走るな、メロス!〜お前のせいで王と結婚だよ〜
メロスが激怒したらしい。なんでも王に喧嘩を売ったとか。なんで、わざわざ私ン所の町まで来て喧嘩なんて売っちゃうかなー
気が付いたら、ここよ。王城。私さっきまで仕事してたのにいきなりお城に連れてこられてさー、何かと思ったら(一応)友人のメロスが王への侮辱罪で捕まってんの。
「王よ、どうか私に妹の結婚式を見させてくれ!その代わりに、我が親友のセリヌンティウスを渡そう。…3日。3日の日没までに私がここに帰らなければ、このセリヌンティウスを好きにして良い!」
え?何?おーい、何故に人を人質にしてんのー。ちょっと待ってよ、一応私達友達だよね?
「本人めっちゃ不服そうなんだが…」
よし、良く言った王!
王は私の顔をチラッと見て言う。
「そんなこと無い!私達の友情は深いんだ。お前には理解出来ない!」
ちょーーー!?お前の行動のがよっぽど理解出来ねぇーよ!
…お前、妹の結婚式の品を買いに来たんだろ?本当余計なことしてんじゃねーよ。私だって、妹ちゃんの結婚式見たいよ!…そもそもお前と友達してた80%が妹ちゃんの姿を見る為だからな!うふふ、あの娘のウェディングドレスとか可愛い過ぎてヤバいだろうな…キュン死必須だろうなぁー。おっと、今そんなこと言ったら本当に死にそうだ。あー、もうさっさと村へ帰れ!あ、ちょっと待って…私を人質に帰ろうとすんじゃねえぇぇぇ!
「なんか、悪かったな…」
oh…王直々に謝りの文言いわれちゃったよ…。
「いえ、本当なんかこっちこそすみません…友人のメロスが迷惑かけたみたいで……」
一応謝っとく。一応なのは、私もこの町の住人。この王が人をよく処刑する「私欲の塊」だと言われているのを知っているからだ。
……だからって、アレは無い。王じゃなくても、いきなり人に喧嘩吹っかけといて「ちょっとタンマ。妹の結婚式あるから待ってて!」って言うとか…。せめて結婚式終わってから王の元へ行けよ。
なんて考えると
「…お前は私が怖くないのか?」
なんて王が言う。あー、そうだ。私今王と喋ってんだった。こりゃ、私死ぬな。うん。
「別に?」
どーせ殺されるんしょ?今更なにやったって同じじゃん。ほら、今笑った。はいはい、どうせ私を「王にその様な態度をとるのか、この愚民め!」とかいって嘲笑するんしょー…
「気に入った。」
あー、はいはい。死刑ねぇ〜…って
「え?」私は呆然と王を見やる……あらやだ、イケメン…
「だから、お前を気に入ったと言っておる。」
いや、こいつ本当にイケメンだなぁー。これなら、生きてる間に遠巻きに見てないでもっとじっくり見とけば良かった……
「聞いておるのか?……私と結婚しろ。じゃないと、処刑してしまうよ?」
と、笑顔でおっしゃった。
えーと、あの、何故に?ほら、ネット使って『走れメロス』をググッって見よう?無いなら、私の携帯貸してあげるから。王は人間不審って設定なんだよ?
「お前は、この私を怖がらなかった。……そして、お前の裏切られてもあやつ・メロスとやらを友人と言った懐の深さよ…。
私はお前に惚れた。」
…………。
あの、ね。私、今からメロスとの友人ヤメようと思ってた所なんだけど?全然これっぽっちも許して無いよ?……ちょっと、待って嫌嫌嫌ちょっと無理!イケメンだけど、イケメンだけど、あんたは観賞用なだけで結婚とか望んでないから!嫌だよ、暴君ディオニス王と結婚するなんて!暴君って、いうか暴走しちゃってるよ。誰か止めたげて!
ほら、……
ザワザワ「あの人を信じることをし無い王が…」「心を許した…」ザワザワ「愛は世界を救うのね…」
ちょっと待てコラァ!何、他人事だと思って祝福ムードに入ってるんだちくしょう!
「私はお前を一生信じ抜くと誓おう…必ず幸せにする。」
…………あ、もう逃げられねぇ。目がマジだ………。
あーーー、もう!
これも全部走り去ったメロスのせいだーーーーー!