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すきと~る -えっ!視えるの?-  作者: 守りの神殿
第5章 魔闘技会開幕
164/329

#24 【魔法の書】の強さ

今年最後の更新です。


来年もよろしくお願いします。


では続きをどうぞ。

~side ティア~


 「それでは、トーナメント第3回戦第2試合、プリシラ対セレスティア!!試合開始!!」

何とも妙な雰囲気を纏った奴じゃな。

このような場でも表情が動かないにも関わらず、全身から溢れる魔力は我を倒そうとやる気に満ちておる。

緊張?…いや、あの状態でそれはないじゃろう。

ならば単に表情に出ない…ではなく、感情を表すのが苦手なのじゃな。


「いく」

更には最小限にしか話さない寡黙(かもく)な奴じゃったか!!

銀髪碧眼に巨乳、色々盛り過ぎじゃろ!!


「やらせん!!」

魔法を遮るべく、魔法を撃ってすぐ後方に跳んだプリシラを魔法矢で素早く射った。


「なってない…『フィシャー』」

プリシラは矢を強化した杖で弾いて打ち消すと、即座に魔法を放ってきおった。


「くっ!!」

地割れじゃと!?

我は地割れを避けるべく、咄嗟に跳び上がった。


「ん、終わりかな。

『スタンドバイスペル・『ボールライトニング』リリース』」

空中に居る我の所に形成されるは、球状に凝縮された直径3m以上もの雷。

多分、痺れるとかそういう段階の話ではないのう。あそこには鉄をも容易に溶かす程の熱が発生しておるはずじゃ。

我はというと…


「開始序盤から怒涛の攻撃!!プリシラ選手、セレスティア選手に反撃の余地をほとんど与えません!!

そして放たれた目を背ける程の眩しい光!!正直、ちょっと見てしまった私は光の残像で良く試合が観ることが出来ません!!

獣王様、どうなっていますか!?」


「そうじゃのう…

まずお主(イルメラ)が言ったあの光じゃが、正体は雷の塊じゃ。

雷を集めるとあれ程の威力になるんじゃのう。地面が爆ぜて、一部が硬質化しておるわい。

じゃが、それを喰らうはずだったセレスティアは無事じゃ。

魔法無しに空中を蹴っておるようじゃから、あの靴が魔導具なのじゃろう。

魔法の気配を察知して直ぐその場から逃げておる。もう闘技場の端が近い所におるのう。

ここからセレスティアがどう出てくるのか、それとも何も出来ずに終わるのか…見物じゃのう」


「おお!!丁寧な解説ありがとうございました!!

それでは続きを見ていきましょう!!」


解説の間に魔法は収まったようじゃのう。

こちらの準備は整ったが、あちらも動いていない所を見ると何かやっておったはずじゃ。

まずはこれで我に優位な形に持っていこうかのう。


「『スネイクショット』!!」

弓に番えて放った矢は、風を纏って蛇のようにくねくねとプリシラに向かう。


この矢は対象の約1m圏内に入ると風を雷へと変化させ、一気に対象を襲うようになっておる。

さて、1度目(・・・)の接触はどうなるじゃろうか。


……失敗じゃな。

どうやって変化を感じ取ったかは知らんが、身体を大きく反らして避けおった。

体勢は崩れんか。


通り過ぎた矢は再度風を纏うとまた蛇行し、プリシラを狙う。

続いて2度目(・・・)の接触じゃ。


…おしいのう。

油断を誘った攻撃じゃったから当たるやもしれんと思うたが、そう上手くはいかんか。

1度目と同じように回避されてしもうた。


さてこの魔法の変化は3度目が最後であり、尚且つ本命の攻撃じゃ。

推進力の魔力を全消費しての突撃じゃからのう。

これをトールに見せたら「レールガンかよ」と言っておった。「これだけでも必殺技じゃね?」とも言っておったな…まあ奥の手の1つじゃから否定は出来んのう。

これの良い所は軌道が読めない所と目の慣れを利用した錯覚じゃ。

雷の影響で矢が焼損するのが悪い所と言えるじゃろうが、これの効果を考えると安いものじゃろう。


さあ、どうなるかのう…


「っ!!くぅ…」

なんと!!

杖で受けたじゃと!!

杖は弾き飛ばせたが、プリシラは無傷じゃな。


しかし、ここが攻め時じゃろう。

()くぞ!!


「爆ぜろ!!『コンプレッションボックス』!!」

プリシラを中心に空気を閉じ込める『時空間魔法』の箱を設置。

間髪を入れず、その箱を急激に圧縮することで準備は完了じゃ。

そこに火種を1つ投下すると結果は明白。

大爆発じゃな。


ドォゥン!!!!


本来であればここで終わらしてもいいんじゃが、相手を考えると追撃をしておきたいのう。


「凍り付け!!『アイススタチュー』!!」

我はすぐさま追撃の為、爆発によって出来た水を利用してプリシラを氷像にしようと魔法を放ったのじゃ。


じゃが…


「今のは危なかった」

プリシラは悠然と歩きながら氷の中から出て来おった。

何やらプリシラの周囲を薄黒い球体の幕が覆っておるが、あれが無傷で脱出出来た要因じゃろう。


「あれで仕留め切れないとはのう。

今消えた魔法は何なのじゃ?」

質問をしようとしたら突然魔法が消えたのう。

多分、待機呪文作成時の魔力が切れたのじゃな。


「教えない、自分で考えてみて。

『スタンドバイスペル・『アイアンピラー』リリース』」

我の質問をバッサリと切り、いきなり鉄の柱を降らして来おった。


くっ!!

上からの攻撃を避け、同時にプリシラを気にしなければならんとは…


我は何とか鉄柱を避けつつ、合間を縫って魔法矢を放って牽制を行っておった。

じゃが、プリシラは杖で矢を弾くことで難なく攻撃を凌いでおる。

いつ杖を拾ったのか分からなかったのう…それほど、鉄柱に集中してしまっておったか。


「疲れた。これで終わらせる。

『スタンドバイスペル・『イレイズスフィア』リリース』」

数十個の黒い球がプリシラの周りに浮かび上がる。

それは縦横無尽に動き始めると、いきなり我へ襲いかかって来おった。


不味いのう…あれは避けきれん。

鉄柱を盾にして動き回るとしよう。


我は鉄柱に背を預け、魔法矢を放つ準備をする。

その時、左右からドスンという音が聞こえた。

横目でチラリと見ると、鉄柱の根本が円状に(えぐ)られて倒れておった。


…!!そういうことか!!あの魔法は『虚無魔法』!!


「ぐぁ!!」

それに気付いた途端、脇腹に激痛が走った。

見るとそこが円状に抉れておった。


後から考えると、ここが勝負の分かれ目だったのう。

我はこの時、脇腹の痛みに注意を向け過ぎておった。

その痛みで回避行動をすることを忘れ、両足を黒い球が通り過ぎるのを許してしもうたのは不覚じゃった。

我は膝を着くと、何とか挽回出来ないか考えたのじゃが…


「あれで決まると思っていたんだけど…

私も制御がまだまだ。

でもとりあえずこれで本当に終わり」

我の後ろから聞こえた声が耳から聞こえた途端、我の意識は無くなった。

最後、微かに見えたのは我の喉を貫く杖じゃった。





「ティアさん、お帰りなさい。

大丈夫ですか?」


「お帰り、ティア。

中盤までは良い動きだったけど、終盤で動きを止めたことで一気に流れを奪われたわね」


戻ってきました観客席。

倒れたティアをドミニク同様、治療室に迎えに行き、これまたお姫様抱っこで戻ってきました。

さっきと同じようにからかわれると思ったんだが、ドミニクはニコニコ、リーンはニヤニヤと笑うだけ。

正直、不気味で仕方がなかった…特にリーンね。

声に出しては言えないけど、からかわれた方が心の安寧的に幾分かマシだと気付いたよ。


さて、その後ティアを席に座らせると、ドミニクとリーンが先ほどの言葉を掛けて来た。

それに対し、ティアは少し顔を赤くしながらも返答した。


「うむ、トールが回復してくれたので問題ないぞ、ドミニク。

それにリーン、そなたの言うことは尤もじゃ。我も痛さと困惑で動きを止めてしもうたことが今回の敗因じゃと感じておる。

時にトールよ、プリシラが氷像を抉って難なく脱出した際に使用した魔法はどのような魔法なのじゃ?

(つい)でじゃから、最後の魔法のことも教えてほしいのう」


「ああ、分かった。

と言っても、あの魔法を発動すること自体はそれほど難しくないから皆でも判ると思うぞ。

まずは、あのプリシラを覆っていた球状の防御膜。あれは気付いているかもしれないが、『虚無魔法』だ。

『時空間魔法』と『風魔法』で安全圏を作り、そこを『虚無魔法』で覆う。

あのまま移動出来たのは、『時空間魔法』で魔法の基点を自分に設定していたからだろう。

次にティアを襲った最後の魔法だが、あれは『虚無魔法』の球だ。合成魔法ではない。

まあ『イネイン』とは違って球という形状を保っているから余計に制御が大変だろうがな。

それにあのランダム制御…互いの球が衝突しないように制御していたみたいだから相当思考を割いていたはずだ。

もしかするとプリシラの『並列思考』はマスタースキルになっているかもしれない。

まあだから今回重要視するべきはプリシラの魔法発動タイミングと制御方法だ。

特に制御方法に関しては努力の賜物だと思うから、真似しようとしても簡単には出来ないだろう」


「むむ…それほどの魔法じゃったか。

最後の魔法は避けることは難しそうじゃのう」

ティアは眉間にしわを寄せたあと、大きく息を吸い込みつつ顔を上に向けて、1つ大きなため息を吐いた。

自分の負けた理由が判ってまだ(・・)敵わないと思ったのかもな。


「人は派手で強力な魔法に目を向けがちだけど、単純な魔法でも使い方次第では必殺の武器になるのね。

今回この戦いを観られて良かったわ。私はまだまだ強くなれそうね」

リーンさん…貴女十分強いじゃないですか!!その笑顔がちょっと怖いよ…

俺も練習は怠らないようにしなくては…

制御の面で言えば、俺とリーンは同じかリーンの方が上だからな。負けられないよ。


(わたくし)もリーンさんに同意します。

基礎の上に強さは積み重なっていく…私がお父さんを越える為のヒントを貰えたような気がします」

ドミニク…とうとうトリスタン越えを宣言!!

新聞の一面を飾るなら文面はこれで行きたいね。

トリスタンよ、アンタの娘は絶対にアンタを越えるぞ!!楽しみに見ておけよ!!



さて次はエルザの試合か…

俺は皆とは観られないが、視ているからな。

頑張れ!!そして、勝てよ!!



そしてエルザの試合は俺が控室に着いたと同時に始まりを迎えた。

次はエルザの戦いです。


来年の目標は新作を投稿出来たらいいな…(願望)

構想は3つほど出来てるんだけど、時間がぁぁぁぁぁぁ!!

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