#Ex02 Backstage-セレスティア-
女性の気持ちがワカラナイ
我らの出会いは最悪と言ってもいいじゃろう。
何せトールを殺そうとしたんじゃからのう。
じゃが、「奴隷だったから仕方ないか」の一言で我を受け入れてくれたのには、さすがに驚いたのじゃ。
普通は怒って殴られるか、最悪の場合殺されるぞ。
あの時のトールの印象は「異常人でお人好し」だったのう。
街に戻ってリーン殿と話している時も、おかしな事実で驚かされてしまったのう……
あれだけの強さでランクD!?人殺しが初めて!?おかしいじゃろ、あのステータス!?
そして、その夜の訓練での異常な魔力量……魔法が得意な我の2倍以上あったのう・・・
あれほど驚いて自信を無くした1日は初めてじゃったよ。
次の日はリーン殿から装備品を受け取ったが、あの時トールが素直に「綺麗だ」と言ってくれたのは本当ーに嬉しかったのじゃ!!恥ずかしかったがのう……
トールと比べると我の容姿を自分のステータスとしか見ない男や、チラチラ見るだけで声をかけてこない男ばかり……そんなに探索者の女は扱い難いと思われておるのかのう?
まあ、そんな気持ちもすぐに霧散したのじゃ……何せトールが『魔人』を発現させたからのう。
我も『武人』の保持者は知っておったが、その他の保持者については全く知らんかった。
それが目の前に現れたのじゃ……驚くほかなかったのう。
そのあとリーン殿から留まるように言われたが、まさかあんな話をされるとは思わんかった。
トールと一緒になってほしいと頼まれるとは……確かに強いし、素直で優しいとは思うのじゃが、如何せん話が急すぎる。
と思っておったが、なんとリーン殿も早々にトールを気に入っておったらしい。報酬がどうこう言っておったが、我には判る……あれは恋する乙女の顔じゃった。ランクSの強者をあれほど身近に感じたことはなかったのう。それを見たから我も頑張ってみようと思えたのじゃ……気になってたのは確かじゃからのう。
・・・
ガクノ市を出発したトールは色々やらかしおった。
同じ護衛と揉めたことに始まり、魔石からスキルを取って保持者を発現させたり、模擬戦で圧倒したり……終いにはクリフォード殿下の窮地を魔法一発で救ったりと、常人には出来ないことをやってのけおった。
我も最初は驚いていたが、慣れとは怖いのう……今では呆れるようになってきたのじゃ。
そしてこの頃、「トールには我が居ないと……」という保護欲みたいなものが生まれてきておった。これも今思えば恋心に通じるものがあるのう……
・・・
無事王都には到着したが、クリフォード殿下を助けた時にやり過ぎたのう……案の定王家に目を付けられおった。
あれだけリーン殿に注意されとったのに……
予想通り厄介な事に巻き込まれたのう。まあ、王都に居れば強制参加じゃったが……
それにより、突然模擬戦をすることになって我もエルザと戦ったが、今思うとトールの技に全て持っていかれてあまり印象に残ってないのう。
まあ、それほどトールの姿が格好良かったのじゃ。クリフォード殿下に活を入れる姿、圧倒的な勝利……自分の好きな人がこれだけ活躍しとったら嬉しくもなる。
この時点で、完璧に惚れたのう……我を勝たせてくれたことも要因の1つじゃろうな。
・・・
呆れてものも言えん……と言いたいところじゃが、流石トール!!リッチを単独撃破しおった。
じゃが、我は反省せねばならん。ほとんど役に立てなかったからのう……我はトールと守り守られる関係にならなければならん!!
という決意をしたというのに、奴隷を買い戦力を補充すると言い出しおった。
奴隷の説明をきちんとしておらんかったのが裏目にでたのう……奴隷に席は渡しとうない!!
我は意を決して奴隷商に行く前にトールに告白することを決めたのじゃ。
結果は知っての通りじゃ……フフフ、隣で寝るトールの寝顔は可愛いのう。
・・・
約束を果たした我はリーン殿も同じ気持ちであると伝えると、リーン殿の所へ跳んだ。トールの非常識度がここでも見てとれたんじゃが……惚れた弱味か、『転移』のことはスルーしてしまったのう。
リーン殿の告白を聞いた時はどうなることかと思ったが、無事結ばれて良かったのじゃ。
じゃが、あの時のトールの返事は頂けん!!何で小難しい話をして最初拒否したのか、我はよう判らんかった。結局受け入れるなら最初から受け入れろと言いたいのう。
あとからリーン殿に謝っていたから今回は見逃すが、今後我やリーン殿を泣かすようなことがあったら……フフフ・・・
・・・
この流れは呆れるしかないのう……我もトールと同じように「何やってんの、王様!?」と言いたいのじゃ。娘の手伝いをするのを悪いとは言わんが、奴隷商に預けることはないじゃろうて……
結局陛下に悪意は無く、エルザを引き取ることになった。エルザと話してみると一途な奴じゃったのう。
「あの、これからよろしくお願いします。セレスティアさん、アイリーンさん」
「ティアでよい」「私もリーンでいいわよ」
「「似た者同士なのじゃから(んだから)」」
我とリーン殿は互いの顔を見て、「フフフ」と笑った。
「では、ティアさん、リーンさんと呼びますね。お2人は何故トールのことを?」
我らの掛け合いを見て、エルザの表情が柔らかくなった。
「そうじゃな……強くて、格好良くて」
「優しくて、でも駄目なところもあって」
我らはまた互いの顔を見ると、
「「つまりはトールの全部がいとおしいんじゃよ(のよ)」」
同じ応えを紡ぎだした。
「そうなんですね……私はまだまだトールの一部しか知らないみたいです。ですが、好きな気持ちで負けるつもりはありません!!」
「言ってくれるじゃない。私も貴女たちに合流したら手加減しないから覚悟しておきなさい!!」
「我はトールの隣に立ち続けると誓ったのじゃ!!当然、好きな気持ちも負けるつもりは無い!!」
一瞬の沈黙のあと我らは顔を見合わせた。
「「「フフフ……アハハハ」」」
我らは誰からともなく笑いだした。
この時がライバルであり友になった瞬間だったように思うのう。
・・・
リーン殿の参戦はもう少し先じゃし、エルザともよい関係を築けるじゃろうて……
じゃが、トールへの愛に手を抜くなんてことはせん!!……2人共同じ気持ちじゃろうがな。
これから先、数年、数十年、数百年共に歩むために、我は強くなるのじゃ!!
2人共、これからも好敵手としてよろしくのう。
ブクマ200件、PV20万アクセス、ユニーク2万5千人突破!!
感謝感謝です。今後ともよろしくお願いします。
リクエストがあったのでヒロインの容姿をまとめてみました。
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セレスティア
・髪は金色の中に淡い青のメッシュ、髪型は毛先にいくほど緩いウェーブがかかっており長さはミディアム
・肌の色は白いが若干日焼けしている
・顔立ちは日本と欧米のハーフみたいな感じでキリッとした顔をしている。右目にある泣き黒子がチャームポイント
・身長は155cmくらい
・胸は小さめ(Bくらい)
・ウェストは引き締まっている
・足は職業柄アイリーンより少し太め
アイリーン
・髪は白銀のストレート、長さは腰まで
・肌は白い
・優しそうなお姉さん系の顔立ち
・身長170cm程度
・胸はちょうどいい感じ(Dくらい)
・ウェストが引き締まっているので所謂ボンッキュッボンッ
・足はスラッとしてモデルみたい
エルザ
・髪はストレートの金髪、長さは背中まで。いつもはポニーテール
・獅子の耳付き
・肌は日焼けしている小麦色
・顔は女性軍人のような顔立ちでつり目が印象的
・身長165cmくらい
・胸は隠れ巨乳(Eくらい)
・腹筋が少し割れていて無駄な肉は無い
・足も筋肉質だが太くはない




