表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
すきと~る -えっ!視えるの?-  作者: 守りの神殿
第4章 死闘の果て
134/329

#12 最後にコレは無いよ~

ごめんなさい…


書く時間が確保出来ないので週1更新になると思います。


気を取り直して!!

続きをどうぞ!!

「ティア、エルザ、もう一度実技の内容を確認しておこう」

魔王様から合格を言い渡されたあと、実技の内容を聴いた俺たちは場所を移動した。現在、訓練場兼闘技場の中に居る。


「ふむ、内容は護衛じゃったな」


「ああ、そして護衛する対象をこの訓練場の端から端まで送ることが依頼…つまり試験内容だな」

俺はティアの説明に説明を加え、試験の詳細を挙げていく。


「だが、訓練場は直径にして約500mとかなりの大きさだ。それに加え、最短距離は襲撃者の騎士がいる。どう考えても外側を走ることになるはずだ。1km弱を守りながら走らねばなるまい」

エルザの言う通り、訓練場は巨大な円形をしており、外周を端から端まで走るとなると単純計算で約800m走らなければいけない。


「そうだな。だが、俺たちを妨害するのは騎士だけじゃないと俺は思っている」


「ん?どういうことだ?」


「護衛対象じゃな」


「その通りだ、ティア。エルザもよく考えてほしい。これは試験であり、俺たちを試しているんだ。なら、意地悪な設定があってもおかしくはないと思わないか?」


「・・・確かに。だが、考えすぎじゃないか?」


「それでも最悪な状況を考えておくのと、おかないのじゃ気持ちの持ちようが違うだろう?」


「…ああ、そうだな。余裕がある方が臨機応変に動けるだろう。トールとティアの忠告は心に留めておくよ」

こうして幾つかの予習と対策を行っていると、魔王様が1人の女性を連れてこちらに来ているのが見えた。


「待たせてすまない。実技の内容は先に説明した通りで変更はない。そして私の隣に居る女性騎士…今は一般人の格好をしているが、この女性を君たちには護衛してもらう。何か質問は?」

やはり、この魔人のお姉さんが護衛対象か…にしてもデカイな、180cmくらいあるぞ。髪も短髪で視線を上で固定していると美男子と間違われそうだな…まあ、ちょっと下を見ると胸が主張出来るほど膨らんでいるので間違うこともないだろうが。


「いいえ、特にありません」

俺は2人にアイコンタクトで確認したあと、そう言って魔王様の次の発言を待った。


「よろしい。では、始めるとしよう。私が観戦出来る場所に着いたら、『火魔法』で合図を出すのでそれが聞こえたら試験開始だ」

俺たちは肯定の意を持って頷くと、魔王様は背を向け俺たちから離れていった。

開始までの間、護衛対象の女性と大まかな作戦会議を行った。



・・・



5分くらいして魔王様が観客席に現れると、そのまま手を上に掲げて合図を放った。


ドォン…


一つの爆発音が試験の開始を告げる。


初手は騎士たちの弓矢での攻撃。


「走れ!!」

俺の号令を受けて、俺たちは矢を避けながら時計回りに外周を移動し始めた。


騎士たちの方は20名中5名が次々と矢を射ってくる中、3名が魔法の詠唱を、5名が直線的に俺たちに接近し、残り7名は俺たちの邪魔をするために先回りをし始めていた。


「『ファイヤーランス』」

「『サンダーランス』」

「『アースランス』」


100mも進まない内に騎士たちの魔法が完成し、俺たちに向かって3種のランス系魔法が放たれた。

しかし、魔法が使われた時の対応は事前の作戦会議で決めてある。


「エルザ!!」

「任せろ!!『フォートレス』!!」

魔法が放たれた瞬間、俺たちは足を止め、エルザを前面に出して護衛対象を囲うように陣形を整える。

結果、エルザの盾が魔法と追加で来ていた矢を難なく防ぎ、怪我無く乗り切ることが出来た。


「ティア!!敵後方の魔法使いを弓矢で攻撃!!」

「了解じゃ!!」

エルザの『フォートレス』が消えた瞬間、ティアが俺の指示で同時に2矢を放つ。


敵に向かって放たれた矢は、見事に魔法使いの眉間を貫いた…1人だけだが。もう1人は転がるようにして矢を避けていた。


…残り19人。


「ティア、エルザ、手筈通りに動く。数分間、任せるぞ!!」

「うむ」

「行ってこい」

護衛対象を2人に任せた俺は、こちらに接近してきた騎士5人を倒すため、身体を強化して『突撃』した。


『突撃』…本での説明は自分の俊敏性と攻撃力で大きなダメージを与えるとあったが、本来の効果は素の状態の俊敏性を2秒間増加させるものだ。感覚では約1.5倍程だったな。Lv.10で2秒間だからレベルが低いと効果の間隔も短くなるはずだ。攻撃力増加はスピードブーストによる効果だろう。筋力が上がった感覚は無かった。


閑話休題


俺は走りながら小太刀を抜刀し、右に『水刃(すいじん)』、左に『薄風(はくふう)』の『魔纏剣(まとうけん)』を発動。


次の瞬間、俺は右手の『水刃』を間合いが空いた状態で横薙ぎに振るった。


こちらへ向かっていた騎士たちは2人が俺の行動に疑問を感じ、ヘッドスライディングするように転がった。しかし、残りの3人は水に切られた。転がった2人は何がどうなったのか判らず、動きを止めていた。


俺はその隙を付くように一気に間合いを詰め、左手の『薄風』を振るう。


振るった刀は軽く騎士たちを薙いだように見えただろう。しかし、結果は鎧をも切り裂き、騎士を戦闘不能に追いやっていた。


これが2つの『魔纏剣』の能力だ。

『水刃』は簡単に言うとウォーターカッターだ。刀を振るうと発動するように設定してある。追加効果として刀に水を纏うので、衝撃吸収の効果も得ている。鉄の刀でも鋼の剣と打ち合えるくらいの効果はあるはずだ。

『薄風』は極薄の風を纏うことで切断能力をUPさせている。極薄のイメージは粒子…分子の大きさだ。これで身体や物を構成している分子の結合を切り離すという考えの元、この『薄風』を創った。結果は先の通りだ。


騎士を倒した俺は納刀し、踵を返してティアたちの下へ走る。


「ティア、エルザ、状況は!?」

3人に追い付いた俺は2人に現状報告を求めた。


「大丈夫だ。誰も怪我はさせていない」

エルザの方はあまり問題は無さそうだ。守ることに専念しすぎてエルザ自身は若干疲弊しているみたいだが…まあ、『リカバー』で疲労を回復させておこう。


「我は弓兵2人と魔法使い2人を倒したのじゃ。これで今のところ遠距離攻撃は弓矢だけになっておるぞ」

ティアはこの短時間で大金星を上げたな…厄介だった魔法使いを排除したんだから。


これで残りは10名…半分まで減ったな。


「了解だ。これで敵方の奇襲はほとんど潰したな。ティア、残りの弓兵をこの前教えた魔法で殲滅してくれ。エルザはティアが魔法で敵を倒すまで再度守りを固めてくれ」


「了解した!!」

「うむ、では早速・・・『ホーミングアイスアロー・マルチプル』!!」

エルザが防御に集中し、ティアが魔法を放つ。


ティアの魔法は以前俺がクリフと戦った時に見せた多重展開と追尾の魔法だ。ただ、これ結構魔力を喰うらしい。ティア曰く、魔力消費とイメージの難しさから使いどころが難しいとのこと。・・・うん、俺の異常さは気にするな…ティアに魔力を譲渡しとこ。


放たれた魔法は避けられるものの、追尾の効果でUターン。避けたことに安心していた騎士の後頭部に魔法が直撃し、ヘルムで守られていても油断していた所に大きなダメージを受けて、3人とも戦闘不能になった。


…残り7名


「よし!!突っ切るぞ!!」


行程の半分程で残りの騎士に妨害を受けたが、遠距離攻撃の無くなった騎士たちは俺の魔法とティアの弓矢に対応出来ず、2名の騎士を残して戦闘不能に。その2名もエルザの鉄壁の防御は抜けず、攻めあぐねていたので俺が瞬時に近付いてサクッと小太刀を突き刺して戦闘不能にした。


襲撃者を全て倒したあと、突然護衛対象の女性が転び、足を捻って立てないと言ってきた。あからさま過ぎて空気がおかしくなったが、全力でスルーして俺はこれまたサクッと魔法で怪我を治し、女性を立たせた。

試験が終わったあと、転んだのがあまりにも不自然過ぎたので理由を聞いてみたら、妨害するために怪我をする予定だったそうな。しかし、戦闘があまりにも早く終わったので怪我をするタイミングを逃したらしい。そのあと私だけ何もしないのは皆に悪いなどの気持ちが空回りして、あんな中途半端なタイミングで転けたんだと。…話を聞きに行ったら凄く後悔してたよ。


とまあ、最後は変な空気になりながらも護衛対象を無事ゴールまで送り届けて実技試験は終わった…



虚しい・・・

…この気持ちどうにかしてくれ~!!


次回、魔国編ラスト…多分。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ