#5 新装備…お高いんでしょう?
会話文はあんなにスラスラ書けたのに…
遅くなってすみません。
では、装備の実力を発揮できないはずなので、ここで説明をしておこうか。
新調した装備は小太刀、ガントレット、コート、ブーツの4つだ。どれもトリスタンに縁のある代物だな。
…覚えていない?
3つは壊されて、1つは墓の中にあるよ。
思い出せたかな?
それでは、ブーツから紹介して行こうか。
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クロノブーツ
品質:最高
状態:装備品として最高位に属す魔武具である。古代竜の革と神鉄の魔力伝導率、耐久度共に最高。他者を惑わし、本当の姿はほぼ不明。時空間属性が付与されている為、魔力を伝えると最高の品質まで戻すことが出来る。ただし、魔力消費量はとても多い。また、踵を補強している神鉄は用途によって足裏にスパイク、脛部分に棘、つま先に刃を形成することが可能になっている。
価値:最低5千万モル
付与スキル
・『隠蔽Lv.7』・『魔力吸収Lv.7』
・『時空間魔法Lv.9』
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「クロノ」の意味は、『隠蔽』で表面上が黒色になっているのと、時間神クロノスの一部を取って「クロノ」と名付けた。古代竜の革はトリスタンが迷宮で大昔に狩った奴が丸々1頭分あったので使わせてもらったが、まさか10m以上もあるとは思わなかったよ。迷宮を攻略するならあんなのを倒さないといけないのか…
…っと、それで革の特性だが、魔力伝導率が驚くほど良かった。魔力の通りが他の革や神鉄、聖銀と比べても良かったのにはびっくりしたな。自分の手足のように魔力が通る。しかし、古代竜の革を使ったのに付与スキルが何も付かなかったのが不思議でならない。予想は出来るが今は置いておこう…話が長くなりそうだ。
じゃあ次はコート。
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オプティマムコート
品質:最高
状態: 装備品として最高位に属す魔武具である。古代竜の革、三叉頭狼の毛皮、神鉄の魔力伝導率、耐久度共に最高。他者を惑わし、本当の姿はほぼ不明。時空間属性が付与されている為、魔力を伝えると最高の品質まで戻すことが出来る。ただし、魔力消費量はとても多い。火属性と水属性が付与されている為、意思を以って魔力を伝えると防熱、防寒の効果で体の表面を快適な温度にすることが可能。
価値:最低7千万モル
付与スキル
・『隠蔽Lv.7』・『魔力吸収Lv.7』
・『時空間魔法Lv.9』・『火魔法Lv.9』
・『水魔法Lv.9』
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ブーツは『隠蔽』を使用して黒色の革に偽装していたが、コートは毛皮やボタンを除いて全て白色に見えるようにした。これに意味は無い…ただの好みだ。因みにフード付きです。
効果の方だが前回はコート内にのみ防熱・防寒が発生していたが、今回は体全体に効果が適応される。これな~…魔法にも適応されるんだよ。俺が伝えた魔力以下で、なおかつ一部の火や水、氷の魔法は無力化出来るんだ。…うん、安全性が増したと思っておこう!!
因みに、三叉頭狼の毛皮を使って作ったら『闇魔法』が付与されたんだよ。『ブラックスモーク』という魔法が発動するようになったんだが、体の周囲に黒い煙が発生して暗闇に紛れやすくなるという俺には不要な魔法だったので、エルザに盗ってもらった。残念ながらレベルは上がらなかったがな…
さて、お次はガントレットだ。
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武極・阿形
品質:最高
状態:武器として最高位に属す魔武器である。古代竜の革、神鉄の魔力伝導率、耐久度共に最高。他者を惑わし、本当の姿はほぼ不明。時空間属性が付与されている為、魔力を伝えると最高の品質まで戻すことが出来る。ただし、魔力消費量はとても多い。神鉄により手の甲に杭、腕の側面に刃を形成可能。
価値:最低8千万モル
付与スキル
・『隠蔽Lv.7』・『魔力吸収Lv.7』
・『時空間魔法Lv.9』
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今回の『隠蔽』の効果はガントレットを黒色にしてくれています。ただし、差し色として手の甲をオレンジにしたり、金色で縁を装飾してある。やっぱり、メインの武器には少しこだわりを持ちたいよね!!
そして杭と刃だ。杭のイメージは分かる人は分かると思うが、役割的に近いのはパイルバンカーだ。ただし、杭が射出されるとか爆発力で飛び出すとかの機能は無い。機構が面倒なので杭のみにした。正直、突進力とか氣でどうにでも補えるんだよ。
一方、刃の方は手刀の補助や拳を振り抜く時の追撃用として用意した。こっちは一撃必殺というよりも手数を増やすことを意識して付けてみた。
今の所、普通の状態との切り替えが課題ではある。超近距離戦は状況が目まぐるしく変わるからな。…まあどうにかなるだろう。
じゃあ最後だ。
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武極・吽形
品質:最高
状態:武器として最高位に属す魔武器である。神鉄の魔力伝導率、耐久度共に最高。他者を惑わし、本当の姿はほぼ不明。小太刀2刀、弓矢、戦鎚、戦斧、杖棍、十字槍、多節鞭、鎖大鎌、投盾、苦無が記憶されている。
価値:最低1億モル
付与スキル
・『隠蔽Lv.7』・『魔力吸収Lv.7』
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この武器に関しては『隠蔽』に遊び心を入れてみた。基本色は黒や鈍色だが、各武器の一部を無属性以外の魔石の色に対応させてみたのだ。対応色はこちら!!
小太刀…切先、刃先、柄頭がサファイアのような青 (水)
弓矢…リムと矢尻がエメラルドを連想させる緑(風)
戦鎚…鎚頭の口がアングレサイトを思わせる黄(雷)
戦斧…斧刃と石突が琥珀のような茶(地)
杖棍…蛇が杖棍を締め付けるように螺旋を描くセレナイトの白(光)
十字槍…長柄がガーネットを連想させる赤(火)
多節鞭…連結部以外がアクアマリンのような透明に近い水色(氷)
鎖大鎌…刃と分銅がアメジストのような紫(時空間)
投盾…盾の縁を彩る南洋真珠を思わせる銀(虚無)
苦無…全体がオニキスのような黒(闇)
うん…ちょっと調子に乗りすぎた感がある。こいつを作った時は徹夜作業で変なテンションだったからな…まあ、きれいだからいいとしよう。
新しく増えたのは弓矢、戦鎚、戦斧、鎖大鎌、投盾、そして苦無だ。
弓矢は矢のみを追加して、自前だがスキル『分身』で際限なく使えるようにしてみた。魔法の矢と違い質量があるので貫通力が上昇するという利点がある。発射速度は魔法の方が早いので使い分けが重要になってくるがな。
戦鎚は槍同様の長柄に両端を平らにした両口型の鎚頭を付けている。戦斧も同様の柄にバルディッシュの三日月状の刃を左右に付けた形になっている。これらは両方とも長柄の遠心力を利用した打撃武器であり、硬い敵を破壊する為の武器として作り出した。魔の森や迷宮にはゴーレムなどの猛者が居るらしいので、今の内に追加しておこうとノリで作ってみた。逆に言うとそこまで出番はないんじゃないかなと思う…今の所、宝の持ち腐れだよ。
鎖大鎌は皆が思うサイス…所謂デスサイズだな。それの石突の所に分銅が約3mの鎖で繋がれている武器だ。…そうだよ!!ロマン武器として作ったんだよ!!実用性が皆無とは言わないが、使い所が難しい!!この大会で練習してみようかな…対戦相手で。
投盾は正六角形の形をした70~80cm程の盾で、六角形の縁は全て刃である。普通の盾としても使えるが投擲武器としても使え、投げつけた時に打撃+斬撃の傷を与える仕様となっている。盾は鎖で繋がれているので投げても回収は可能。未使用時は盾の内側に収納されている。これも試しに作った武器なので、どこで投げるかは分からないと言っておこう。
最後に苦無だが、これにはあまり特色は無い。使用時は『分身』を使用すると決めているくらいだ。ただ、戦鎚や鎖大鎌などの大型武器以外では余剰な神鉄が出てしまう為、その余剰を苦無としてコート内側に収納している。
以上が新調した装備品の説明だ。
そして、これらの使い心地の感想だが…
本選までおあずけということで!!
あまり試すことが出来ないだろうからな…
…
おっと…もうそろそろ準備しないと。
「さて、第3試合も佳境に入ってまいりました!!残すは3人!!その選手を紹介しましょう!!
1人目はランクC「ブロッケン」のサミー!!2人目はランクB「獅子心」のクンツ!!そして最後はこの人…ランクA「突風」の【シャドーレス】コートニー!!
この3人が今、三つ巴で睨み合っております!!」
お気付きだろうか…
そう俺の名前が…ありません。
それは何故か…
それは試合開始直後に『隠蔽』で完全に隠れたからです!!体力温存の為、残り人数が少なくなるまで動かない作戦に出たのだ。
だから「卑怯かも」って言ったよね。批判は受け付けません!!何でもありなのです!!
「おっと!!ここでサミーとクンツがコートニーを倒す為に手を組んだみたいだ!!皆さん、これは卑怯でもなんでもありません!!これも作戦なのです!!
さあ、コートニーこの試練をどのように切り抜けるのか…見物ですね、獣王様!!」
「そうじゃのう。しかし、即席の連携じゃ。どちらかが足を引っ張れば、瞬く間にコートニーがどちらかを倒して本選出場を果たすじゃろう。この協力、吉と出るか凶と出るか…」
「皆の衆、獣王様はこの様に言っておるぞ!!
…すみません、悪ノリしました。さて、皆さんもその辺に注目して観戦してみて下さい!!そろそろ決着ですよ!!」
あ、実況者さんが後ろからお偉いさんに叩かれてる…言葉選びは慎重にして下さいね。
さて、組んだ2人が動き出そうとしてるから俺も動きますか。
「キター!!サミーの大剣による豪快な斬撃!!これをコートニーは持前の速さで軽々と回避!!
しかし、回避地点に待ち構えるクンツ!!強化した身体で繰り出す大鎚の打撃は一撃で敵を粉砕しそうだ!!
だーが流石コートニー、転がりながらこれも回避します!!しかし、だんだんと余裕が無くなってきていますね!!」
「ふむ、即席にしては良い連携をしておる。これはコートニーが危ないかのう…」
「それは…おー!!コートニーがサミーに突っ込んで行くー!!若干でも技量の未熟な方を選んだのか!!
しかし、その後ろからクンツが迫る!!コートニー間に合うか!!
……え!?」
「なんじゃと!?」
「なんと!!なんと!!コートニーを追っているクンツに無数の黒い武器が刺さり、クンツ脱落!!この間にコートニー、必殺の一撃でサミーを撃破!!サミーも脱落です!!
これはコートニーの一人勝ち…いや、でもあの武器は…おっと!!生き残りがコートニーの他にもう一人居ます!!いったいドコに居たんだー!!私には分からなかったぞー!!」
「あやつは…生き残っておったのか…」
「獣王様!!ご存じで!?」
「いや…知り合いではないが、この試合早々に居なくなっておったんじゃよ。他の選手を見ている内にのう…
負けておったと思ったんじゃが、生き残っておったみたいじゃ」
「おー!!そうだったんですか!!私には分かりませんでしたよ!!
…おっと、ここであの選手の情報が上がってまいりました!!彼の選手はランクB「日月」のトール!!なんと脅威度ランクSのリッチを討伐したことがある猛者らしいです!!」
うお!?なんか会場が一斉に歓声を上げやがった。俺の情報そんなに凄いのか?…いや、凄いんだろうな。俺の認識がおかしいんだろう。なにせ最近戦った相手が相手だからな。
「む…リッチをか。そうするとあやつの姿が見えなかったのは魔法かのう?」
残念!!スキルです。
「そうでしょうね!!しかし、このような戦い方もあるのですね!!実況者として参考になります!!
さて、これで第3試合の勝者が決まりました!!本選出場者はコートニー選手とトール選手です!!
皆さん、勝ち残ったお二人に惜しみない拍手を!!
…それでは、次の第4試合は休憩を挟みまして30分後に始めますので、皆さん遅れないように着席しておいて下さいね!!」
さーて、終わった終わった。
あ、因みにコートニーを助けた理由は単純に1対2だったからだ。俺入れたら2対2になるよね。
次は一試合挟んでティアの試合か。それまでじっくり観戦させてもらいますか。
…先ほども言いましたが、文句は受け付けませんよ。
楽したってイイじゃない!!
次回はティアさんの戦いです。




