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すきと~る -えっ!視えるの?-  作者: 守りの神殿
第3章 王国の戦友
100/329

#17 模擬戦~決着~

計100話目到達。


これからも頑張ります!!


では、どうぞ!

キィン・・・


剣撃が交わされる。

あれからクリフ殿下は盾を捨てた。

最初の方は、盾で斬撃の受け流しや拳を弾き返していたが、予想以上に負担になったのだろう。

「動き難いわ!!」といいながら投げ捨てていた。


とりあえず盾の使い方は学べた。レベル的に極めた俺から言わせれば、クリフ殿下は受け流し等で微妙に打点を間違っているので腕にダメージを受けていた。

まだまだだね…フッ


さて、剣撃も見れたし、決着つけるかね。こんな面白くない試合続けたくないし…


クリフ殿下が俺の右側から横薙ぎの剣撃を放ってきたので、上体を反らせて避けた。それを読んでいたのか、剣線を急変更して俺の首を突いてきた。俺はそれが『気功術』で判っていたので、首を右に傾けて避け、左拳でクリフ殿下の手首を強打。それと同時に右の掌底で胸を打ち、クリフ殿下は剣を落として吹き飛ばされた。


勘なのか?掌底が当たると同時に後ろに跳んで衝撃を逃がしたぞ。


「ゴホッゴホッ…お前一体何なんだ!?本気だしてねーな!!あんだけ剣を交えても俺を倒そうという気概が見えてこねーんだよ!!お前は一体何を見ている!!」


「本気を出さないのは、クリフ殿下も本気を出してないからですよ」


「なっ!?俺は本気を出している!!」


「いえ、ちょっと訂正しましょう。力を見極める戦士としては不足は無いと思います。ですが、それは本当にクリフ殿下の戦い方ですか?最初の方で俺の力の見極めは済んでいたでしょう?ちまちまと戦って楽しいですか?ここにはそれだけでは勝てない相手がいるんですよ!」

そう、俺は違和感を感じていた。あれだけ戦闘が楽しそうに言っていたのに、剣撃が軽いのだ。俺は思った、クリフ殿下は王様の言ったこと…俺の力を見極める行動をしてるんじゃないかと。それを終わるまで続けるつもりじゃないかと…


「今回、部隊を率いる為に俺の力を見極めようとするのは判るが、王命を言い訳にして小さくまとまるんじゃねーよ!!テメーの本気見ねーと俺も安心して背中を預けられるわけないだろうが!!!!」


修練場の空気が一瞬止まった。


そして、クリフが話し出した。


「ククク、見極めていたのは俺だけじゃなかったってことか…

悪かったなトール!!確かに俺は遊んでたみたいだ!!やっぱ、お前最高だぜ!!」

呆けていたクリフが笑い出した。調子が戻ったみたいだ。


こんな楽しいの俺も久しぶりなんだ。あんな決着望んでねー。


「クリフ、提案だ。この試合…つまり1回目は引き分けにして、2試合目に進まねーか?お互い本気出して終わろうぜ」


「その提案のった!!ルシアン騎士団長、そう言うことだ。もう一度合図を頼む」


「えっ…しょ、少々お待ちを。陛下にお伺いをたててきます」

そう言うと、ルシアンさんは王様の下へ向かった。



・・・



「お待たせしました。陛下に了承を頂きましたので、1試合目は引き分けとし、2試合目を始めさせて頂きます」


「おし、じゃあやるか!今度は無様な姿は見せねーぜ!!」


「クリフ、武器を拾ってないが無手で戦うのか?」

俺が落ちている剣を見てそう言うと、


「いや、武器は使うぜ。だが、使うのは俺の本来の武器だ」

道具袋から1振りの大剣を取り出した。その剣は中央にスリットが付いており、両刃は若干反った形をしていた。


「大剣かよ。軍隊で動くには使い難いな。他の人巻き込みそうだし…」


「そういうことだ。軍隊だと使いどころが難しい。今回は心おきなくやらせてもらうがな」

そう言うとクリフは大剣を、


「フッ、望むところだ。俺も魔法を交えた武術を見せてやる!」

俺も小太刀を構えて相対した。


「えー、両者とも準備万端のようですね。それでは…始め!!」

合図と同時に俺たちは相手に向かって飛び出した。


初手はクリフ。上段からの唐竹割り。

しかし、俺は半身をずらして左に避け、右足の蹴りを放つ。

クリフは大剣の柄で蹴りを受け、後ろに跳び、間合いを空ける。


クリフは着地と同時に突っ込んで来ようとするが、俺が『風魔法』の『ウィンドガトリング』で追撃したため、クリフは転びながらも風の弾丸を横に避け続ける。


「あぶねー。何だよその魔法…風の玉が連続発射されるなんて…初めて見たぞ」


「まだ、喋る余裕があるんだな。これはどうする?『ホーミングファイヤーランス』」

炎の槍がクリフに迫る。


それを横に移動して避け、俺に突進してくるクリフ。しかし、炎の槍はクリフを追いかける。

背後からの攻撃だったが、クリフは『心眼』の効果で紙一重で避けることが出来た。


「おいおい、お前は魔法のびっくり箱…」


「お喋りする暇はねーぞ。それは俺の魔力が無くなるか、壊さない限り追い続ける」

クリフの話を遮って、俺は忠告を促す。そのすぐあと、クリフに再度槍が襲いかかる。


「のわ!!くそ!!んじゃ、壊してやるよ!!」

クリフは槍を避けたあと、そう言って槍に相対して大剣を上段に構える。


そして迫り来る槍に大剣を振り下ろし、一刀両断。


「よし!!これで…」

炎の槍は壊れた。だが…


「注意がファイヤーランスに行き過ぎだぞ、クリフ。『爆炎拳』」

俺は大剣が振り下ろされると同時にクリフの間合いに入り、『爆炎拳』を放つ。


「くっそ!!『スプリット』!!」

クリフがそう叫ぶと、片手で剣を振り上げ、腕を切断しようとしてきた。


「なにっ!!」

俺は突然の出来事に困惑したが、咄嗟に腕を回転させてガントレットの金属部を刃の方へ向けた。


ガキッ!!…ィン!!


俺の手は剣に弾かれ、『爆炎拳』は不発。追撃が来ないとも限らない為、弾かれると同時に後ろへ跳んで間合いを空けた。


「おいおい、大剣を振り抜いたのに何で切り返しが出来たのかと思えば…何か二刀流になってるし・・・

その大剣、魔導具だったのかよ…なあ、クリフ」


「ああ、そうだ。こいつは迷宮で発見された魔導剣ツインズだ。つーか、奇襲だったのに何で避けられるんだよ…自信無くすわ」

そんなことは知らん!!…まあ、あの剣を出してきた時点で違和感はあったんだが、クリフの本気を見たかったから鑑定はしなかったんだよね。つーことで、この戦いが終わるまでは見ません!!


「そうかよ…まあ、クリフの奥の手も見れたし、そろそろ決着つけようか。もう、お前のターンは来ないぞ、クリフ!!『ホーミングボムランス・マルチプル』!!」

10本の炎の槍が形成され、クリフに殺到する。


「しゃらくせー!!ぶっ壊す!!」

そう言うと、クリフは2本の槍を両手の剣で切った。


これは俺の思惑通り。


2本の槍が壊れると、爆発が起こり、クリフが吹き飛ばされた。


「グァッ!!っつ…こいつ爆発すんのかよ!!…しかも追って来てるし!!」

クリフは転がりながらも体勢を立て直し、残りの槍を見据えていた。


そのあとクリフは回避と迎撃を繰り返し、気付けばあと4本までに槍を減らしていた。

そしてその内の2本が同時にクリフを襲う。


これをクリフは後方に跳びつつ、剣を振るって破壊。

だが、着地しようとした瞬間、最後の2本がクリフに襲いかかった。


クリフはそれを何とか迎撃するも体勢が悪かった為、爆発で剣も体も弾き飛ばされてしまった。


「くそっ!!だが、これで槍は無くなった!!トール何処だ!!」


「槍は布石だよ、クリフ。こっちは準備が整った」

俺は5m程上、空中に立っていた。

一応言っておくと、『飛行』ではない。『立体起動』を駆使して空中に立っている。


「これが今俺に出来る最大の魔法拳だ。行くぞ、クリフ!!『流星』!!」

俺は『一撃必殺』を使った魔法で、クリフに向かって突進する。


『流星』は前面に空気抵抗の遮断膜を張り、背中に着けた空間の筒に空気砲を当てて対象に向けて突進する攻撃になっている。身体は氣や魔力などあらゆる限りの強化を施して保護しているので問題なし。これを一般人に当てると多分物理的に散るだろう。


魔法が発動すると一瞬でクリフの腹に拳が当たり、修練場の端まで吹っ飛んでいった。

拳がクリフに当たった音が1秒以上遅れて聞こえたので、音速は軽く越えていたはずだ。


ドンッ!!!


クリフが壁に激突した。俺は急いでクリフの下へ駆け寄り、気絶しているのを確認。外傷は結界により、無くなっているので魔法で気付けを行った。


「ん…ん…、トールか?」


「気付いたかクリフ」


「あー、俺は負けたんだな…」


「そうなるな。立てるか?」

俺は手を差し出した。


「ああ、大丈夫だ。あんなに速くて威力の高い攻撃、初めて受けたぜ。結界無けりゃ死んでたな…」

クリフは俺の手を掴むと反動をつけて起き上がった。


「その為の結界だろうが。まあ、大事がなくてなによりだ」

俺たちは皆の下へ向かって歩き出す。


「ハハハ、それもそうか。あー、悔しいな!!もう!!」


「フフ、リベンジなら時間がある時に受けて立つぜ。まあ、勝つのは俺だがな」

俺は自信満々の顔で言い放つ。


「グヌッ!その顔を今度は泣き顔に変えてやる!!」

クリフは俺の首に腕を回し、お遊びで首を絞めてくる。


「やめろって!!・・・それよりも…」

「ああ…」


「「楽しかった!!」」

俺たちはお互いの拳を軽くぶつけ、笑い合った。



俺たちはこの日、“友”になった。

次回は討伐までの閑話みたいな感じかな?


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ツインズ

品質:最高

状態:魔鋼の魔力伝導率、耐久度共に最高。『時空間魔法』により2つの剣を背中合わせで固定している。魔力を流し、『スプリット』と唱えると2つの剣として使える。剣の強度は『地魔法』により強化でき、魔力量に依存する。

価値:500万モル程度

付与スキル

・『時空間魔法Lv.7』・『地魔法Lv.6』

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『ウィンドガトリング』

5秒間風の弾丸を放ち続ける。射線は任意で変更可能。


『ホーミングファイヤーランス』

追尾型のファイヤーランス。魔力が尽きるか破壊・止められない限り追い続ける。


『ホーミングボムランス・マルチプル』

『ボム』を槍型にした追尾型の魔法。外見はファイヤーランスと変わらない。語尾に『マルチプル』を付けることで任意の数を生成可能。

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