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すきと~る -えっ!視えるの?-  作者: 守りの神殿
第5章 魔闘技会開幕
151/329

#11 慢心注意!!

久々にアクセスを見たら、50万PV、ユニーク25万人、ブクマ400件登録を超えてた!!

有難うございます!!


それでは続きです。どうぞ!!

 「次は第8試合、セレスティア対コートニーの対戦です!!

闘技場の整備が間もなく終わりますので、今しばらくお待ちください!!」

やっとティアの番が来たか。俺はこの倍の時間待っておく必要があるのか…長いな。

おっと、そんなことよりドミニクを起こしてやらないと。


「おーい、起きろドミニク。次はティアの試合だぞ」

俺はそう言うと、優しく彼女の腕を叩いて覚醒を促した。


「んむぅ…はっ、す、すみません!!」


「謝らなくてもいいよ。よく眠れた?」


「はい!!随分、楽になりました。肩を貸して頂き、ありがとうございました。

それで、(わたくし)が眠っていた間の試合の方はどうなりましたか?」


「ん?そうだな。

じゃあティアの試合が始まるまでに端的に説明しよう」





第1回戦第2試合

「ボルテージ」のジャニスvs.「バスケット」の【幻曲技】ピーチ

勝者:ジャニス

勝因:安定した防御と観察力。

   ジャニスは始終、相手の挙動を観察していた。

   その為、傷を多少負いながらもピーチのスピードや剣筋をだいたい理解。

   最終的には攻撃を完璧にいなし、スキを衝いて槍で足を突き刺した。

   持ち味(機動力)を奪われたピーチは勝機が無いと見て、降参を宣言。

   二つ名持ちをジャニスが(くだ)した。


第1回戦第3試合

「クラッシュアームズ」の【血染】クラディスvs.「フォレストアイ」の【斧鉞乱舞】シビーユ

勝者:シビーユ

勝因:手数と戦略。

   互いに武術スキルレベルは同程度なのか決定打は無く、序盤は膠着状態。

   よって、勝負は遠距離戦に移行。

   その手数は魔法を使うクラディスより『斧鉞乱舞』のシビーユの方が上だった。

   不利と見たクラディスは弾幕の薄い所に多少の怪我は気にせず特攻。

   しかし、これはシビーユの罠だった。

   突っ込んで来る所が分かれば魔法を当てるのは容易。

   シビーユは『時空間魔法』を使ってクラディスの行動を停止させた。

   抵抗力がある為、停止は一瞬。

   だが、ランクSにそのスキは大きく、トマホークの一撃でクラディスは沈んだ。


第1回戦第4試合

「シュタール」のフロランvs.「スプラッシュ」の【一断ち】ジゼル

勝者:ジゼル

勝因:魔導具の能力と力。

   終始、ジゼルが一方的な攻撃を行っていた。

   ジゼルは縦横無尽に動く剣、そして【一断ち】と言われる程の力を思う存分発揮。

   そして、盾の上からフロランを弾き飛ばし続けて圧倒。

   決着はジゼルが盾をかち上げ、空いた胴体、しかもご丁寧に鎧の節を狙い大剣を突き刺して終了。

   ジゼルが目立ち、フロランが可哀相な試合だった。


第1回戦第5試合

「アベーシス」の【魔法の書】プリシラvs.「ラッシュ」の【双連】レナエル

勝者:プリシラ

勝因:魔法の種類と『並列思考』。

   レナエルは本気を出させてもらえなかった。

   言い換えればプリシラはレナエルを危険視していたのだろう。

   レナエルは開始直後、魔法を使わせまいと一気に接近して攻撃。

   それに対し、プリシラは多重にシールドを展開してそれを防いだ。

   その直後、プリシラはレナエルとシールドの間で眩しい程の爆発魔法を発動。

   レナエルは吹き飛び、怪我をしたが何とか起き上がりプリシラへと向かう。

   しかし、プリシラはその大きなスキを逃さず、『時空間魔法』と『風魔法』の合成魔法を発動。

   真空の檻に閉じ込められたレナエルは檻を壊そうともがく。

   だが、急激な酸欠とどんどん構築されていく多重の檻を破れずに気絶し、試合終了。

   『並列思考』と魔法の相性がよく分かる試合だった。


第1回戦第6試合

「ドーヴェンヴォルフ」のイザークvs.「シールド」の【黒炎の弓兵】クライド

勝者:クライド

勝因:罠の設置と黒炎。

   やはりクラウドの真価は予選の戦い方とは別にあった。

   序盤は今までと同様に魔法で相手の行動を阻害。

   しかし、時間経過と共にそれに混じって不可視の罠を設置し始める。

   多分、不可視にするのは『光魔法』の応用かな。

   対して、イザークは近接攻撃を得意とするので行動を妨害する障害が良く効く。

   避けた先にある不可視の罠がよく当たり、徐々に傷が増え始めていた。

   止めに放ったのは黒炎の魔法矢。効果は『インフェルノ』とは違うみたいだ。

   矢が命中すると矢は弾け、黒炎がタール状になり身体に張り付いた。

   イザークは転がったり、魔法で水を掛けるなどして消火を行う。

   しかし、炎は簡単には消えずに徐々に延焼していく。

   その後、恐怖に耐えかねイザークが降参して試合は終了した。


第1回戦第7試合

「メルト」のニコラvs.「クラッシュアームズ」の【鮮血姫】カミラ

勝者:カミラ

勝因:狂気と暴力。

   ランクが1つしか離れてないのに、これは試合と言えるほど見応えのあるものではなかった。

   開始直後、カミラが一気にニコラへと叫びながら突進。

   その狂気にニコラは若干怯えて対応が遅れているのが分かった。

   それでもニコラは、咄嗟に『ファイヤーボール』の6連弾で牽制。

   だが、それはほぼ意味をなさなかった。

   カミラは身体強化へ供給する魔力を増加させることで、『ファイヤーボール』の威力に対応。

   但し、火傷への対応は無視した様子だった。

   そして、カミラは勢いそのままにニコラに接近。

   突如、暴力が始まる。

   数分後、ニコラが立ったまま気絶していたので審判の制止により試合は終了した。





「以上がこれまでの試合の経過だ。

ドミニクの次の試合相手はランクBのジャニスということになるな」


「そうですね。

しかし、次勝てたとしても準々決勝でランクS、【斧鉞乱舞】のシビーユと当たりそうですね」


「ああ、だがそれは俺以外の全員に言えることだけどな」

俺なんてランクSと今日当たるんだぜ!!


「ふふ、そうでしたね」


「2人とも、良い雰囲気の所悪いんだけどティアの試合が始まるわよ」


「はぁ…リーン、お前な…

まあいい、知らせてくれてありがとう。言いたいことはあるが、今はティアの試合に集中しよう」

俺は呆れながらも、文句はほどほどにして試合観戦に集中することにした。


横に居るドミニクの耳が赤くなっていることに気付かないまま…





~side ティア~


 「それでは、トーナメント第1回戦第8試合、セレスティア対コートニー!!試合開始!!」

さて、始まったのう。相手はランクA。用心せんとのう。


「貴女、トールの、仲間なのよね?」

開始と同時にコートニーが接近し、槍で3連突きを放ってきた。

この調子は…まだ小手調べの段階じゃろうな。


「そうじゃが、…それが、どうかしたかのう?」

我はそれを最小限の動きで難なく回避。

…しかし、流石と言うべきか、突きを放った後の引き戻しが早いのう。

反撃のスキを見つけにくい怖い相手じゃ。


「いえね…不本意だけれど、彼のおかげで予選を突破できたからね。お礼を言いたいのだけれど…」

む、むむ!!これはいかん!!先手を打たなければ!!

我はそんなことを考えながら、コートニーの動向を窺っていた。


「…訂正するのじゃ。我はトールの仲間にして恋人。

そのことについては我が誠意を持ってトールに伝えておく。

じゃから、安心して自分の持ち場に戻るといい。

因みにトールの恋人は我を合わせて3人、そして候補が1人おる。お主の入る隙間は無いわ!!」

言い終わると同時に牽制として短剣を投擲したが、あっさりと弾かれてしもうた。

しかしあの女、トールの話をする時に若干顔を赤くしておった。大方、助けられて惚れたのじゃろう…

ちと、単純すぎやしないか?


「…ちっ。私は私に一途な男がいいのよねぇ。残念だけど、そんな男はこっちからお断り。

ふう…手加減はもう止めね。悪いけど、憂さ晴らしに付き合ってもらうわよ!!」

話の間に、コートニーの顔は恋する乙女の顔から忌々しい顔、そして戦士の顔へと変わりおった。

忙しいやつじゃのう。じゃが、我も気を引き締めるべきじゃな。

ここからが本当の戦いになるはずじゃ。


「とりあえず最初の攻防が終わりましたね、獣王様!!」


「うむ。様子見の攻撃とはいえ、素晴らしい突きじゃな。

それを避けるセレスティアもいい動きをしておるぞ。

何か会話をしておったが、コートニーの雰囲気がいきなり変わったのう。ここからが見物じゃ!!」


「なんと!!皆さん、獣王様からのお言葉を聞きましたか!!ここからの戦い見逃し厳禁ですよ!!」

実況がそんなことを言っている間に、コートニーが折角空けた間合いを詰めて来たのう。


ここで近寄らせるわけにはいかんな。


「『アーススパイク』!!」

我の前方に向けて扇状に広がる様、胸の高さ程ある棘を地面から数十本発生させる。

棘が乱れるように生えてコートニーを襲うが、寸での所でバックステップを使われ回避されてしもうた。

じゃが、弓を使う余裕は出来たのじゃ。


我は魔法矢を3矢用いて、棘を回り込むように近付いていたコートニーに対し、偏差射撃を行う。

最初の1射目は若干後方に流れ効果は無し。

2射目も狙いは上手くいったが槍に弾かれて不発に終わってしもうた。

じゃが、3射目でようやく肩に命中。

棘の隙を縫う様に射った上に、2射目で槍を弾いていたおかげでスキが出来て上手く命中したのじゃ。


【シャドーレス】と言われるほど素早い者に矢を当てられたのは僥倖じゃのう。

そして、この一撃で我に有利な流れに変わったわ。

ここが攻め時じゃ!!


コートニーはこれ以上間合いを空けるのを嫌ったのか、怪我を無視して突っ込んで来おった。

それは悪手じゃないかのう…コートニーよ。我は別に近接戦闘が出来ぬわけではないのじゃぞ。


「やってくれるじゃない!!

3射目は障害物のせいで気付かなかったけど、ここまで近づけばもう弓は使えないでしょう!!」

コートニーは突進の勢いのまま残った片腕で槍を扱い、突きを放ってきおった。

じゃが、十分に扱えるのは片腕のみの為、勢いはあれど鋭さは無い。

簡単に拳で横から弾くだけで軌道を反らせるほど、不安定な突きじゃった。


そこから我はコートニーの懐に入り込み、トールより伝授された技で勝負を決めに掛かる。


「貫け!!『轟雷螺旋撃』!!」

腕先に幾重もの雷をドリル状に収束させ、貫通力を増した抜き手を放つ。

予選での魔法もそうじゃが、『無魔法』の身体強化と『異常状態耐性』のレベルが高くないと自分も異常状態に陥る技など、一部の者じゃないと使えんじゃろう。

魔法使いと武術家の両立は厳しいからのう。

それはそうと、この技は麻痺の効果もあるとはいえ、追撃はしておいた方がよいじゃろうな。


「追加じゃ!!『拒絶する風』!!」

コートニーの胸を貫いた手を抜きつつ、反撃の芽を摘む為に自分を中心として突風を放つ。

結果、コートニーを十数m吹き飛ばしたが…さあ、どうじゃ!?


…起きないのう。

お、審判がコートニーの状態を確認しに行ったのじゃ。


「…コートニー選手、気絶!!

試合終了!!勝者、セレスティア選手!!」

…ふむ、勝ったは良いが、これが本当にランクAの実力なのじゃろうか?

我の実力が上だったのか、コートニーの力量が低かったのか…

この戦いはあまり参考にならんのう。これはトールを相手にしてきた弊害か?

とりあえず次のカミラ戦でどっちなのか確認出来るじゃろう。

もしくは、皆の意見を聞いてみるのもありじゃな。


「決まったー!!勝者はセレスティア選手!!

決まり手はコートニー選手を貫いたあの光る手ですが、あれは何でしょうか獣王様!!」


「ふむ、あれは『風魔法』で雷を突撃槍の様にしたものと言ったら分かり易いかのう。

セレスティアは予選でも『水魔法』を使って似たようなことをしておった。

弓も使え、体術も申し分無い、そして魔法も…

今回の戦いで確信したが、武術と魔法ともに相当なレベルに居ることは間違いないのう。

これは油断して掛るとコートニーの二の舞になりそうじゃな」


「なんと!!ドミニク選手だけでなく、セレスティア選手までも…

どちらも「日月」というパーティーに所属していますが、このパーティーからはなんともう2人!!

本選に残っております!!今後も要注目しておきたいパーティーですね!!

さて…」

ふむ、実況を聞くこともないか。それでは皆の下に戻ろうかのう。





「戻ったのじゃ」

エルザの試合が始まる直前にティアが観戦席に戻ってきた。


「お帰り。そして、おめでとう。問題なく勝てたな」

「おめでとうございます。お疲れではありませんか?」

「お疲れ様。最後の方、余裕があったみたいだけど何かしたの?」

3者3様に労いの言葉を掛けると、ティアは笑顔で返事を返してくれた。


「うむ、皆ありがとう。ドミニクよ、疲れてはいるがそれほどでもないのじゃ。

それどころか、リーンの言う様にいきなり余裕が出来てのう…

それが不思議でならんのじゃ」


「あら、ティアが何かしたわけではないのね。では何故なのかしら?」

ん?リーンなら判ると思ったが…


「…予想でもいいなら解説するが、聞くか?」

俺がそう言うと、皆が頷いたので続けて説明を始めた。


「余裕が出て来たのは多分矢が当たって、相手が突っ込んできた時からだよな?」

一応の確認でティアに問うと、頷いたので再度説明を始める。


「であるなら、余裕が出来た理由は2つ。

コートニーの情報収集不足と『魔力操作』の修練不足が原因だ。

1つ目の情報収集不足。

これはティアに対して近接が有利だと思い、動きが単調になったことから判ると思う。

多分、予選を観てなかったんじゃないかな」


「そういえば、コートニーも「近づけば…」とかそんなことを言っていたような気がするのう…」


「ならほぼ確定だな。で、これは2つ目の原因にも直結する。

怪我を負ったコートニーは痛みを抑える為、『魔力操作』で『パワー』に魔力を多めに使い始めた。

それに、『パワー』で強化しておけば近接で有利とも思っていたんだろう。

だが、それにより『アクセル』への魔力配分が狂った。

ここで『魔力操作』が絡んでくる。

コートニーはこれのレベルが低く、移行させる時に魔力を発散させてしまっていた。

だが、コートニーは『パワー』効力を優先してしまう。

すると、『パワー』の要求する魔力を得ようと更に『アクセル』から魔力を移行した。

結果、『アクセル』の効力が予定より弱まって思考も遅くなり、ティアの攻撃に対応出来ずに終了。

ランクAになって気でも大きくなっていたのかねぇ…

どう考えても力量不足だよ」


「そうか…じゃから…

うむ、確かにあ奴の言動を思い返すと、ちょっと自惚れ気味ではあったかもしれんのう」


「だめじゃないの…元ギルドマスターとしては恥ずかしい限りだわ」


「リーンさんのせいではありませんよ。悪いのは慢心していたあの人です」


「そうだな。

そして次の対戦相手、カミラはコートニーと同じランクAだが…

今日の戦いを引きずって油断しないようにな」


「判っておるよ。疑問も解決したので、もう問題は無いのじゃ。十分に注意して戦うとしよう。

それよりもじゃ、そろそろエルザの試合が始まるみたいじゃぞ」


「おっと、それじゃ皆で応援しますか!!」


エルザはどういう戦いを見せてくれるかねぇ…

連続してエルザの試合に移ります。

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