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すきと~る -えっ!視えるの?-  作者: 守りの神殿
第4章 死闘の果て
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#15 死合-前哨戦-

章のクライマックスの始まりです。

キンキンキン…キーン!!


一体、何合打ち合っただろうか…

間合いを取るのが精一杯だった。


端から見れば「ありえない」と思われるような戦い…それはまだ始まったばかりだ。


始まりはただの突きだった。

脅威も感じなかった俺は難なく回避。

お返しに小太刀で斬りかかるも相手の見切りが凄く、たった少し半身をずらされて俺の斬撃は回避された。


初撃は互いに不発。

そのあとも10合程斬って避けてを繰り返した。


確かに正確に急所等を狙ってきてる当たり流石だった。

レイピアのしなりを利用しての突きも眼が良くないと回避出来なかっただろう。

しかし、先ほど脅威と感じられなかった俺はこの時までトリスタンを制圧出来ると思っていた。


殺さずに済む…そう思ってしまった。いや、思わされた。


正直、上位種…しかも俺のように促成栽培じゃなく天然ものを舐めていた。


トリスタンがニヤリと口を歪めた時、俺の浅すぎるハイエルフへの認識は覆された。


さっきまでと同じ突きが増えたのだ。

沖田総司の三段突きのように3つの突きが同時に繰り出されているように見えたのではない。

突きが寸分の狂いもなく同時に放たれているのだ。


3本目までは避けることが出来た。しかし、4本目5本目とどんどん増えていくと、小太刀を駆使して捌くことでしか対応出来なくなった。トリスタンがちょっと攻勢に回っただけで俺は追い詰められてしまった。


10本目まで増えた時、これ以上はヤバいと思い、レイピアを大きく弾いて一旦バックステップで間合いを取った。


「はっ…ふー。その突き…『分裂』…いや、威力等を考えると『分身』か?」

間合いを取って一息ついた俺はトリスタンにさっきの突きの謎解きを行った。


「ウンウン、そうだよ。よく避けたね。それを知っている君は『武人』…いや『武神』が発現してるね。力量は嘘付けないから僕には判るよ…うん」

トリスタンは顎に手を当てながらウンウンと確信したように頷いていた。


「それを言うお前も持っているな…『武神』」

わざと情報を渡したのか?

とりあえずこれで1つ目か…2つ以上で上位種になるから最低でもあと1つ神の名が付く『保持者(ホルダー)』があるはずだ。


「そうだね。あと僕が所持している神の名が付く『保持者(ホルダー)』は1つ。何か判るかな?」

クククと笑いながら俺に問いてきた。

何だコイツ…強者の余裕か?自分のスキルをペラペラと…


「さあ、無駄話はこれくらいにして続き行くよ!!」

そう言うと、トリスタンはその場でレイピアを俺に向けて振った…間合いが空いているのにも関わらず。


俺は嫌な予感が背筋に走ったのに従い、大きく横に跳んだ。

その直後、俺の元居た地面がビシッという音と共に弾けた。


氣の鞭か!!


その後も鞭で結界を張るように俺に向かってくる。

軌道が複雑過ぎて大きく回避させられる…この距離の取り方は!!


「『イレブンバレット』!!」

突然11個に増えたレイピアが浮き、その先端から全属性の弾丸が放たれた。


あれはヤバい!!

特に虚無属性の弾が!!


俺は『転移』でトリスタンの後方へ緊急離脱。

しかし、その判断は最良とは言えなかった。

レイピアが反転し、先ほどの魔法を撃たれてしまった…しかも今度はガトリングのように。


「クッ!!」

俺は再度『転移』を使い、射程外に跳んだ。


何故バレた!!

俺がリッチから魔法を解析した時は『神眼』の力だった。

奴も『神眼』を持っている?


「へー、君は『神眼』を持っているのかい?便利な能力みたいだね」

!!

・・・奴のもう1つの『保持者』は判った、だが…


「僕の真意が判らない…かい?」

・・・やはり


「ああ、何故自分の力をばらす?お前が持っているのは『武神』と『心神』…さっきのスキルは『読心術』だな?」


「正解!!僕はその2つを以てハイエルフになった。

そして何故か…か。僕がその程度で負けるとでも?

ここまでやっても今まで強い強いと言われていた者との戦いでは傷を負わずに圧勝出来たんだよ。

今の君を見ても脅威を感じないんだ。僕の感覚じゃそれくらいのハンデがあってもいいんだよね。」

傲慢ともとれる程の自信…ならその余裕崩してやるよ。


『流砂』!!

『断空』!!


右に地属性の魔纏剣(まとうけん)の『流砂』、左に時空間属性の『断空』を瞬時に発動。

そして一か八かだが、『読心術』対策として心を『隠蔽』し、一気に間合いを詰めた。


トリスタンは一瞬眉をひそめたが、直ぐに気を取り直して11本のレイピアを自由自在に操りながら迎撃しようとしていた。


「やらせるか!!」

俺は『断空』をトリスタンに向けて2度振るった。


トリスタンはその行動を見て、『分身』を即座に解除し、防御体勢をとった。


ギィン!!キーン!!


50m程離れた位置で斬撃を防がれた音が2度響いた。

これが『断空』の能力…一言で言うと跳躍剣だ。そして…


50mの間に同じく『断空』を振るい、斬撃を蓄積(・・)。防がれた音の後、直ぐにそれを解放した。

解放した斬撃は5つ。


トリスタンは全てを防ぐことは出来ないと悟ったのか、2つ弾き、3つ身体を捻りながら回避していた。

これが2つ目の『断空』の能力…時限式斬撃だ。


この2つの能力により、俺は小太刀が振るえる距離まで間合いを詰めることが出来た。

トリスタンは先ほどの回避で膝をついた状態、そこで俺は『流砂』を全力で振り下ろす。


ガッ!!ギィィィィィィィィ…ン!!


トリスタンはレイピアを頭の上に掲げ、『流砂』を受け止めた。

しかし、それが俺の狙いだ。


『流砂』の能力は刀身に微細な砂を纏い、防御面ではその砂で衝撃を吸収する。そして今回のように攻撃面では砂を高速で流動させ、対象を削り斬るという特性を持つ。


結果、トリスタンのレイピアは切断までは出来なかったが、衝撃に耐えきずにレイピアを手放し、後ろに跳躍して『流砂』を回避していた。


転がって回避したあと立ち上がったトリスタンの額には一筋の切り傷ができ、そこから血が流れていた。


「いいよ…いいよ!!やっと!!やっと僕を傷付けられる人に会えた!!

さあ、トール君!!もっと殺し合いを楽しもうじゃないか!!生を実感しようじゃないか!!

君は本気を出したかい!?僕はこれから本気で君を殺しに行くよ!?

だから…僕をガッカリさせないでね!!」

気配が一変した…


これからが本番か…これはあれを使わないと勝てないかもしれないな。

ここまで技を使っても傷1つ。それも『身体能力向上』で傷は塞がりつつある。

一気に勝負を決めに行かないと…負ける。


「さあ、行くよ!!

この技は未完成だけど、威力は僕の技の中で最高峰に位置する。特別に見せてあげるよ!!」

・・・久々に悪寒がするな…そして気迫が凄くて動けない。今動けば一瞬で殺られそうな気配さえある。


「・・・『エンチャントデーモン・ファイア』!!」

トリスタンがキーワードを唱えると、容姿が一変した。


輝いていた金髪は真っ赤に染まり、両腕の肘から先の皮膚が赤くなっていた。足にも陽炎が見えるってことは両足も腕と同じようになっているのか?

これは・・・まるでエルフの魔人族…

いやそれよりも色が濃い…炎そのものになったようにも感じる。


「簡単に死なないでね!!」

その言葉を聞いて俺は両腕のガントレットで顔を庇った。


直後、衝撃が俺を襲い、俺は空を飛んだ。

次で死合が終わります。


来週は都合上、更新出来ないかもしれません。

ご了承下さい。

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