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すきと~る -えっ!視えるの?-  作者: 守りの神殿
第3章 王国の戦友
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#35 オリハルコンの特性

やっと鍛冶屋ですよ。

6の月17日

やっと…やっと俺の武器が作れる!!


俺の目の前には鍛冶屋がある。

看板にはでかでかと「オヤジの鍛冶屋」と書かれてあった。

こんな店名で人来るのか?まあ、王様の紹介だし大丈夫だろう。


チリンチリン…


俺が戸を開けると、店の中に鈴の音が鳴り響いた。


「いらっしゃいませ~」

鈴の音が鳴っている最中に、間延びした声が聞こえてきた。

奥のカウンターに女の子を見付けたので、俺たちは要件を伝える為にその女性に近付いた。


(わたくし)、トールと言うものです。武器の制作をお願いしたいのですが依頼出来ますか?…ああ、これ紹介状です」


「私はカイラです~。あら~?初見で私を子供扱いしないなんて珍しいわ~。大抵の人は小さな子供に接するように喋るのに~。よかったら私を見て侮らなかった理由を聞いていいかしら~?」

確かにカイラさんの容姿は120cmくらいで小さく、童顔なので子供にしか見えないだろう。茶色の髪もばっさりショートカットになっているので、余計に子供っぽいのを強調しているように見える。

しかし、語尾を延ばすのが癖なのか?話が聞きにくいな…


「これは自分の感覚なので証明出来ませんが、貴女に対して危機感は湧きませんが、油断をしてはならないと本能が警鐘を鳴らしたんですよ。そこから見た目と実年齢の差があるドワーフという種族では?と推測しまして、きちんとした対応を取りました」

この人を見た時、弱かったがプレッシャーを受けたんだよな。あれが無ければ最初の印象通りの対応を取っていただろう。


「あら、そうよ~。私はドワーフなの~。見破るなんて、すごい人が来たわ~。そういえば依頼だったわね~。主人を呼んで来るから待ってて~」

そう言うとカイラさんは奥の部屋に入っていった。


少ししてカイラさんが同じような背丈の男の人を連れて戻ってきた。


「よう来たな。ワシはジェイクだ。お前が陛下の紹介状を持ってきた奴か…妻の偽装も見破ったそうだな」

カイラさんのあれ、やっぱり試していたのか…

しかし、ドワーフって髪も髭もモジャモジャのイメージがあったが、先入観だったらしい。ジェイクさんは坊主で無精髭が生えており、背のことが無ければ体格のいいオッサンにしか見えない。


「妻の偽装は高ランクの奴等でも見破るのは難しいんだが、その洞察力を視るにリッチを倒した実力は本物みたいだな。ワシが本気で武器を造っても扱えそうな奴で安心したぞ。ワシの武器は下手な奴が使うと怪我する奴が多いみたいだからな」


「誉めていただきありがとうございます。それで武器の制作依頼なんですが…」


「ワシたちにそんな堅苦しい言葉遣いをしなくてもええぞ。お前を認めた今、心を許してくれないといい武器は造れん。だから今後は普通に話せ。あー…と、それで依頼だったな。何を造る?」

これはあとから聞いたんだがお互いに心を許さないことは、戦いの中で武器を信頼してないことに繋がるんだと…まあ、心を許して無かったら武器への信頼感が変わるのは確かだよな。


「壊れたのは小太刀2刀なのでそれを…あ、あと材料にこれを使って下さい」

俺はそう言ってオリハルコンのインゴットを4つ、カウンターに置いた。


「なっ!?これは紛れもなくオリハルコン!!しかも4つも!!」

「あらあら~。凄いわ~」

・・・うん、カイラさんのせいで緊張感が生まれない…


「お、お前これがどんなに凄い物か知っておるか?」

微妙になった雰囲気の中でジェイクさんが俺に質問してきた。


「詳しくは知らないな。知っていることといえば、とても希少価値があって装備品は一級品になることくらいだ」

あ、あと魔力の通りも良いんだっけか…まあ、いいか。ジェイクさんの話を聞こう。


「間違ってはおらん。しかし、内容が薄い。重要な内容が抜け落ちている」

若干呆れられたか?しかし、どんどん雰囲気は重くなってきてるな。


「それはどんなことなんだ?教えてほしい」


「オリハルコンは精神感応形状記憶金属と言われておる。形状記憶は文字通り形状を記憶する力のことだ。そして精神感応は簡単に言うと、持ち主の意思がオリハルコンに伝わるようになることだ。このような2つの反応を示すので、別名「生ける金属」とも言われておる」

ん~?形状記憶は判るが…


「すまん…オリハルコンに意思が伝わると何がいいんだ?」

有っても意味ないんじゃないか?


「む…分かり難いか。例えば近接では剣を遠距離では弓を使っている者がおるとする。そやつが片手剣で戦っていたとしよう。そやつが持っているのはオリハルコン製の片手剣だ。突如戦っていた相手が逃走し、相手が速すぎて追い付けない。それで弓を使うことにした。ここでオリハルコンに魔力を通して意思を伝え、記憶していた弓の形状に変形してもらい相手を射つことが出来る。

と、まあ、使用者の意図に応じて形状を記憶したモノに変える金属…それがオリハルコンだ。

どうだ判ったか?」

それは・・・


「それは…とんでもない金属だな。形状記憶なら壊れず、手入れも要らず、自分の意思でどのような装備になる…武芸者にはどうしても欲しい一品になるだろう」

そう、『武人』を持っている俺は特に…リーンの奴これを知ってて俺に渡したな。


「そうだ。ただし、オリハルコンは魔力を伝えやすく、魔法発動への道を補助するのに優秀なので、魔法使いにも需要があるのは覚えておけ。

そして、知っておくべきことがもう1つある。オリハルコンは『鍛冶』スキルが達人レベルにないと鍛練出来ないということだ」

なに!?達人レベルといえばLv.8~9だぞ!


「そんな高レベルの奴そうそう居ないだろう!?」


「いや、ワシはLv.8でその域にギリギリ達しておる。しかし、だ…魔力を込めて鎚を振るう者がもう1人必要なのだ。ワシ1人だと魔力切れをおこして、オリハルコンの形状が中途半端な形で記憶されてしまう可能性がある。知り合いにワシと同じ力量の者がおるが近場でもゴート獣王国におるからのう…

ここに来るまでに急いでも2~3か月、作成は3日くらいで終わるが、お前らはそれだけの間待てるか?」


「いや、正直に言うと待ちたくはない。しかし…」

そう、各国を巡る依頼もあるのだ。期間が長いとは言え、足止めはよろしくない。

なので俺はティアを見た…俺だけで判断するのは不味いからな。

ティアは俺の意図を察したのか、ため息を一つ吐くと首を振って肯定の意を示してきた。


「俺も『鍛冶Lv.8』を持っている。俺が手伝ってもいいか?オリハルコンは扱ったことがないので鍛え方は教えてほしいが…」

俺は自分の秘密を少し明かした。ティアが了承しなけりゃどうしようかと思ったよ…

手伝うって言っても鍛冶自体したことないんだけどね…まあ、俺の見れば覚える対応力があれば大丈夫だろう。


「なに!?それは本当か!!カードのステータスをそこだけでいいから表示して見せてみろ!!」

ジェイクさんが食いぎみに俺に迫り、カイラさんは「凄いわ~」と驚いて?いた。


俺は『隠蔽』でカードの情報を書き換え、ジェイクさんに見せた。


「本当にあるな…お前こんなに若いのに何故スキルレベルが高いんだ?」


「それは企業秘密だ。でもこれで手伝っても問題に無いってことがわかったよな」

絶対に言えねーよ…スキル取りましたなんて。


「う、うむ。企業?…まあよいか。では明日から3日、1の鐘が鳴る頃にここに来い。朝から晩まで使い鍛え上げるぞ!!」


企業って言葉無いのか?まあいいか。


「はい!!宜しくお願いします!!」



こうして俺はジェイクさんに弟子入り?して小太刀の作成に取りかかったのだった。


次回、武器完成です。

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