第五話 ワイバーン討伐戦
三日ぶりの更新です。
任務系統の話などは二話構成でいきたいと思いますのでよろしくお願いします。
ヒトナキの森、ナチュリコム北部に広がる森であり、約三百ヘクタールあるとされている。様々な植物や動物が住んでおり、生物研究者は宝庫の森とも呼んでいた。
出発してから数時間後、ヒトナキの森の入り口だと思われる所にヘリは着陸した。
「まさか、ここに来るとはね・・・・・・」
ギンリュウにとっては一ヶ月ぶりであった。試験やらなんやらで忙しすぎて観察にいけなかったからだった。
「ギンリュウ、本当にこの森にワイバーンは住み着かないのか?」
「はい、この森にはワイバーンが嫌う臭いを放つ植物がそこらじゅうにあるのです」
「と言う事は新種なのかしら?」
ギンリュウとルエが話しているとリエが割り込んできた。
「た、隊長」
ルエは焦った、またケンカが始まるかもしれないからだ。
「それはないですよ、隊長」
しかし、ギンリュウは冷静にリエの問いに答えた。
「そもそも、ワイバーンはずっとこの森に住み着かなかった、それにここは拓けたな場所がない程、森が覆い茂っているし、ワイバーンの巣に適している木々などがない」
ギンリュウは淡々とワイバーンの生態を喋り出す、このままでは日が落ちてしまうためリエはさっさと森の奥へと入ってしまった。
「だから・・・・・・、って、あ!待てよ!」
ギンリュウも急いでリエ達の後を追う。
「なんなの、この森は、方向感覚が狂うわ」
「この森は全体的に感覚を狂わす魔力が溢れているからな、感覚で頼るのは危険だ」
「じゃあ、どうすればいいんだ?ギンリュウ」
「このコンパスを使うんです」
ギンリュウが取り出したのは機械式のコンパスだった。
「なるほど、機械式なら魔力に翻弄される事はないんだな」
「はい、俺、観察しに色んな場所を行くんで、その場所に適した道具を持っていく事に慣れまして」
「無駄話はいいわ、さっさと問題のワイバーンを探すわよ」
リエはさらに奥へと進む。
「あ、隊長、待ってて・・・・・・」
その時、何かが羽ばたいている音が聞こえる、しかも、徐々に近づいてくる。
「な、なに?」
「ギンくん・・・・・・」
「この気配は敵意?」
「来るぞ!」
全員が上を向いた、大きいな翼と強靱な体をしているワイバーンだった。
「そ、そんな、あれは・・・・・・」
ギンリュウは目を疑った、新種でも何でもない在来種で、一番この森に住み着かないワイバーン。
「ダーク・ワイバーン!?」
ワイバーンはギンリュウ達の目の前に降りてきた、黒い体のためか、真っ白な牙と赤い目が目立つ、ワイバーンの中でも大きい部類に入る。
「なんでだ?ダーク・ワイバーンはこの森にある植物の臭いを特に嫌っているはず」
「どうでもいいわ、来るよ!」
ワイバーンは翼を広げてギンリュウ達に向かって滑空してくる。
「こんな狭い所でか!?」
ワイバーンの翼は木々の幹を切り裂きながら来る。
「隊長!」
「くっ!」
リエはギリギリでしゃがむ、ギンリュウ達も避けたりしゃがんだりして、なんとか難を逃れる。
「ダーク・ワイバーンは最低限の筋力しか持たないはずなのに」
「なに言ってんのよ!また来るわよ!」
「ダーク・ワイバーンとは違う種類なのか?」
全員がそれぞれの武器をかまえる、ギンリュウは普通の剣より刃が長く青みかかった剣でを取り出した、その武器の名は“アースバーン”。
「とにかく、やるしかないか・・・・・・」
「みんな、行くよ!」
リエがまず先行する、次にルエ、ギンリュウ、バーシュ、後方にはどんな時でも対応できるようにとミリアとディル、アスカの三人が待機していた。
「図体大きければいいてもんじゃないわよ!」
ギンリュウはワイバーンに向かいながら考え事をしていた。
(もし、あのワイバーンがダークと同系統の種類だとしたら・・・・・・)
そんな事を考えていたら、リエがワイバーンに斬りかかろうとした。
「た、隊長!だめだ!」
リエは剣を大きく振りかぶって剣をワイバーンに斬りつけようとする。しかし・・・・・・
キーン
「うそ!?」
リエがはじき返された。
「ダーク・ワイバーンは甲殻が非常に堅いんだ!無理に斬ろうと思ってもだめだ!」
「それを早く言いなさいよ!」
「う、さすがにごめん・・・・・・」
「二人とも来るぞ」
ワイバーンは口の中に炎をためている。
「まずい!」
ギンリュウはリエより前に出た。
「ギンリュウ!?何するつもり」
ワイバーンはギンリュウ達に向かって炎を吐く、火炎弾と化した炎は一寸狂いもなくギンリュウに向かう。
「ギンくん!」
「ギンリュウさん!」
しかし、ギンリュウは冷静だった。そして、魔法を唱えた。
「グラビティ・フィールド!」
ギンリュウが魔法を唱えると、ギンリュウの周りに黒い球体が現れた。火炎弾はそのまま軌道を逸れて遙か後方にある木に着弾した。
「な、なんなの?」
「ミリア!行けるな!」
「うん!」
ギンリュウがそう言うとミリアは後方から前線に出る。
「彼の者、ミリアの魔力を上げよ!マジック・ゲイン!」
ギンリュウがまた別の魔法を唱えるとミリアの足下に魔法陣が出てくる。
「行くよ!ホーリー・レイ!」
ミリアがそう唱えると白い魔法陣が出てきて、純白な光線が光りに包まれながらワイバーンに向かって直進する。ワイバーンはそれを避けようと飛ぼうとするが・・・・・・。
「させるか!グラビティ・ドライブ!」
ギンリュウは手をワイバーンに向けながら唱える、するとワイバーンはいきなり地面に叩きつけられた。
「なんだぁ、いきなりどうしたんだよ」
その場にいた者は状況を読めていなかった、誰もが見た事のない魔法を見せつけられ圧巻してしまった。
地面に叩きつけられたワイバーンは立ち上がろうとするが、なかなか立ち上がれない、そしてミリアが出したホーリー・レイに直撃を食らってしまった。
「ギャァァァァァ・・・・・・」
そのままワイバーンは地面に倒れ動かなくなった。
「よし、任務完了!」
「やったね!」
ギンリュウとミリアは喜んでいるが、他の者は目の前に起こった事に驚き動けなかった、あのリエでさえ驚きの顔を隠しきれなかった。
「一体、何者なの、あいつら」
「見た事もない魔法系統だったな」
「・・・・・・」
そんな、第十二部隊の様子を遠くから見ていた者がいた。
「へぇ、誰が僕のワイバーンを倒したと思ったら・・・・・・」
その正体はパーカーを被った少年だった、髪の色が黒だったが顔立ちはギンリュウによく似ていた。
「ものすごく強くなっているじゃないか、再会する日がとても楽しみだよ」
少年は持っていた宝石に念を込めて消えた。
第十二部隊 宿舎屋上
「よし!初任務は成功!」
「・・・・・・」
リエは不機嫌だった。
「どうしたんですか、隊長?」
ギンリュウはバカにしたよな目でリエを見た。
「う、なんでも無いわよ!調子に乗るじゃないわよ、あんなの偶然だわ、ぐ・う・ぜ・ん!」
「はいはい」
その日、ギンリュウが上機嫌でリエが不機嫌だったのは言うまでもなかった。
第五話より前の話に特徴やら修正やらを付け加えました。
今まで呼んでくれた方、設定や世界観がわかりづらくて申し訳ございませんでした。
これからも聖鬼神をよろしくお願いします。