#11 ランクBとは…
すみません!!
また遅れた…
文の構成に手間取りました。
それでは続きをどうぞ!!
コンコンコン…
「はい」
「失礼致します。「日月」の皆様、準備が整いましたので面接会場へご案内致します」
お城のメイド長であるセシールさんに連れられ、俺たちは魔王様の居る部屋へと向かった。
そんな中、俺は「マレノでも見たけど、この世界…メイド服が普及してるんだな~」などと今更な疑問を抱きながら歩いており、緊張するどころかバカなことを考えられるほど精神は落ち着いていた。ティアたちは顔を強張らせているがな…
「到着致しました。ここが面接会場…魔王様の執務室となっております。私の案内はここまでとなりますので、ノックをしたあとで「日月」の皆様は入室して下さいませ。では、ご武運を…」
セシールさんは部屋の前で立ち止まり、俺たちに向き直ってそう言うと、一礼をしてその場から去っていった。
・・・?ご武運を?どういうことだ?
「ト、トール…ノックしないのか?」
おっと、そうだった。ていうか、エルザ緊張し過ぎだろう…ティアもか。何でそんなに緊張してるのかねぇ…元ランクSもしくは魔王って言うのが効いてるのか?
はぁ、緊張をほぐしてやりますかね。
チュッ…チュッ…
「「・・・なっ!!」」
俺が突然キスしたことに驚いたのか、2人揃って大きな声を出しそうになっていた…まあ、口に手を当ててそれ以上の発言を抑えていたがな。ここが何処か思い出したんだろう。
少しして落ち着いたと思ったら、ティアは俺の頭にチョップを、エルザは頬を突然つねってきた。
「いっつ…いへへ!!」
「我らのためということは判るが…」
「場所を弁えろ!!」
「はい・・・
はぁ、じゃあノックするぞ」
俺は2人の注意と折檻に耐え、同時に緊張がほぐれたのを確認すると、俺は本題に意識を戻すために宣言してドアをノックした。
コンコンコン…
「入れ」
「失礼します」
渋い声の許可のあと、一拍おいて中に声をかけ、入室した。
「魔王様にはお初にお目にかかります。私、このパーティー…「日月」のリーダーをやっておりますトールと申します。本日は宜しくお願い致します」
「セレスティアです。宜しくお願いします」
「私はエルザと言います。宜しくお願い致します」
俺たちは部屋に入ると扉の前で一礼し、そのまま自己紹介を行った。
「うむ。では、私も自己紹介をしよう。知っているとは思うが、私はカーミュ魔国の王…民からは魔王と呼ばれている。名をクロード・ヴァノ・アスランと言う。今日はギルドマスターの依頼である面接を行うが、違いないか?」
あ、あれ?なんかマクシムさんから聴いてたイメージと違う…飲みの席のテンションだったということか。
魔王様の容姿は白い軍服のような服が引き立てている燃えるような赤い髪が一目見て印象に残るだろう。肌は赤黒く、顔は全てを見透しているかのような鋭い眼光と薄い笑みが見事にマッチした顔立ちだ。
「はい、相違ありません」
「よろしい。では、その椅子に座りなさい」
魔王様は目の前の椅子に座るように指示を出し、俺たちはそれに従った。
「始める前に聞いておきたいのだが、そちらのエルザ嬢はマレノ王国の元第4王女で間違いないかね?」
「はい。今は降嫁してトールたちと共に、探索者をやっております。よって、今はただのエルザです」
魔王様の質問にそう答えるエルザ。
この質問に何の意図が?
「ふむ…よろしい。では、面接を始めようか」
その一言で魔王様の雰囲気が変わり、部屋の中が身を引き締められるような空気になった。
「では、私からいくつか質問をする。それに嘘偽りなく答えるように」
「「「はい!!」」」
「まずはトール君に質問だ。君は探索者の一番の仕事は何だと思うかね?」
おっと、初っぱなから結構難しい質問だぞ。
「そうですね…未知なるものに対処し続けることだと考えます」
「ほう、どういう意味だね?」
「私たちは常に不測の事態に備えなければなりません。迷宮探索や依頼に限らず…です。それが未知への対処です。それを行い続けるということは生き残り続けること、と言い換えることが出来ます。生き残る為には自分たちの経験を無駄にしないことも重要ですが、先人たちの知識や経験…つまり知恵を学ぶことも必要です。それらの意味をまとめたものが先程の一文になります」
「面白い考え方だな。では、セレスティア嬢とエルザ嬢に質問する。君たちのリーダーの意見に対して、どう思うかを私に教えて欲しい」
次は2人への質問か…これも難しいぞ。どう答える?
「では、私から…トールの意見は間違っていないと思います。ですが、先人たちの知恵も全てが正しいとは限りません。なので、トールに任せて全てを肯定しようとは思いません」
へー、ティアはそんな考え方をするんだ。普段こんな話はしないから新鮮だな。
「それでは私も…セレスティアの意見に似ているのですが、私は自分で納得した上で行動することを心掛けています。トールを信頼しているのは確かですが、間違っていると思ったら自分の意見は偽らずに伝えます」
うんうん、こう…意見を言い合える関係が理想のパーティー像だよな。
「よろしい。では次だ・・・」
その後も人としての行動意識や依頼のシチュエーションに対しての意見を求められたが、滞りなく面接は進み、1時間弱で終わりを迎えた。
「さて、これで面接の質疑応答は終了だ」
ん?質疑応答は?
「続いて実技を行ってもらう」
・・・ええ、なんとなく判ってましたよ。セシールさんの言葉を聞いた時からね…
ティアたちは…うん、驚いてるな。
「ほう、トール君は驚かないな。知っていたのかね?」
魔王様が若干、嬉しそうな顔をしている…のか?
…ああ、まだ推測の域を出ないが判ったぞ。
「知っていたのではなく、予想していた…が正しいですね」
「ふむ、いつ頃実技の存在を疑ったのかね?」
「最初にギルドマスターからこの話を聞いた時は、疑っていませんでした。演技であれば流石としか言いようがありません。
次にセシールさんが別れ際に放った言葉…「ご武運を」という一文です。面接で質疑応答だけを行うにしては不適切な言葉だと感じました。「戦うわけではないのに何でその言葉を使ったんだ?」…そういう疑問が頭をよぎりました。
そして、魔王様の「質疑応答は」と言う言葉ですね。これでほぼ確信しました…このあと何かあるのではないか、そして戦いになるのではないかと。
今になって思うと、セシールさんの言葉は魔王様の仕込みだと思うんですが、違いますか?」
「・・・ハッハッハッ、よろしい。面接の質疑応答は合格だ。これで君たちは実技を受ける資格を得た。
そして、確かに私はセシールにその台詞を言うように指示を出した。そこまで予想するとは見事だ!!」
うわ、やっぱりそうか…ということは、この質問までが面接だったのか?
「私が予想してなくて2人と同じように驚いていたら不合格だったんですか?」
「うむ、本気で驚いて冷静でなければ不合格だった。
質疑応答の内容も確かに重要ではあった。しかし、ランクBになる力の持ち主は駆引きをする対応力も必要だ…特に貴族等の相手にはね。
そこで、平常心を保てるかの試験を行ったのだ。先程の予想に関しては別に不正解でも問題は無かった…私の言葉に対して冷静であればね。
トール君以外の2人は驚いたが、これは1人でも合格していれば通すことにしていた。よって君たちは次に進むことが出来る」
あっぶねー。予想しといて良かったわ。
でも確かに魔王様の言う通り、ポーカーフェイスは重要だよな。駆引きの上で下に見られたら、優位性失って俺たちの存在を安く見られてしまう訳だもんな。
あー、でも魔王様の言葉を聴いてティアとエルザが落ち込んでるし…
「2人とも、そう落ち込むな。とりあえずは合格したんだ。次に失敗しなければそれでいい」
「トール君の言う通りだ。この失敗を糧にしなさい。そして心を切り替えるように…
状況は常に進んでいるのだよ!!」
そう、次は実技なんだ。落ち込んでいては、いい結果は出せない。
それに2人も気付いたんだろう…
「はい!!」
「すみません!!切り替えます!!」
ティアは大きく返事をして、エルザは自分に言い聞かせるようにして心を切り替えていた。
「よろしい。では、実技の説明に入る」
さあ、何をすればいいのかな?…魔王様。
次回は実技です。
魔国編は結構あっさり終わります…多分。




