第十一話 対決・戦乙女!
いよいよ、戦闘開始です。
間違いがあったので訂正しました。
ギンリュウは幼い頃、ガゾーマから教わった。この世には古の魔法を兵器として扱う奴らがいると、そしてその組織の名前も……。
「“バジリスク”……」
ギンリュウはそう言った。ギンリュウとミリアがいた“レックス”は犯罪をするが、それはあくまで知る事であり、兵器として扱わず、むしろ人間として普通に接してくれた。しかし“バジリスク”は違う、古の魔法を兵器として扱う、その目的は不明。
「まさか、こんな所に出会うなんて、な……」
「そんな事はどうでもいいです、私は私の任務をするだけです」
「ギンリュウ……」
リエは不安になった、今回の任務は護衛、しかしその護衛すべき人達はギンリュウにとって敵、いや“ガーディアン”や世界の恐怖の対象にもなるだろう。
「どうしたんですか?隊長、らしくないな」
「なっ……!」
ギンリュウは皮肉ぽい言葉を言った、リエはむかついて剣を抜いた。光り輝く刃は誰であろうと惹きつけるだろう、その剣の銘は“エクソシスター”。
「うるさいわね!ディネカル、アスカ、戦闘態勢!」
「「了解!」」
「ワタシモ闘イマス!」
バスカルとアスカは槍を構え、ディルも構えた。
「では私たちはもっと奥に行き、調べるとしましょう、ここは任せましたよ」
「了解……」
「ふん、勝手にすれば?」
「では……」
「待ちなさい!」
リエは奥に行こうとする調査団を追おうとするとギンリュウが制する。
「目の前の敵が許してくれなさそうだぜ」
「ちっ……」
「まぁ、あいつらが無事で済むかどうかは別だが……」
「ソウデスネ」
その時、奥から悲痛の悲鳴が聞こえた。
「やっぱり」
「なーにごちゃごちゃ言っているのよ、来るの来ないの?」
「来るに決まっているだろ!」
ギンリュウはディーンと呼ばれた戦乙女に飛びかかる。
「おりゃぁぁぁ!!」
「我を守りたまえ!バース・シールド!」
ギンリュウは“アースバーン”を思い切りディーンに斬りつけようとする、がそれは弾かれた。防衛系の魔法だ。
「くそ!」
ギンリュウは素早く体勢を立て直して後ろに下がる。
「はぁぁぁ!!」
「てやぁぁぁ!!」
リエとディルはメアルと呼ばれたもう一人の戦乙女に飛びかかる、メアルはかなりのスピードで後ろに下がり、二人の攻撃はかすりもしなかった。
「今度はこっちから行くわよ!」
ディーンは手の中に火球を生み出す。
「炎系の魔法?古の魔法ではない?」
しかし、リエの思考は完全に否定される事になる。
「バースト・ボム!」
火球は真っ直ぐギンリュウに向かう。
「まずい!だけど……、グラビティ・レイ!」
ギンリュウは火球を消し、さらにディーンに攻撃をしようとする。
「くっ……!」
ディーンは横に飛ぶがグラビティ・レイはかなりの横幅で避けきれなかった。
「きゃぁ!?」
だがディーンは吹き飛ばされながらもすぐさま体勢を立て直す。
「さすがに天然の古の魔法ねぇ、あの人がほしがるわけだ」
「かなりの威力です、マリンよりも数十%上ですね」
「よそ見していいのかしら?」
「……!」
リエはメアルの後ろに回り込んでいた。
「甘いですね……」
リエは剣を素早く振るが、メアルはしゃがみの際に回し蹴りを食らわした。
「きゃぁ!」
「隊長!」
「あなたもよそ見していいのかしら?」
「!?」
ディーンはギンリュウの顔に手をかざす。
「消えろ!目障りな聖鬼神よ!バースト……」
その時、バスカルがディーンに体当たりをした。
「ぐぅ……!」
ディーンは倒れた。
「大丈夫カ、ギンリュウ?」
「バスカルさん、助かりました」
「モンダイハナイ、シカシ、コイツラハ強敵ダ」
「わかっているわ!」
答えたのはギンリュウではなくリエだった。
「隊長!ディネカルが……」
「ディル!無茶をするな!」
「はぁぁぁ!」
「遅い……」
メアルはディルの首を掴んで、壁に押しつけた。
「ぐわぁ」
その時、誰もが予想しえない事態が発生した。
ガゴッ
「へ?」
「……?」
ディルが押さえつけられた壁が倒れる、すると勢いでやっていたメアルはそのまま前のめりになってしまい、倒れた壁から現れた急な坂にディルと共に入ってしまい、そのまま滑ってしまった。
「うわぁぁぁ!?」
「……!?」
「ディル!」
「メアル!」
そして、その時神殿が揺れ始めた。そしてギンリュウ達の足下が崩れ始めた。
「な、何?って、へ?」
「嘘だろ?」
「なんだと!」
「コレハ……」
「なっ!」
ギンリュウ達はそのまま、落ちてしまった。
「わぁぁぁぁぁ!!」
ドゥアール神殿 下層
ディルとメアルはそのまま滑り落ち、かなり下層の所まで来てしまった。
「いてて……」
ディルは頭をさすりながら上体を起こそうとする、しかし何か上に乗っているのかうまく起きあがれない、そしてぼやけていた視界が徐々にはっきりしてきた。
「えっ……?」
「……?」
上に乗っかっていたのはメアルだった、しかもすごく顔が近い。
「う、うわぁ!?」
「……!」
二人は思わず、飛び退いた。いくら敵同士とはいえ男と女、少しは驚く。
「……」
「……」
二人は黙りこくってしまう、そして先に口を開いたのはディルだった。
「と、とりあえず、ここから離れよう」
「……?」
メアルは頭を傾げた、さっきまで敵同士、普通ならここでも戦うんだと思っていた。
「ここはたぶん一人じゃ、脱出できない、だから協力するんだ」
「……わかりました」
(あ、やっと口を開いた)
「今回だけ、協力しましょう」
「あ、ありがとう」
メアルは立ち上がろうとするとうっとうめき声を上げた。
「大丈夫?」
「どうやら、足を怪我したようです」
ディルはすこし考えた、そして……。
「僕の背中に乗って」
「な、何を言って……!」
「君を置いていけない、だから君をおぶる」
「しかし、私は……」
「敵だから?関係ないよ」
ほら乗って、といいディルはメアルに背中を向ける。いつものメアルなら攻撃を加えるだろう、しかし何故か、彼を信頼し、背中に乗る。
「じゃ、行こうか」
「はい……」
敵に助けられた事ないメアルにとって、ディルは自分の中で不思議な存在となっていた。