#25 恩賞と報酬
報酬のお話。
6の月11日
王城なう…
王様たちからまた頭を下げられた。
正直、止めてほしい…何この変なプレッシャー。
「あ、あの皆さん頭を上げてください」
「いや、今回のことはトール殿が居なければ討伐出来ず、国も民も我々も危なかった。
しかもまたクリフォードの危機を間一髪で防いでくれたそうじゃないか!!
トール殿には本当に迷惑を掛けた。すまなかった。そして、本当にありがとう!!」
「分かりました!!その感謝は受けますから頭を上げてください!!」
俺がそう言うとやっと頭を上げてくれた。はぁ~勘弁してほしいよ…
「いや、まさかソザートンがリッチになっていたとは思わなかった。災害級とまではいかないが下手をすると、一国が死力を尽くして討伐する相手。トール殿の実力はランクSよりも勝るのだな。クリフォードが勝てないわけだ」
王様が頭を上げながらこう言った。
「確かに今回のことは本当に助かりましたね。ソザートンはリッチに成る方法を何処で知ったんだか…」
アルフォンス殿下が疑問を呈すると、
「あ、それはクリフが回収してきた資料を確認して判明してますよ、兄上。宰相殿と共に、王城の禁書庫内にあった資料が持ち出されていたのを確認しました。内容は一種の儀式魔法でしたね」
動きが早いな、ブラッドフォード殿下。
「む、王城の警備体制を見直す必要があるか…クリフォードよ、騎士団長と相談して改善策を挙げておけ」
おお、なんか威厳のある発言。謝る印象の方が強いからな~…やっと王様らしい所を見れたよ。
「「はっ!!」」
「それにしても…リッチのことを考慮するとトール殿への報酬が少なく感じるな」
えーと確か報酬は、1人に10万モルに倒したアンデットの素材、店への口利きと品物を計3つだったか…
「前の報酬でも凄かったはずですけど…」
「いやいや、君は一国を救っているんだ。報酬が今のままだと王家がケチ臭いと思われてしまう」
「ケチ臭いって…それならリッチは皆で討伐したことにすれば…」
「そんなこと出来るわけねーだろ。あの時どれだけの目撃者がいると思ってんだ。俺や騎士も手伝ったがほとんどお前の攻撃で圧倒してただろうが」
「クリフォードの言う通りだ。ギルドでは君のランクアップが検討されていると連絡があったぞ。功績は隠せないだろうな」
おい王様…何ぶっこんでんの!?
「はいぃ!?ランクアップ!?ランクC以上は色々条件があったはず…」
「そこらはギルドがどうにかするのだろう。とまあ、君がリッチを倒したことは周知の事実となるわけだ。王家が報酬以外に恩賞を与えないといけないのは判ってくれたかな?」
「はぃ…判りました」
衝撃的なことが多すぎる…ギルドの呼び出しも決まったな。
「ふむ、それでどのような恩賞がいいだろうか?」
「あなた、トール殿にエルザを与えては?これだけ後継ぎが育っていれば、降嫁しても問題はないでしょう」
ユリアーナ王妃!?なに言ってんのあんた!?
「ふむ、それはあり…」
「いやいや、無しですから!!恩賞にしてはやり過ぎですって!!エルザ王女も好きな人に嫁に行く方がいいでしょうし!!人の人生をお礼として頂くのは遠慮したいです!!」
王様も賛成するんじゃない!!ほらエルザ王女も眉間にシワ寄せてるし
「そうか・・・では、家を与えようか」
「え…自分は探索者なので家を貰っても使わないですよ」
「だが、ずっとやるわけでもあるまい。まずは拠点として使ってみてはどうかな?帰ってくる場所が有るのと無いのでは心待ちも違うと言うらしいぞ」
「うーん…ティアはどう思う?」
「何故我に振るのじゃ…」
「だって拠点として使うならティアも一緒に住むだろう?」
「なっ!?・・・そ、そうじゃな。あった方がこの国で動くのに拠点が有るのは便利じゃし、要らなくなったら国に返還すればいいと思うぞ。それにこの国は多種族が住む国。我にとっても主にとっても住みやすいじゃろう」
何故驚く。そして何故早口で捲し立てるように喋る…
「あ、うん、分かった。陛下、恩賞は拠点でお願いします」
「うむ、判った。お主も大変だな」
?何がですか王様?なんで周りはニヤニヤしてんの?
俺が困惑した顔をしてると、
「まあよい。次は通常の報酬だ。まずは10万モルをトール殿とセレスティア殿へ」
王様が次なる報酬の話をし始め、依頼達成料を王様付きの執事がお盆に乗せて持ってきてくれた。
「有り難く頂戴致します」
「有り難く…」
俺とティアは袋に入ったお金を受け取ると、お礼を言い、頭をさげた。
「ああ、それとギルドマスターから連絡だ。明日以降に必ずギルドへ来てほしいとのことだ」
「はい、判りました。ランクアップの件ですね」
「うむ、それでは次に店等への口利きや欲しいものを計3つ与えよう。何か決めているか?」
「はい。1つは優秀な鍛冶屋の紹介。2つ目は奴隷商への口利き。最後に王城の資料室に入る許可を頂きたいです」
「理由を聞いても構わないかな?」
「はい。鍛冶屋については自分の武器が無くなってしまったからですね。それに知り合っておけば後々製作依頼も出しやすいですから。
奴隷商はパーティーメンバーを増やそうかと思ってます。自分が遊撃に回るとティアが危ない時があるので盾使いなどの敵を抑える前衛がほしいのですよ。
最後の資料室はギルドよりも詳細な情報が載っている資料があることを聞いたからですね。今後、魔の森や迷宮にも行くのできちんとした情報がほしいのです。
以上です」
アイリーンさんに資料室のこと聞いててよかった~。
「ふむ…最後の資料室は禁書などの権限が必要な所は見せられないことは了承してくれるな」
「はい、基本的には魔物や魔の森、迷宮、物品や生産など生きる為の情報がほしいだけですから」
「そうか。では全て許可する。後で紹介状と王城資料室への入場証を発行し、手渡そう。家については後日使いの者を送る。3、4日ほど待っててほしい」
「了解です。報酬ありがとうございます」
俺はそう言うと王様に向かって頭を下げた。
「では、食事でもしながら紹介状などの完成を待つとしようか」
その後は和やかな食事が進み、報酬を貰うと宿に行き、床についた。
明日はギルドに行って、明後日は奴隷商や鍛冶屋に行こう。
資料室は拠点を貰ってからかな。
さ、久しぶりにゆっくり休みますか!!
トールの所持金
預金:885万6000モル
※所持金:15万モル、計900万6000モル
ティアの所持金
10万モル
・依頼達成料:1人10万モル
・宿泊費(7泊):31500モル
次回はギルドに行きます。




