#36 有形無形
武器出来ました。
あれから15日が経過した。今、7の月2日になっております。
いや~疲れたね。
オリハルコンを鍛え上げて小太刀2刀、弓、杖棍、十字槍、多節鞭の形状を記憶させたよ。
盾や両手斧、大鎌、ガントレット、大鎚等に関しては材料の都合上鍛えることが出来なかった……残念!!
俺は「オヤジの鍛冶屋」で小太刀を造りながら、オリハルコンの鍛え方を覚えた(盗んだ)。
小太刀の作成料金は100万モルで意外と安かった。しかし、もし素材代と人件費を含めていたら軽く1000万モルを超えていたとジェイクさんが教えてくれた。
出来たのがこれね。
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武極
品質:最高
状態:武器として最高位に属す魔武器である。神鉄の魔力伝導率、耐久度共に最高。小太刀2刀、弓、杖棍、十字槍、多節鞭が記憶されている。
価値:最低1500万モル
付与スキル
・無し
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ジェイクさん……500万ほど上でした。しかも、最安値で……
名前は「武の極みに達して扱える武器」ということでこの名を付けた。
あと、魔武器は魔力によって鍛え上げられた武器のことらしい。他に聖銀等も魔武器のカテゴリーに入るらしい。
これを視た俺はリーンにいろんな意味でお礼をしたよ……内容は察しろ!!
と、まあ鍛え方も判ったことだし、自宅の地下に工房を造って残りの武器も造り上げ、武極が出来たわけだ。
え?地下なんてあったかって?
『地魔法』で一発よ!!
内観はまんま「オヤジの鍛冶屋」のパクりだ。木材の加工時間は無かったから石を固めて代用したけどね。通気孔を通して無かった時は焦ったな……どんどん息苦しくなるんだぜ!!怖いだろう!?
まあ、オリハルコンの鍛え方は火を使わなかったから助かったよ。全ては魔力、この一言に尽きるからな。
オリハルコンは鍛えるっていうよりは形成だけするって感じだった。オリハルコンには不純物が存在しないんだ。だから、鍛えるって言葉があまり相応しくないと俺は思う。一応、鍛冶職人の間では魔力を馴染ませて形成出来る状態にする事を鍛えると言うらしいがな。で、形成出来る状態になったら、これまた魔力を通した鎚や金床などで形成するわけさ。形成は自分の感覚なのであまり問題にはならなかったよ。そして、形成が完成したら、魔力を通しながら形状記憶の意思をオリハルコンに伝えれば終わりだ。
造り方は文字にすれば簡単に見えるだろうな・・・
ああ、それと自宅の工房にある鍛冶道具だが、小太刀を造り終えた時に俺が欲しいなと呟いたら、ジェイクさんがプレゼントしてくれた。なんでもオリハルコンを触らせてくれたお礼らしい…オリハルコンを扱うことはかなり名誉なことなんだと。いやー、めっちゃ太っ腹な師匠だったな。
そんなこんなで武器を造り上げたんだが、『鍛冶』スキルの存在や一夜工房を造り上げたせいでエルザが仲間なのに自分にだけに秘密が多いことに不満を抱き始め、結局4人で話し合うことになった。あ、リーンのことについては事前に話してあるから問題は無いぞ。
そして、話し合いの結果だが予想出来るだろう・・・
俺が蹂躙されたのさ……
リーンが「エルザの決意は固いみたいだからトール抱いてものにしちゃいなさい。そっちの方が今の状態より安全だわ」だと……
ティアは「トールも抱いたら意識するじゃろう。そうなればあとは時間の問題じゃ。既成事実を突然作られる前にこちらから動いてしまえ」と、2人とも俺が落ちること前提に話してるし……
俺は反論したよ!!
でもね、3人寄ればかしましいというかなんというか……女心を延々と説かれたら頷くしかなくなってた。
で、言葉の蹂躙のあとは肉体の蹂躙だったわけだ。
俺が上になることがなかったとだけ言っておこう……
・・・
と、まあそれが昨日の話で、今日は騎士の訓練場に武器の慣らしに来ている。不本意だが王様たちへの報告もついでに……
報告はそんなに時間はかからなかったが、襲われたことをオブラートに包んで話したら……
「まさか母子揃って同じことをするとは・・・」と王様が驚いて呆れていた。
なにやってんすか……まあ、俺も人のことは言えないが・・・
それに、それを聞いたら最終的な結果は変わらなかったんだとも思ったね。だって結果が目の前に居るんだから……
王様との距離が近付いた気がしたよ・・・
で、現在クリフと訓練中なわけだが、いやーこの武器俺に馴染む馴染む。オリハルコンの装備って保持者と相性ピッタリだわ。
小太刀で翻弄し、距離が空いたら十字槍の基本動作のみで一方的な攻撃、変化をつけるために多節鞭の不規則な動きを使って死角からの奇襲、杖棍では魔法を織り交ぜながらのいやらしい攻撃、終いには弓を使って矢の豪雨……手加減してるとはいえよく避けるよな、クリフの奴。
「テメー!!殺す気か!!そんなに義弟と言ったのが気に食わなかったのか!?」
結界があるんだ死なねーだろうが。
そう言いながらもクリフは泥だらけになりながらも俺の攻撃を避けきっていた。
「ハハハ……ソンナコトナイデスヨ」
俺は乾いた笑みを向けながら、無表情でクリフに向けて突撃する。
「その顔コエーんだよ!!これでもくらえ!!」
クリフは大剣状態のツインズを上段から振り降ろしてきた。そういつもの攻撃だった……ツインズが白く光ってることを除いては・・・
「なっ!!」
俺は驚き、咄嗟に後ろへ跳んでクリフの間合いから離れた。
「おい、クリフ。お前の剣にそんな能力在ったか?」
2つに別れてることと、強度が上がること以外の特性は無かったはずだ。
「ああ、この白いのか?なんか気付いたら出てたんだよ。光の強さは違うがお前がこの剣に掛けてくれた魔法に似てると思わねーか?」
確かに『幻浄』に似てるな。視てみるか。
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ツインズ
品質:最高
状態:魔鋼の魔力伝導率、耐久度共に最高。『時空間魔法』により2つの剣を背中合わせで固定している。魔力を流し、『スプリット』と唱えると2つの剣として使える。剣の強度は『地魔法』により強化でき、魔力量に依存する。氣により『光魔法』が浸透し、多少の浄化と幻影能力がある。
価値:550万モル程度
付与スキル
・『時空間魔法Lv.7』・『地魔法Lv.6』
・『光魔法Lv.2』
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わお、完璧俺のせいだよ……
「一応鑑定はしてもらったんだが、『光魔法』が付与されているとしか出なくてな……特性が判んねーんだよ」
ん?氣に関する説明文が見えない?……レベルの差か。初めて鑑定のレベルが高いことを認識させられらな。
「クリフ、そいつには『光魔法』による浄化と幻影の能力が備わっている。微々たるものだがな」
氣のことについて言わなけりゃいいだろう。
「なっ!!マジかよ……トール、お前どれだけ俺を驚かせれば気がすむんだ」
「んなこと言われても……」
しかし、氣が魔法を付与する?
そもそも『付与』はスキルだ。しかも、武器に付与するなら魔石と『合成』が要るよな……
『合成』と『付与』は元々持っている……同時発動だから『錬金術』かな、必要なのは。
あの時『錬金術』を使った覚えは無いんだが……自動で発動したからレベルが低いのか?
残るは魔石だが、消去法でいくと魔石の替わりは……氣か。
『気功術』……氣の物質化……氣を石のように物質化して魔力で包めば魔石になるのか?
「おい、どうしたトール?続きやらないのか?」
おっと、考え込んでたな。
「悪い悪い……」
これが本当なら世紀の大発見どころか、俺の周りが更に危なくなる。
帰ったら工房で検証しなきゃな。工房もアンデットの魔石を使って防犯しておこう。
そうと決まれば、早いとこ訓練を終わらせますか!!
御愁傷様です、クリフ君!!
次回は魔石研究かな?
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トールの所持金
・預金:235万6500モル
・トールの所持金:5万モル
※計240万6500モル
・小太刀の加工費:100万モル、15日の食費10人分:10万5000モル
 




