#3 撃退と捕縛
タイトルが安直になってしまった・・・
8の月19日
あの戦い?のあと、森を抜けて聖都まであと1日程度の所まで順調に戻って来た。順調と言っても何故か帰りは魔物に襲われたがな!!
空気読めよ!!と言いたい。
・・・
その日の夜、食事が終わって休もうとしていた所で、『マップ』に反応があった。
「2人とも、静かにして聞いてくれ。今、こっちに接近している15個の敵意を感知した」
俺は2人を呼び、小声で現状を説明した。
「魔物かの?」
「いや、魔物では無いと思う。動きと速さが規則正し過ぎる。どちらかと言えば訓練された人間だろうな」
「どうする?仕掛けるのか?」
「そうだな。敵の強さを視るに、5人ほど手強い奴がいる。そいつらを俺が受け持とう。他の10人は2人に任せた。俺の方は捕縛するつもりだが、そっちは相手の生死は気にせず、自分たちの安全を優先してくれ」
全滅させるつもりは無い。俺たちを狙う理由を聞き出さないとな。
「わかったのじゃ」
「いつもの連携だな。了解した」
「来るぞ!!」
ランクCの消えた理由…判るかもな。
俺が叫んだあと、8本のナイフが俺に、ティアたちに7本のナイフが飛んできた。
俺は広範囲の『ウィンドウォール』を発動し、全てのナイフを弾き落として突撃。
ナイフが地面に落ちる音を合図とするように、突進した俺は強い奴を選定し、分断するように別の場所へ投げ飛ばした。
こうして俺は、1対5と2対10の状況を作り出すことに成功。
殺さずに制圧するのって難しいし、面倒なんだな。警察の大変さが少しは分かったよ。
・・・
sideティア、エルザ
「さて、私たちは私たちの仕事をしようじゃないか」
「そうじゃな。では、手始めに…『ウィンドアロー・マルチプル』」
ティアが10本の風の矢を作り、敵に放つ。
「くっ!!」
「ぎぃっ!!」
前方にいた敵は矢を避けきれず、手や足…運の悪い奴は頭に矢が当たり、戦闘不能に陥った。
後方の敵は横に転がることで事なきを得た。しかし、安心した彼らを今度は通常の矢と『ファイヤーランス』が貫いた。
前者はティアが後者はエルザの仕業だ。この攻撃により既に敵方の行動出来る勢力は10名から3名まで減少していた。
この波状攻撃を避けきった3名はようやくエルザたちと接敵した。1人はエルザに斬りかかり、残りはエルザの左右を通り抜け、後方のティアを狙う。
エルザは斬りかかってきた敵を盾で受け流し、剣で斬りつけた。
襲撃者はそれを避けようとはせず、片手を犠牲にして受けきり、もう一度斬りかかろうとしていた。
しかし・・・
「『ファイヤーランス』!!」
第三の矢が襲撃者の胸を貫き、ニヤリと笑みを浮かべていた襲撃者の目論見は成功することなく、命を落とすことになった。
その頃、2人の敵に襲われそうになっているティアは、『ウィンドウォール』を自分の周囲に展開して敵を近付けない策をとっていた。
襲撃者の2人はナイフを投げて攻撃を仕掛けてはいたが、一向に状況が好転しないことに不安を感じていた。そして、それはすぐに現実のものとなった。
エルザが襲撃者を倒してこの状況に介入してきたのだ。
エルザは突撃の勢いそのままに、1人の襲撃者を斬り捨てた。奇しくもエルザの突撃が側面からの奇襲となり、敵は避ける暇もなく一瞬で無力化された。
仲間が死ぬのを見た襲撃者は自分が不利になったことを感じ、逃げようとしていた。しかし、この決断は遅く、また自分の行動を鈍らせる最悪の一手となっていた。
突然、ティアが『ウィンドウォール』を解除し、同時に弓から風の矢を放ってきたからだ。
この攻撃が逃げ腰になっていた敵の頭を貫き、襲撃者は一言も発さず、息絶えることとなった。
これが熟練者なら敵の視界を防ぐなどの安全マージンをとったのだろうが…たらればはここでは意味の無い言葉だ。
その後、ティアたちは残りの残党を全て片付け、襲撃者に完全勝利した。
・・・
さて、分断したのはいいが奴らを殺さずに無力化する方法…どうしよう。
・・・あれで行くか。
「貴様…ただのランクBではないな?我らに反撃の余地を与えずに投げるとは・・・」
「…まあね。実力さ」
びっくりしたー!!突然話しかけて来るなよ!!言葉が詰まったじゃないか!!
話してきたのはあの中で一番の実力者だな…リーダーか?
「ふんっ。しかし、我ら5人を相手にたった1人で挑もうとするとは…己の過信を悔い改めるがいい。
我ら相手に生き残れればな!!」
馬鹿にしたような口調で、俺のことを貶すと5人が散開して突撃してきた。
せっかくステータスを視ようと思ったのに…気が早すぎるよ!
まあ、いいや。じゃ、やりますか。
俺は『思念発動』で右の小太刀に雷を纏った『雷磁』を、左には闇を纏った『闇黙』の『魔纏剣』を発動した。
まず右側に居る2人から倒そうか。俺は始めに『闇黙』を伸ばし、リーダーの居る中央から左端の奴までを薙いで牽制した。リーダーは反応が良かったのかバックステップでギリギリ回避していたが、残りの2人は避けきれず腹部を斬られる結果となった。すると…
「くっ!!ん?痛くねえ…な、何だこれ!!目が見えねー!!」
「おい!!俺は今どうなっているんだ!!斬られたはずなのに痛くねえし、目の前が真っ暗で耳が聴こえない!!どうしたらいいんだ!!」
パニックになった2人の声が響き渡った。
『闇黙』…その刀身自体に殺傷能力は無い。あるとしたら小太刀の部分だけだ。こいつの能力は敵への盲目と沈黙の異常状態付与…まあ、五感の一部を奪う一種の精神攻撃だな。こいつは異常状態が斬りつけた部分から浸食するイメージで作った『魔纏剣』だ。もうそろそろ声も出せなくなることだろう。
横目で見ると、案の定口をパクパクしながら暴れていた。
そんな俺はというと、横薙ぎを行うとすぐに滑るようにして右側2人の間に移動し、『雷磁』で2人の足を浅く斬りつけていた。
「「ぎぃぃっ!!」」
直後、悲鳴が2つ上がり、崩れ落ちるように倒れた。
『雷磁』…その効果は2つ。1つは麻痺の異常状態付与だ。今回は電圧が強かったのか気絶したみたいだが・・・ま、まあ、捕縛としては成功だな。そして余談になってはしまうが、こいつのもう1つの効果は相手を電磁石にすることだ。そうすることで磁石のN極とS極が引き合うように、相手と剣が引き合い不可避の剣となる。ただし、肉体の強化が必須だ。急な方向転換で身体を痛めるからな。
そうして2人を戦闘不能にした俺は、次にリーダーらしき奴への攻撃を始めた。
こいつはやはり反応が良い。俺の斬撃や蹴りをことごとく回避しやがる。
だが、その奮闘も長くは続かなかった。
俺が『闇黙』で横薙ぎを行うと同時に刀身を伸ばし、間合いを狂わせたからだ。攻撃が当たったことに動揺したのか、奴の一瞬動きが鈍くなった。俺はその好機を見逃さず、相手の左脇を抜けるように『雷磁』で抜き胴を放った。
「ぐっ!!」
うめき声と共に、リーダーは沈黙。『闇黙』の効果が効いている2人にも『雷磁』を当てて戦闘不能にし、実力者全員の捕縛に成功した。
ティアたちの方も終わったみたいだな。・・・戦力補強考えとかないとな…
っと、今はそれよりもこいつらを尋問しないとな。
さて、何が判るかな?
闇属性魔石(小)340個、(大)1個、(特大)1個
水属性魔石(小)4個、(中)31個
無属性魔石(小)37個←+8個、(中)3個←new
 




