容易(たやす)い。

万が一を考えて盾を前方に掲げながらも、危なげなく迫りくる大鎌を躱した。

そして武器の無くなったエレインを見たのだが…


「居ない!?…!!」

その瞬間、首の後ろにチリッとした異変を察知。

私は訳も考えぬまま、瞬時に盾を後頭部に掲げた。


その直後、盾に衝撃が走る。

私は踏ん張りが効かず、そのまま前転をしながら地面に転がった。

しかし、すぐさま片手で地面を押して飛び起き、エレインと対峙するように盾を構え直す。


それが功を制し、今度は踏ん張った体勢で追撃を防御することに成功。

柄と盾での力比べが始まると、再度エレインが話しかけて来た。


「良く防いだわね」

「ギリギリだったがな」

「私が何をやったか判ったの?」

「あの時点では勘で防いだようなものだ。

だが、今なら少しは判る。投擲した武器を転移で先回りして掴んだ…そうだろう?」

「正解。良く出来ました」

「あの速度で飛行して回転する武器を掴む離れ業とその速度を利用した振り抜き…普通の盾なら今頃私の首は飛ばされていたな」

「それを受けられたのだから合格よ。じゃあ次に行くわね」


エレインは大きく武器を突き出すと、その反動を利用して自分から後ろへ跳び間合いを取った。

そして再度、大鎌を投擲。


速いは速いが、流石に2度目だ。

エレインに注意を向けつつも大鎌を避ける為に回避行動を取る。


…!!

消えたか!!今度はどこに来る!?


私がそう考えていると、目の前に突然エレインが現れた。


正面!!

バカな!!大鎌が迫っているのだ…ぞ!?


飛んできていた大鎌が消えた!?


「ど…ごはっ!!」

やってしまった!!

移り変わりが激しくて意識を集中出来ず、良い蹴りを脇腹に一発喰らってしまった。

鎧があったから怪我は無いが、数mは飛ばされてしまったな。


…っ!!

上だとっ!!


『心眼』の感覚に従い、盾を上に向けて防御態勢を取る。

次の瞬間、盾に衝撃が伝わると共に大きな金属音が鳴り響いた。


私は感覚に従っていた。

攻撃が当たった瞬間に力を逃がす為、盾を横に振って身体を盾とは反対方向へと移動させる。

結果、いつの間にか私の上空へ移動していた大鎌の攻撃を受け流すことに何とか成功。

何なのだ、この感覚は!?


この感覚がまだエレインの攻撃は終わっていないと教えてくれる。

私はこの奇妙な感覚を今は素直に受け入れることにした。

悪い感覚ではない…私の身体がそう判断している、そう言っているような気がしたんだ。


その感覚は間違っておらず、次いでエレインは背後から踵落としを頭に目掛けて振り下ろしてきた。

何故か(・・・)来ることが判っていた攻撃だが、盾で防ぐには間に合わない。

何故なら盾の重みは地面に向かって行ったばかり。ここから振り上げていたのでは間に合うはずもない。

そこで私は盾を一時手放すことを決め、鞘に収めておいた剣を振り抜く形で真上に斬り付けた。

攻撃には攻撃で対応することに決めたのだ。


振り返る時に見えたエレインの顔は驚愕に彩られていた。

流石のエレインも攻撃で対応されるとは思ってなかったようだ。

そして私はそんなエレインの顔を見ながら、剣を何の抵抗も無く(・・・・・・・)振り抜いた。


私の剣はそんなに名剣ではないし、技量の方も達人の域にすら達していない。

抵抗が無いということは、つまりエレインを斬れていない(・・・・・・)ということだ。


案の定、彼女は私の後方10mくらいの地点で無傷で立っていた。

弾いて地面に転がっていたはずの大鎌を持って。


「驚いたわ。あそこで攻撃されるとは思っていなかったもの。

あれを受けていたら私の足、斬り飛ばされていたかもね」


「私にもよく判らないのだが、真後ろに居た貴女が何をするのかが分かったのだ。

何なのだろうな、あれは…」


「へぇ…それはね、『心眼』と貴女の経験が噛み合って起こった現象よ。

私にも覚えがあるもの。今は満足に使えないかもしれないけど、訓練や実践を積み重ねれば常時発動出来るようになるはずよ」

エレインは感心したように頭をウンウンと振ると、私の目をじっと見て先ほどの現象を説明してくれた。


「何故教える?」


「そうねぇ…簡単に言うと面白くなるかもしれないからかしら?

貴女が成長すればするほど、この戦いは拮抗してきて面白くなるわ」

戦闘狂か…

付き合わされるのは堪らないな。


「ふむ、私はこれ以上時間を掛けたくはないのでな。

一気に決めに掛らせてもらう。

覚悟!!

斬り刻め、『トライフォース』!!」


(カイトシールド)の先に剣を氣で固定。

剣盾を一つとして周りに魔力の刃を形成し、一気に巨大化させる。

出来た超大剣をすかさず真直ぐエレインへと振り下ろす。


一応キーワードを唱えて、ここまで1秒も掛ってないのだが…

案の定、エレインは転移でそれを回避。

武器の持ち手とは反対側の右後方へ転移して来たみたいだ。


だが『トライフォース』はまだ終わっていない。

今度は剣を右手に握り、刃先に盾を固定。

同様に魔力で超大斧(だいふ)を形成。

振り向き様にそれを横薙ぎに振るう。


余談だが、これを見たトールが「モン○ンか!!」と叫んでいたが何だったのだろうな?


閑話休題。

エレインはその連撃速度に驚いたのか、攻撃を中断して大きく後ろへ跳躍する。

予想以上の速さだったのか、かなり大きく跳んだな。

だが、私もこの時の驚きは少なからず分かる。

なにせ、大型の武器を使用する者の斬り返しとは思えない程の速さだからな。

実際、大型の武器を(かたど)っているのは魔力なので、重量的には剣と盾の重さのみなのだ。

私もこの利点がなければこんな大振りの攻撃は出来ないし、やりたいとは思わないな。


さあ、着地を狙うぞ!!

『トライフォース』の3つ目に見せるは弓の力だ。

正直、斧も弓もまだまだ使いこなせてはいないが、一気に勝負を決めるのであればこの奥の手は外せない。

それに武器を氣で固定出来るようにはなったから、まだ魔力に余裕はある。前までは固定も魔力頼りだったからな。

攻撃に魔力を回せる分、威力は前よりも確実に上昇している。

だから、この技は一撃必殺になりえる攻撃なのだ!!

実際、先ほどから『一撃必殺』を意識して使っているが、なかなか決まらない。

だが今、若干のスキを作り出すことは出来た。

後は自分を信じて()を射るのみ!!


私は盾を弓に見立て、魔法でカイトシールドの頂点に弦を張り、()を番えて射出する。

()は射出されると魔力で巨大な鏃へと変化し、丁度着地しようとしていたエレインへと向かった。


ここで私は何故か離れていたエレインの声を鮮明に聞き取ることが出来た。

後で考えると集中力が増して五感に魔力が集中していたのではないかと思ってはいるのだが…

今はどうでもいい。

その時エレインはこう言ったのだ。


「本当は使いたくなかったんだけどね。

これは危ないから貴女自身を潰させて貰うわ。

今の貴女スキだらけよ…『アサシンズサイス』」


その言葉を最後に私の首は黒い刃に斬られることになる。

最後に見えたのは片手を犠牲にして鏃を防いだエレインと彼女から私へと伸びる長細い影だった。


次に気付いた時、隣に試合の終わったトールが座っていた。

そこで私は気絶して治療室に運ばれたことを知る。

私はエレインに負けたのだとここで初めて理解した。



後で聞いた話だが、最後のエレインの魔法。

あれは『闇魔法』と『無魔法』の合成魔法だったらしい。

動けない自分の代わりに影を対象へと向かわせ、影の鎌で対象を斬るというような魔法だ。

さらにこれは影や暗闇があるほど消費魔力が少なくなるらしく、制御し易くなるとのこと。

影が私に伸びて来ていたのは私の影をも利用したかったから。

そう考えると、咄嗟に使うには打って付けの魔法だったみたいだな。


それに私は大技を放った後、棒立ちでスキだらけだったらしい。

残心を忘れていた私の落ち度だな。

力の差があるのは判っていたが、自分に負けたのはやはり悔しかった。


この大会が終わればいよいよ魔の森だ。

仲間に頼るのは良いが、頼り切りは駄目。

このままでは後者になってしまうだろう。

最後までトールや皆と一緒に笑い続ける為には…


今日の失態を糧にして必ず成長してみせなければな!!

そして芽吹いた力…『心眼』も使いこなせるようにならなくては!!



この決意が私を成長させてくれることが分かるのはまだ後の話。



大会はまだまだ終わらない。

話の舞台はトールの試合まで巻き戻る。

次はトールの試合です。

最後の方で出てきたので結果は分かっているかもしれませんが、書きます。


ストックが切れたので、遅れそうなときは連絡します。

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