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旧・聖鬼神  作者: 時刻
第二章 戦乙女
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第十三話 ディルの才能

ドゥアーク神殿 中層 アスカ・バスカル・ディーン

 アスカ達も何とか上に上がる事ができ、そのままギンリュウ達を探していた。

「うーん、この神殿は本当に複雑なのだな」

「デスネ、単純カト思ッタヨ」

「いや、単純で済まさないと思うけど……」

 三人は気配を探っていた、しかし、密度の濃い魔力のせいで気配を探れなかった。

「しかし、なんて魔力なの……、気が狂いそうだわ」

「デモ、私ハオカシイト思ッテイル事ガアルノデス」

「何ですか、バスカル殿?」

「神殿ノ入リ口ニハ魔力ノ流失ヲ防グタメノ結界ガ張ッテアル」

「でも、入り口まで魔力を感じたわよ」

 バスカルは苦い顔をした。

「多分デスガ、誰カガ、コノ神殿ノ結界ヲ破壊シタト思イマス」

「結界を破壊したぁ!?」

「私トギンリュウハ最初、アナタ達ガ来タカラダト思イマシタ」

「ま、待ちなさいよ、私達はそんな能力は持ってないわよ」

 ディーンは慌てながらも必死に否定した。

「モチロン、ソンナ事ハワカッテイマス、モシ、ソウナラバギンリュウガ来タ時ニ破壊サレテイタ」

「そうか、ギンリュウ殿は前に何度か来た事があると言っていた、しかも彼は聖鬼神」

 バスカルは頷いた、その時、アスカ達は魔物の気配を感じた。

「魔物!?」

 角から現れたのは破壊獅子ブレイク・レオンだった。

破壊獅子ブレイク・レオン……、やっかいだな」

「だけど、相手にとって不足はないわ!」

「行キマショウ!」

 戦闘態勢に入ろうとしたとき、見覚えのある声がアスカ達を説得した。

「ま、待ってください!」

「「!?」」

「僕たちですよ!」

 そう言って出てきたのはディル、その後からギンリュウ達が現れた。

「アスカ!」

「バスカルさん!」

「ディーン……」

「隊長!?ギンリュウ殿!?」

「メアルまで……、それにその破壊獅子ブレイク・レオンは……」

「話すと長くなるんだな……これが」

 ギンリュウはここまでの経緯を話し始めた。


ドゥアーク神殿 中層 ギンリュウ・リエ

 時は少し戻り、ギンリュウとリエは相変わらず二人で出口を目指していた。

「あぁん、もう、まだ見つからないの!?」

「苛つかないでくださいよ、ここはものすごく広いんですから」

「だからって……」

 そんなやりとりしていたギンリュウ達は、それでも歩いていた。

「でも、この魔力は尋常じゃないわね」

「尋常じゃないだけなら、たいした事ないよ」

 ギンリュウは真面目な顔をして言った。

「どういう事よ?」

「魔物が異常に少ない、聞いた話だけど、下層に行けば行くほど魔物は強くなり、数も多い」

「でも、私達が会ったのは真実の獅子トゥルー・レオンとフェザー・ゴーレムしか……」

「だから、異常なんだよ」

 するとギンリュウは魔物の気配を感じた。

「隊長、どうやら三匹目らしいぜ」

「まったく、本当に遠慮しなさいよ」

 ギンリュウ達は武器に手をかけた、しかし、現れたのは予想外の事だった。

「あ、隊長、ギンリュウさん」

「ディ、ディル!?」

「なんであなたが……」

 さすがに二人は驚いた、魔物の気配がある方からディルが現れたのだから……。

「あのさ、魔物がいなかったか、そこの角から……」

「魔物?あぁ……」

 ディルが手をポンッとさせた時、ギンリュウが指を指した方から破壊獅子ブレイク・レオンが現れた。

「わあぁぁぁぁぁぁ!?」

「きゃぁぁぁぁぁぁ!?」

 ギンリュウとリエは驚いた、しかし、よく見ると、その上にメアルが乗っていた事に気が付いた。

「あ、お前は戦乙女の傍ら」

「ど、どういう事よ、これ……」

「あ、この子は僕が手なずけたので、安心していいですよ?」

「手なずけたって、あなた……」

 リエは驚きを通り越して、逆に呆れてしまった。

「ディル、お前、まさか魔教師モンスター・チョイサーか!」

「はい、そうですけど」

魔教師モンスター・チョイサー?」

「正式には魔物調教師、魔物を唯一、手なずける事が出来る職業だよ、今は廃れてかけているって聞いた事がある」

「僕の村では魔物が隣にいる事なんて、当たり前でしたから」

 ギンリュウとリエとメアルは驚愕な顔をした。当たり前だ、魔教師モンスター・チョイサーなんて彼らの近くにいなかったのだから。

「こ、今回の新人はとんでもない奴ばっかりね、聖鬼神の双子に威厳のある侍、それに魔物を懐かせる魔教師モンスター・チョイサーなんてね」

「あはは」

 ディルは思わず照れてしまった。

「とりあえず、アスカさん達を探そう」

 ギンリュウがそう言うと三人は頷いて、再び歩き始めた。


ドゥアーク神殿 中層

「なるほどね、納得がいくわ」

「しかし、ディネカル殿が魔教師モンスター・チョイサーだったとは」

「驚キデスネ」

 魔教師モンスター・チョイサーはモンスターの気持ちをわからなければならず、モンスターを扱うには数年の訓練が必要となり、今では廃れてしまったと誰もが思ってたぐらい少ない。

「でも、なんでメアルが破壊獅子ブレイク・レオンに乗っているの?」

「実は足を痛めてしまい、それで途中までは、その……、えっと……」

 メアルは顔を徐々に赤くなっていく、メアル以外は全員でディルを見た。

「あ、途中までは僕が背負ってましたー」

「「「「「ディルー!!!」」」」」

「え、急になんですか、みなさん!?」

「お前、何、敵であるあいつを背負ってたわけ?」

「はい」

 ディルは十六歳とは思えない無邪気な笑顔をした。

「駄目だ、隊長、あいつフラグを立て始めるぞ」

「いやいや、すでに立ってたわよ」

「メアルも絶対にまんざらではないわ」

 ギンリュウ達はディルとメアルに聞こえないように小声で話した。

「?」

「……」

 ついでにメアルはまんざらではなかった。


ドゥアーク神殿 中層 ???

 ここは神殿の中心部、そこには誰もいないはずなのにそこに一人の少女がいた。

「うふふ、これで、私はもっとお姉さまに近づけるわ……」

 赤髪にポニーテール、幼い顔つき、服装はまるでお姫様が着るようなドレスだった。

「さぁて、後は彼女達が来るまで待つとしよーと」

 少女は可愛らしい笑顔をする。しかし、その笑顔はどこか不気味さをもかんじるのだった。


ドゥアーク神殿 中層 通路

 ギンリュウ達はまるで導かれていくように歩いていた。理由は一つ、ギンリュウとメアルとディーンが何かを感じ取り、そのままその方向に向かっていった。

「ねぇ、三人とも、どうしたのよ?」

「変ですよ」

「ごめん、でもなんか向こうに行かなければならいような気がして……」

「この気配、どこかで感じた事がある……」

「偶然ね、私もよ」

 ディーンとメアルは少しばかり真面目な顔をした。

「ここ……だね」

 ギンリュウ達が着いたのはあまりに大きな扉だった。

「コレハ中心部ヘノ扉デスネ」

「中心部まで来ちゃったのね、私たち……」

「でも、ここなら脱出できる手がかりがつかめるかもしれません」

「そうだけど……」

 リエはあまり乗り気ではなかった、何か嫌な予感がしたからだ。

「開けるよ」

 ギンリュウは扉を手で押すと、いとも簡単に開いてしまった。

「……入ってみる」

 ギンリュウを先頭にメアル、ディル、ディーン、バスカル、アスカ、リエの順番で入った。

「ここは……」

「広いわね……」

 そこはただ広い部屋だった、しかし、蝋燭立てが四本があり、部屋の真ん中には魔法陣があった。ここが儀式に使われた部屋に間違いはないだろうと誰もが思った。

「一体、何のために……」

「ここはね、古の魔法を封印するために部屋なのよ……」

「「「!!」」」

 全員が驚いた、そこにいたのは一人の少女だった。

「……!」

「お前は……!」

 現れた少女はスカートの裾を掴み、軽く会釈、そして可愛らしくも不気味な笑みを浮かべた。

「お久しぶりね、ディーン、メアル。そして初めまして、聖鬼神、ギンリュウ・スペイエル……」

「お前は……?」

「私はマリン、あなたと同じ重力グラビティ系の戦乙女よ……」

 ギンリュウはマリンという戦乙女に不気味に思えた……。

すいません、ドゥアーク神殿での任務の話はまだ続きます。

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