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柔らかいものに触れてみたい
偽りでもなく
幻覚でもなく
素直な君の心の奥深くに眠る
ぬくもりに満ち溢れ
傲慢さを隠し持ったその部分に
そっと触れてみたい
差し込む光は柔らかく
いろんなものを照らしだす
埃を被った本は読んでもらえず
忘れ去られている
忌いましい過去に囚われ
今もそこに縛り付けられている
安らぎも得られずそのままで
君の元に戻るため
空に両手を突き出す
助けの手は差し伸べられず
僕の魂は置き去りにされたまま
今もそこで懺悔を繰り返し
祈りを捧げている
彼女を好きなんて感情を一度も持ったことはなかった
ただこれは懺悔の気持ち
ただこれは償いの気持ち
君を裏切った僕への天罰
君の心の緩い裏蓋の隅で
僕は叫び声をあげている
誰も僕の存在を知りたくもない
誰にも僕の声は届かない
いつも
いつまでも
一人で闇にのみ込まれ叫んでいる