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すきと~る -えっ!視えるの?-  作者: 守りの神殿
第4章 死闘の果て
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#16 死合-決着-

遅くなりました。


それでは続きです。どうぞ!!

「ガハッ!!・・・クッ!!」

たった一発のパンチで吹っ飛んだ俺は、落ちて背中を強打するも、追撃を警戒して直ぐにバク転で体勢を立て直した。

同時に自分の状態を確認すると、先ほどの攻撃で右腕のガントレットが壊されていることに気付いた。


・・・マジかよ。

強化をしていたガントレットを潰し、俺を吹き飛ばす程のパンチだと…

一撃が必殺の威力じゃないか!!


「考え事をする暇は無いよ…ハッ!!」

直近で聞こえた声に俺は目を開いた。

トリスタンは既にローキックの体勢をとっており、必殺の一撃が放たれようとしていた。


「ナメるなァ!!」

俺は烈蹴(ブーツ)に魔力をいつもより倍以上込め、トリスタンの蹴りに合わせるように俺も蹴りを放った。


放たれた蹴りは俺とトリスタンの間で激突し、「ドンッ!!」という音を辺りに響かせた。


結果は相討ち。

…いや、ブーツが半壊した分だけ俺が不利になったな。


蹴りの衝撃で双方滑るように距離が離れたが、硬直時間を感じさせずにトリスタンが距離を詰めてきた。


右フック…左ストレート…右ローキック…エルボー…

数々の打撃技を瞬く間に繰り出してくる中で、俺は受け流しや残りの防具での防御により、致命傷は避けたが切り傷や火傷を防ぐことは出来なかった。


猛攻を凌いだ俺は『断空』で牽制しながら、『流砂』を虚無属性の『失斬』に変更して攻勢に出ようと画策していた。


「ウォォォォォォッ!!!」

俺は吠えた。

氣を最大限に使い、機動力を上げた高速の斬撃を俺はトリスタンに繰り出す。


しかし、それでも致命傷は与えられず、効果があった攻撃もあるにはあったが、自己治癒能力も強化してあるみたいで『断空』の切り傷は直ぐに塞がれてしまった。


唯一、有効だったのは『失斬』だ。

全てを消し斬る攻撃は周囲の細胞を消してる分、治癒能力が働きにくいみたいだな。


「フフ…フフ…この技を使っても、僕を傷付けることが出来るのか。

さて、トール君…これ以上の攻撃はあるかい?

その攻撃でも僕にはもう一歩届かないよ…さてどうする?」

俺の猛攻を距離をとって回避していたトリスタンがこのように言い放った。


奴の言う通りみたいだな…『失斬』の傷も時間を掛けたら治ってる。


これ以上の攻撃か…

一撃必殺…

あるにはある…

しかし、当たるかどうか…


いや、やるしかない!!

可能性を引き上げるのは俺の行動次第だ!!


「無いのかい?

・・・それじゃ残念だけど…


「待てよ」


えっ?」


「希望通り見せてやる。これが()の俺の本気だ!!」


全ての魔を氣で束ね、神氣へ昇華…

それを刀へ…


「『神宿刀(しんすくとう)十握剣(とつかのつるぎ)』」

俺のキーワードと共に小太刀に神氣を纏わせる。


「フフ…ハッハッハッ!!何だいソレは!!

黄金色の氣?魔力!?

まあ、いいや。早く()ろうか!!」

ケタケタと笑いながら、トリスタンの雰囲気が増した。


「ああ、これで終わりにしよう!!

この苦無を投げる。落ちた時が開始の合図だ!!」

そう言って俺は上空へ苦無を放った。


「イイネェ…そういうの好きだよ」


苦無が頂点に達する。


「お前が何故この戦いを望んだのか…読んで少しは判った。

だが、俺には理解出来そうにもない。対等な存在が居なくて絶望し続けた数千年…たった十数年しか生きていない俺に判るはずもない。しかし、これだけは言える…絶望しきって理解者を作ろうとしなかったお前も悪いと・・・」


苦無の先が下を向き、落ち始める。


「ソレは聞き捨てならないね!!

誰も僕を必要としなかった!!僕と対等の人など居なかったんだ!!」


あと半分…


「対等、対等ってお前はその人の力しか見てなかったんじゃないか?

心を見ていなかったんじゃないか?

友達が出来そうなとき、力だけ見て見下してなかったか?

お前に好意を寄せていた人に対して、自分の価値観だけを押し付けてなかったか?

お前は諦めるのが早すぎたんじゃないのか!?」


5…4…


「うるさい!!ウルさい!!ウルサイ!!!!

どいつもこいつも俺の力にしか興味がないんだ!!

なら、ボクも力で色々決めたってイイじゃないか!!」


3…2…


「中身が育って無い、大人の皮を被った子ども…心を視すぎた弊害なのかもな!!」


1…


キィン…


「ガァ!!」

「ハァア!!」

トリスタンの雄叫びと俺の気合いが重なり、距離が一気に近付く。


トリスタンの右が俺の顔面に迫る。


「ナメるな!!」

それを俺は左のガントレットを犠牲に拳を外に弾き、小太刀を袈裟懸けに振るう。


「鬱陶しい!!」

トリスタンは避ける気など無いのか、左腕を切断されることも厭わず、左腕を防御に回して左足の蹴りで再度顔面を狙ってくる。


「なっ!!…クゥッ!!

これで…!!」

回避が出来ないと感じた俺は右の小太刀を手放し、右腕で顔面を庇う。

トリスタンと同様、右腕の犠牲…骨が砕ける音を無視し、残った左の小太刀でトリスタンの首に突きを放つ。


「甘いっ!!」

トリスタンはそれを右の拳で殴り、切っ先が到達する前に俺の左腕を壊す。

勝ちを確信したのか、トリスタンはニヤッと笑い、右の蹴りをトドメとばかりに振るった。


「まぁだだぁ!!」

俺は先ほど左腕を壊された時に空中へ放り出された小太刀を見て、最後の攻撃を思い付いた。

実行に移すため、俺はトリスタンへ一歩踏み込み、口で小太刀を咥えて切っ先を心臓に向けて倒れ込む。


「!!…このっ!!」

蹴りでは間に合わないと覚ったのか、トリスタンは無理矢理右の拳で俺を殴ろうと試みる。



そして…俺たちの攻撃が交わった。


一瞬の静寂があり、最初に響いた音は、俺たちが折り重なるように倒れる音だった。



こうして上位種2人の死合は静かに決着を迎えた。

多分次が4章本編の最後です。

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