表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR

勇者転生を陰から支えます!〜新人転生管理局員は隠れて勇者を守ってる!〜

作者: 土田土
掲載日:2026/07/29

今日も魂が沢山現れる。

毎日の仕事で疲れるが、これは意義のある仕事だ。


「あなたはこちらにどうぞー。はい、次の方もこちらへ」


事務的に魂を誘導しながら、淡々と業務を進める。


今日は確か、私にとって一番大きい仕事――勇者の転生があるはずだ。

担当表を見たときから、ずっとそわそわしている。


「……緊張するな」


書類の文字がいつもより濃く見える。

ミスしたら絶対に先輩に報告されるやつだ。


そんな中、勇者候補の魂がふわっと現れた。


「ちーっす」


……なんだこいつ。

軽い。軽すぎる。

初対面のはずなのに、妙に馴れ馴れしい。


思わず書類を二度見する。

神様の判子はしっかり押されている。

本当に勇者で間違いないらしい。


「でも神様がいいって言ってたしな……」


「お名前は?」


「あ、オレ? カイっす」


「……そうなんですね」


語尾が少しだけ硬くなる。

扱いづらい予感しかしない。

よりによって、今日の大仕事でこれか。


「あなたは今回、勇者に選ばれました。

 選ばれしものの力を使って、民を救ってくださいね」


「じゃ、いってきまーす。来世もできれば勇者でー」


軽い。とにかく軽い。

でも送り出すしかない。


……少し様子をみよう。

後で「ちゃんと見てました?」って聞かれたら困るし。


最初はやはりみんな浮かれるんだな。

平原で魔法をぶっぱなしている。


「ありゃりゃ……強い魔物がわらわらと集まってきたぞ〜」


カイは頑張っている。

魔法も使ってー、体術も使ってー、走って逃げてー……


……って、あれ?

逃げてる?

勇者の力なら、この辺の魔物なんてことないはずなのに。


どんどん囲まれてるけど大丈夫か?

魔物の影が増えていく。輪が狭まるたびに、勇者の足取りが乱れる。


「やばいやばい、もう死んじゃうよ」


本当に死ぬ。

このままじゃ責務どころか、初日で終了だ。


もしこれ死んだら……

絶対に後で呼び出される。

「なんで見てたのに助けなかったの?」って言われる未来が見える。


……仕方ない。私が行くか。


ローブを羽織り、転移陣に足を踏み入れる。

光が跳ねて視界が反転し、次の瞬間には平原の真ん中。


魔物たちが勇者を囲み、牙をむき、地面を爪で削っている。

勇者は必死に魔法を撃っているが、火花が散るだけで威力が足りない。


「――散れ」


空気が一瞬だけ静まり返る。

その静寂を破るように、白い閃光が地面を走り抜け、魔物の群れをまとめて薙ぎ払った。


爆風が砂を巻き上げ、平原に白い煙が広がる。

魔物たちは声も出せずに吹き飛び、地面に転がった。


勇者はぽかんと口を開けたまま固まっている。

目が合った瞬間、完全に「え?」の顔だ。


私はその横に歩み寄り、耳元で小さく囁く。


「あんまりふざけてると死ぬよ」


勇者はビクッと肩を跳ねさせた。


ローブの裾を揺らしながら、そのまま颯爽と去る。

平原の風が後ろから吹き抜けていく。


危なかった。

本当に危なかった。

あれ死んでたら、絶対に後で怒られてた。


この勇者、大丈夫かな。


転生管理局は今日も忙しい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ