#26 ランクアップ
タイトル通りではある。
6の月12日
ギルド到着しました。早速ギルドマスターのジャイルズさんに取り次ぎます。
5分後・・・
「お待たせしました。「日月」様、ギルドマスターの下へご案内させて頂きます」
受付嬢のあとに続いてギルドマスターの執務室へ向かう。
コンコン
「ギルドマスター、ランクDパーティー「日月」様をお連れしました」
「ああ、ご苦労様。入っていいぞ」
「失礼致します」
「「失礼します」」
受付嬢に続き、俺たちも部屋に入る。
「久しぶりだな。「日月」のお2人。まあ、そこに座ってくれ」
ギルドマスターに促され、ソファーに座った。
「キミ、彼らに飲み物を」
「はい」
そう言うと受付嬢さんはお茶の準備を部屋の片隅で始め、俺たちとギルドマスターに配膳したあと部屋を退出した。
「さて、まずは感謝を…リッチを討伐してくれてありがとう。君たち…特にトール君が居なければリッチを討伐するまでに村や街が消えていたかもしれない」
向かい合ったギルドマスターが起立し、頭を下げてきた。
「あー、はい…感謝は受けますから頭を上げて座ってください。…なんでこの国のお偉いさんはすぐに頭を下げるんだ…」
お偉いさんて報酬だけ与えて労いの言葉を掛けるだけのイメージがあるんだけど…
「ああ、それはな随分前に居た渡界者が当時の王家に説教したことが影響しているらしい。その渡界者は王に「助けてもらったのに感謝の意を伝えんとはそれでも王か!!」と説教したそうだ」
おう…何やらかしてんの…心意気は立派な人みたいだが。
しかし、呟いただけなのに聞こえていたか。地獄耳だな。
「よく当時の王家は受け入れましたね。周りが五月蝿そうですけど…」
「いや実際、五月蝿い奴は居たらしい。決闘や闇討ち、色々あったらしいが、全てねじ伏せたんだと。まあ、それだけの力があったんだよ…後で確認したら保持者で『武人』持ちだったらしいからな」
はい、キタ。異世界人=『武人』説…なんとなくそうじゃないかと思ってたんだよ・・・
「ハハハ…ソウデスカ」
「余談ではあるがクリフォード殿下はその人の事を書物で知って『武人』を目指していると聞いてるぞ」
「へー、クリフォード殿下はそういう理由で『武人』を目指していたんですね。初めて知りました」
「おっと、そんな話は今関係ないな。今は君たちの処遇についてだ」
「ええ、陛下からランクアップが検討されていると伺いましたが、どうなったのでしょうか?」
リッチを倒したことは覆らないから諦めてるけど…目立ちたくはないな~。
「ああ、昨日緊急で主要都市のギルドマスターと会議をしたところ、条件付きのランクBへ昇格させる事が決定された」
主要都市のギルドマスターと会議?長距離連絡方法があるんだ…魔導具かな?
っと、それよりも・・・
「条件付きとはどういう事なんですか?」
「今から説明する。君たちは基本ランクBの依頼を受注することは可能だ。しかし、魔の森へ入ることは出来ない。
また、マレノ王国を除く4国…ティアルミ聖国、カーミュ魔国、エレー聖樹国、ゴート獣王国の首都ギルドで指名依頼を各1つ受けてもらう事が条件だ。依頼者は各ギルドマスターとなっており、依頼者が試験官も務めて君たちを審査する。期限は全体合わせて1~2年以内。勿論報酬は出る。
全ての依頼を達成することで完全なランクBとなる」
「それはまた特殊な条件ですね」
「まあ、前例が無いからな。こんなところでリッチが出るのもおかしいし、それを倒せるランクDが居ることもおかしいのだよ、トール君」
イヤミっすか…
「ハハハ…質問ですが、依頼内容はギルドマスターの権限で勝手に決められるのですか?」
俺はから笑いをしつつも質問を投げ掛けた。
「いいや、依頼内容は5人のギルドマスターが妥当だと判断したものが出る手筈になっている。君はランクSを倒したことでそれ並みの依頼が来るかもしれないことを懸念しているのだろう?その心配はいらないから安心してくれ」
「よく判りましたね。その通りです。でもその心配は無用みたいなので安心しました。
因みに、ここの試験が無いのはリッチを討伐したから無いという認識でいいんですかね?」
「ほぼその認識で問題は無い」
「ほぼ…と言うと?」
「まずはこのカードを渡しておく。このカードに各ギルドマスターのサインを依頼達成の証明として貰ってくること。これがここでの指名依頼だ」
「…なんかスタンプラリーみたいだな…」
「スタンプラリー?」
「いえ、何でもありません。説明を続けて下さい」
流石、地獄耳…
「…?分かった。では続きだが、4か国を回った後、そのサインカードを提出してサインが確認出来たらギルドカードの更新を行う。更新をしない限り魔の森への立ち入りは出来ないので必ず更新を行ってくれ」
「判りました」
世界一周か…
他国多種族を見て文化に触れる事もこの条件の意図に含まれているんだろうな。
「では、これで説明終了だ。君たちには期待している頑張ってくれ」
「はい、頑張ります。それでは失礼しました」
「失礼しました」
俺たちはソファーから立ち、一礼すると部屋から退出した。
その後、受付でカードの更新とギルドマスターの指名依頼受注を行った。
そして昨日出来なかったアンデット素材の換金をして俺たちはギルドをあとにした。
・・・
「さてと、昼飯も食ったし、次は奴隷商にでも行くか。ティアの解放とパーティーメンバーを探しに…」
やっとティアの解放が出来るな。パーティーメンバーも追加して…うん、順調順調。
ガッ
「…ん?どうしたティア?」
振り向くとティアが俺のコートを掴んでいた。
「あ、あの主殿…奴隷商へ行くのは明日にしてほしいのじゃ。今日は色々見て回らぬか?」
「え?…まあ、構わないけど、どうして?」
俺は早く解放した方がいいかなと思っていたんだが…
「それは…夜、夜話すのじゃ。だから…」
うーん…何か決意?困惑?色んな感情が表情に出てるな。
ポンポン
「判ったよ。ティアの初めての我が儘だ。付き合うよ。よーし、これからデートだ!」
ティアの頭を軽く叩くと気分を変えるように明るく言い放った。
「デ、デート!?…デート…デートか…うん、主殿デートをするのじゃ!」
びっくりしたり、慌てたりして可愛いな。
「じゃあ、行こうか」
俺はティアの手を握り、歩き出した。
こういうの憧れてたんだよな。
「…あ、手…うん」
ティアは恥ずかしながらも返事をして俺の隣に並ぶ。
俺にとっての初めてのデートは結構上手くいったと思う。
ネックレスをプレゼントしたり、服を一緒に選んだり…
ティアは常に微笑んでいて楽しそうだったし…
うん、大丈夫だろう。
そして楽しい時間は過ぎていき、ティアが宣言した夜となる。
次回はいよいよ…
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名前:トール
種族:ハイヒューマン
年齢:15
ギルドランク:B(限定)-パーティー:「日月」
犯罪歴:無し
保持者
・『魔神』・『武神』
・『神手』・『神隠』
・『心神』・『神眼』
・『神体』
所有奴隷
・セレスティア
受注依頼[1/3]
・マレノ王国王都ギルドマスター指名依頼
-ランクアップ試験:2年以内
預金:893万モル
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トールの所持金:5万モル
※計898万モル
・素材換金料:1万8000モル
(魔石(小)323+17個、(大)5個、(特大)1個は換金して無い)
・昼飯:1000モル、ネックレス:3万モル、服:3万3000モル、ディナー:1万モル
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名前:セレスティア
種族:エルフ
年齢:167歳
職業:奴隷-探索者-ランクB(限定)「日月」
犯罪歴:違約金未払い-100000モル
レアスキル
・『心眼Lv.6』
スキル
・『弓術Lv.7(↑)』・『杖術Lv.3』
・『気配察知Lv.6』・『気配消失Lv.5』
・『看破Lv.6』・『魔力操作Lv.7』
・『並列思考Lv.7』・『接客Lv.3』
・『算術Lv.3』・『異常状態耐性Lv.4』
・『魔物知識Lv.3』・『物品知識Lv.3』
・『調合Lv.3』・『異常状態付与Lv.2』
・『裁縫Lv.1』・『合成Lv.4』
魔法スキル
・『無魔法Lv.7(↑)』・『水魔法Lv.6』
・『風魔法Lv.5』・『光魔法Lv.7』
・『火魔法Lv.6』・『地魔法Lv.4』
・『闇魔法Lv.4』・『時空間魔法Lv.4』
・『虚無魔法Lv.3』
所有者
・トール
預金:10万モル
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