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旧・聖鬼神  作者: 時刻
第三章 鉱石の国
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第十七話 絶対王政

第三章開始始まりです。

 ギンリュウ達がディルを探すために旅を出てから一週間、ナチュリコムとディルートの国境付近にある検問所。

「あっさりだったな……」

「もう少しかかると思っていたわ」

 ギンリュウとリエは検問所を通れるのは少なくても明日だと思っていた。しかし、どういうわけか小一時間で終わってしまった。

「よし、これディルートに入れるぞ」

「バーシュさん、あなたは何者だよ?」

「ふっ、ただの侍さ」

「なに、そのかっこいい言い方、むかつく」

 検査が早く終わったのはバーシュがいたからだった、バーシュはどうやら何かしらの関係者だったのようで、検問の人たちは驚いた顔をしてそのままほとんど検査なしで通行許可がおりた。

「さて、これからディルートの貿易の街に行くんだが、ひとつ注意してほしい」

「注意ですか?」

「うむ、この国はナチュリコムと違い、絶対王政なのだ」

 ちなみにナチュリコムは共和国に分類されている。

「それがどうかしたのか、バーシュ」

「俺はこの国の王の近衛兵をやってた事があってな、どういう訳かこの国には排他的な意識があるのだ」

「それまた、どうして?」

 ギンリュウはバーシュに聞いた。排他的な意識を持つ国はこの国以外にないだろう。その理由はガーディアンだ。

「確かにそうね、“ガーディアン”の規則には国と国の協力が不可欠だから排他的な意識は良くないって言ってたわよ」

 リエの言うとおりだった。“ガーディアン”は世界の秩序を守るために作られた世界組織、お互い嫌悪し合っている国でも協力ぐらいはする。

「まぁ、この国は世界の意識が一歩遅れている事もあるがな。俺はそれが嫌でナチュリコム支部の方に入ったんだ。まぁ、これから行く街はそうじゃないがな」

「そうだったんですか……」

 ギンリュウ達はそんな話をしながら、ディルートの貿易の街、ガラアンドに着いた。

「久しいなここも……」

「あぁ、この街なら俺も知っています」

 貿易の街ガラアンドはナチュリコムに交易品を送るための拠点であり。唯一、排他的意識がない街でもあった。

「この街にとってはナチュリコムは大切なお客さまだからな、いくら王政があるとはいえここはまったくの別の政治が働いているともいって良い」

「なるほどねぇ……」

 そんなとき、一人の女性が話かけてきた。

「あーら、誰かと思ったら裏切りのバーシュじゃない」

「クリントラかぁ……」

 バーシュは明らかに敵意を持った目を女性に向けた。ギンリュウ達はわけのわからずにバーシュと女性を相互に見ていた。

「そこにいるのは?まさか、ナチュリコムの奴じゃないよね」

「相変わらずだな、その他の国を見下す態度は……」

「ふん、あなたこそよくもまぁこの国を裏切ったくせに戻ってきたわね」

 裏切り?ギンリュウは疑問に思った。

「あの、バーシュさんがこの国を裏切ったって言うのはどういう事なんですか?」

「誰、あなた?」

「ナチュリコム支部のギンリュウ・スペイエルと言います」

「はっ、雑魚であるナチュリコムの人間が私に質問するなんて良い度胸しているじゃない」

「雑魚ですって……!」

 クリントラと呼ばれた女性の言葉にリエは食いかかった。

「ガーディアンの規律も守れない国にナチュリコムを雑魚呼ばわりする資格はないのよ!このバカ女」

「隊長、落ち着いてください。これがこの国のガーディアンのやり方ですから」

「そうよ。せっかくだから教えてあげる。私はディルート支部第三部隊隊長、マールト・クリントラよ」

「ナチュリコム支部第十二部隊隊長、リエ・マレンデカルです」

 リエは睨むような目つきでマールトを見つめた。

「ふん、何のようなのよ」

「実は私の所の隊員が任務中、敵のテレポに巻き込まれて行方不明。あなた達の所の支部には話を通してあるはずよ」

「あぁ、そんな事言ってわね。どうでもいいわ」

 呆れた表情で言うマールトにギンリュウは不快感を覚えていた。

(なんだよ、こいつ。俺ならまだしもバーシュさんと隊長までバカにしやがって)

「まぁ、せいぜい頑張る事ね」

「そのつもりですので、また」

 ギンリュウ達はその場から離れようとすると、突然マールトが声をかけてきた。

「待ちなさい!」

「まだ、何かようですか?」

「バーシュとそこの銀髪男、あなた達は私と一緒に首都に来なさい」

「「はぁ!?」」

 ギンリュウとバーシュは絶句した。いきなりのマールトの誘いにびっくりした。

「だから、私と一緒に王に会いに来るの!わかった?」

「待て!俺はともかく、なぜギンリュウまで!?」

「そ、そうですよ!?」

 バーシュはこの国を裏切った事に何かしら関係あるだろう。しかし、ギンリュウはそうではない。この国とは一度も関わってない。

「あなた、もしかして聖鬼神だったりする?」

「「「「!!」」」」

「……何故、そう思ったのですか?」

「私は魔力感知する事には自信あるのよ。そこの女の子ならともかく、あなたは異様よ。だからきてもらうのよ」

 ギンリュウはめんどくさいと思った。前にもこんな事があり、その時は逃げてきたのだが今回はそうはいくまいと思った。

「悪いすけど、俺は仲間をいち早く捜したいんでその話断ってもいいすか?」

 当然のような言葉でギンリュウは言った事をマールトは驚いた。そもそも、ギンリュウはマールトの事をリエ以上に嫌っていた。何故か、それは仲間をバカにする態度であった。

「正直に言わしてもらいますけど、どーも、あんた、俺の仲間をバカにしているでしょう?俺はそう言う奴が一番大嫌いなんですよ」

 マールトはこめかみをひくひくいわしながら、黙ってしまった。

「まぁ、そう言うわけだ。王には会いに行くが、今は勘弁してほしい」

「じゃぁ、情報収集に行きましょう?」

「了解です」

 ギンリュウ達は今度こそ、その場から離れた。

「……ちっ、覚悟しなさい。ギンリュウ・スペイエル!」


首都 バゼルンド

「ほう、バーシュがココに?」

「はい、あの裏切り者は今はナチュリコムの犬となっております」

 まだ十代半ばの少女は自分の近衛兵の報告を聞いていた。彼女こそがこの国の王、名は……。

「どうなさいます?ルーチャ様」

「ふむ、あいつは何しにココにきたんじゃ?」

「ガーディアンの連中によると行方不明の仲間を捜しにやってきたそうです」

 すると、少女は、ルーチェ・ハルトン・ティルートは不敵な笑みを浮かべた。

「だったら、その者を探し出し捕まえるのじゃ」

 近衛兵は驚いた顔になった。しかし、すぐに顔を下げ、何も言わずにその場を去った。沈黙の承諾、それがこの国の王に対する礼儀であった。

「何をするおつもりで?」

「レイ、我は良い事を思いついたぞ」

 まるで子供が悪戯するような笑みを浮かた。


「……!?」

 ガラアンドで情報収集していたバーシュは何か寒気を感じ取り身震いを起こした。

「……?」

「どうしたんですか?」

 ギンリュウは情報を聞き終わったのでバーシュの元に戻っていた。

「いや、なんか寒気を感じてな。……?」

「はぁ……」

「まぁいい、でどうだ?」

「あ、えっとですね……」

 バーシュは結構気にせず、そのまま情報収集を続けた。


 一方 ディルたちは……。

「はぁ、道に迷った」

「あは」

「「「あはじゃない(ですよ)(ねーよ)!?」」」

 ギンハクの森で道に迷っていた。

なんかバーシュまで重要に……。とんでもない事になってきた。

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