8 再会とその後
よろしくお願いします
お互いに魂が呼びあって神の庭で再会する事に成功した。カリナと香里奈はお互いの世界であった事を報告しあった。
カリナの成功に驚いたり香里奈が便利な製品を作ってよりシュトレイン伯爵家を発展させた為に縁談が押し寄せて、クロードから結婚の申し込みも来ているがどうしたら良いのかと相談された。
「勝手に返事が出来ないのでここで会うことが出来て嬉しいです」
「香里奈さんはクロード様の事をどう思った?」
「良い方だとは思いますが、私の事ではありませんのであまり好きにはなってはいません。異世界で好きになった方がいても添い遂げる事は出来ませんので、そこは線を引いてました」
「しっかりしているのね。帰ってから考えてみるわね。私は誰とも付き合ってはいないから安心してね」
「起きられる気になったんですね、良かったです」
「神様と香里奈さんのおかげですわ。すっかり癒されました。神様救っていただきありがとうございました」
超絶美形な神様は「君たちが幸せになったなら良いんだよ」と言った。
何となくだがクロード様に似ている。
「二人とも幸せになったようで良かった。これからも幸運の加護はそのままだが、決して油断してはいけないよ。ずっと見てあげられるわけでは無いからね」
「ここまで手助けをしていただきましたもの、とても感謝しております。唯眠っていたいと思っておりましたのに香里奈さんの世界まで体験させていただきました。神様には本当に感謝しております。これからも毎日お祈りを捧げますわ」
「私は一度亡くなっているのでこのまま消えてしまうのでしょうか?」
「頑張ってくれたお礼に二十二歳になってもらうよ。向こうの世界でカリナが基盤を作ってくれたから安心して暮らすといい。親とは縁を切りたいかい?今ならどうとでも出来るよ。新しい人生を歩んでも良い」
「親はいりません。カリナちゃんのご両親みたいな方たちなら良いですけど。
自分で増やすことが出来るように頑張ります」
「では君たち新しい人生を楽しんでくれ」
「ずっと忘れません、ありがとうございました」
☆☆☆☆☆
香里奈は自分が帰って来た部屋に驚いた。お互いに記憶は交換し合ったが、まさかここまでグレードの高い部屋に住む事になったとは驚きだった。しかも凄いセレブらしい。カリナちゃんって凄い。二十二歳に若返っていると神様が仰ってくださった。
恐る恐るクローゼットの鏡を見た。
頭が小さくて手足が長いバランスの良い体形になっていた。
肌も艶々だ。若いときってこんな感じだったのかな、大事にキープしなくてはと一度年齢を重ねた香里奈は思った。資産がとてつもなかった。人の役に立つような事に使いたいが、直ぐには思いつかなかった。
元の旦那に会うのかと思ったが神様が言われたように全然違う人生になっているようだ。燃え上がり来世を誓う恋でも無かったし今度は慎重に結婚は考えたい。
取り敢えず待遇のいい会社に勤めることにした。小さなITの会社に勤めながら色々仕事を覚えて行くことにした。
ゲームの作成や広告の作成などをしていき、AIで美人が描けるようになった時にはとても興奮した。自分で異世界のカリナちゃんの顔を描いた時には凄く幸せだった。カリナちゃんのご両親やクロード君や神様、従兄のアンドルーの顔を描いている時が至福の時間だった。
会社でも褒められるようになり、小説の挿絵や画集を発表するまでになっていた。香里奈はリリアという名前で有名になっていった。勤めていた会社と契約をし作者として活躍をする道を選んだ。取材のために世界のイケメンや美女の写真を撮りに海外に出かけることも多くなった。勿論海外からの観光客もターゲットにした。そしてマネージャーとして雇った彼は大学の同級生だった。
たまたま飲みに入った居酒屋で外国人相手に楽しそうに話をしていた日本人が、見知った同級生だったので驚いて見つめてしまったのがきっかけだった。
香里奈の作品をスマホを持って得意そうに話していたのだ。
聞いてみれば居酒屋でスマホの待ち受けにしていた絵を褒められたことが、盛り上がる原因だったとか。
作者である事を秘密に横で聞いていた香里奈はあまりの褒められ方に照れてしまい真っ赤になっていたらしい。
それを酔ったと勘違いした元同級生澤井蔵人が送って行くと譲らなくなったのが、マネージャーになって貰ったきっかけである。
勿論直ぐに送って貰うような危険は犯さなかった。取り敢えずメールの交換から始めた。それから少しずつ正体を明かしていった。リリアが私だと知った時の澤井は腰を抜かすくらい驚いてくれて、お腹が痛くなるまで笑った。
一緒に海外に行くが恋愛感情は無い。仕事に恋愛感情は持ち込みたくはなかった。とても優秀なマネージャーなので満足だ。香里奈は面食いだと思っているらしく一線を引いてくれているのも好感が持てる。
五ヶ国語は話せるのに香里奈なんかのマネージャーで申し訳ないと思っている。外務省でも入れそうだと雑談で言うと気が楽だからだそうだ。それはそうだろうけど、年を取ってから困っても知らないからね。首にする気は無いけど一度死んだ身には先のことが気になるのだよ、澤井君。