小噺1
*活動報告の再録です。
「ねえ、マヤー」
「マヤー」
「おーっす」
小さな手をきゅっと握り締めて駆けてきた三人に、振り返る。
麻耶が立っているのは、この世界の基準になる大木の根元で、基本的にそこは彼女の住処だった。
だから、神様候補の子供達はどこに遊びに行っても、必ずここに戻ってくる。
今日の一番手は、麻頭の上の桃色の雛菊の花弁を揺らし極めてマイペースなヒナと、緩い癖毛の上でメランポジウムそっくりの花を揺らす彼はラージュ、その彼の手を引いて元気爆発に走ってるのが、マツバボタンをひらひら由揺らすマーボーだ。
掌ほどのサイズしかない三人は、満面の笑みを向けながら麻耶を見上げた。
何しろ彼らと自分との間には、人間と15センチ定規ほどの差がある。
こちらを見る際には大きな目をキラキラさせて、とても期待に満ちていた。
「えへへ!今日は僕たちが早くついたよね!」
「一等だ!ちゃんとお使いもしたし、一等だぞ!」
「・・・うん。僕もちゃんと手伝ったんだ」
喜色満面で詰め寄るヒナに、胸を張って威張るマーボー。少し照れながらも必死に訴えるラージュの姿に、麻耶はにっこり微笑んだ。
「そうだね!今日の優勝はこの三人だ!ヒナと、マーボーと、ラージュに拍手ー!」
『わー!!!』
ぱちぱちと拍手を続ける合間に、まるで山登りをするように三人がスカートを上ってくる。
そうして膝から腿まで駆け上がると、腰の辺りにぽてりと凭れた。
もし年齢が近ければセクハラだが、こんな可愛い生き物にその概念はない。
両手できゅっと包んでやれば、それぞれが楽な体勢になって寝息を掻きはじめた。
お手伝いと称して取ってきた花は、そこらの草原で咲く珍しくないものだ。
自主的にお使いに行ってくれたのは、麻耶の髪に映えて綺麗だからと考えたかららしい。
小さな掌も顔も土で汚れているし、髪には草が絡まって、ズボンやシャツも破れている。
それでも胸を突く愛しさに目を細めると、凪の膝を寝床とした彼らが冷えないようにハンカチを取り出して、健やかな眠りを促した。
今日も神様候補との仲は、やさしく穏健に過ぎていく。




