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6 カリナ(香里奈)とクロード

読んでいただいている皆様、ありがとうございます。よろしくお願いします

「そういえばクロード君を覚えているかしら。こちらへ里帰りした時にカリナの後を付いて歩いていた可愛い子がいたでしょう。すっかりカリナに懐いていてカリナが帰国するときに嫌だと泣いて大変だったあの男の子よ。小さかったから覚えていない?」

「弟みたいな小さな子がいたような気がします。お姉さん気取りで面倒をみていたような」

「この間お兄様の所でクロード君に会ってね、ぜひ会いたいとお願いされてしまったの、どうかしら」

「懐かしいです。ぜひとも会いたいです。伯父様やアンドルー兄様もお元気ですか?」

「皆元気よ、カリナのことを心配しているわ。体調が戻ったらお茶会を開きましょう」

「はい、毎日少しずつ歩いて体力を戻そうと思います」




カリナちゃん皆に愛されているんじゃない。今は私が代理だけど愛情を満たんにしたらきっと入れ替われる。心の傷も治ると信じれる気がしていた。



庭に出られるようになった。転ばないように侍女に手を支えられてゆっくりだが歩けるようになった。ずっと眠っていた弊害は脚に来た。向こうの世界で言うリハビリ中だ。

季節は春になっていた。

少しだけ冷たい風が陽射しの中で暖まって、桜やチューリップやデイジーや薔薇が咲き誇っている。空は青く白い雲がふわふわと浮かんでいた。空気も気持ちがいい。



お茶が東屋に用意されていた。茶器が二人前用意されている。誰か来てくれるのだろうか。

現れたのはクロード・ヘミングス様だった。小さいと思い込んでいたのに、いつの間にか身長は追い抜かされて細マッチョな身体になっていた。

伯父様のところで再会して以来良く訪ねてくるようになった。神様の作られた最高傑作ではないだろうか。超絶美形である。銀の髪に藍色の瞳で吸い込まれそうだ。異世界って顔面偏差値が高すぎる。アンドルー兄様もかなりの美形だ。



元の世界に帰ったら理想が高すぎて、男性を見てもときめかないんじゃないかしら。不安だが一度死んでいるのだからまた生を受けるとは限らないので、あまり考えないことにした。


クロード様は伯爵家の次男だそうだ。魔法が得意らしくお父様に師事をしている。カリナちゃんも小さな頃から天才の指導を受けていたのでそれは凄い魔力を持っている。元婚約者には隠していたらしい。


美形とお菓子をいただきお茶をゆっくり楽しんだ。至福の時間である。小さな時みたいにクロードと呼んでよというので呼び捨てにすることにした。


「大分歩けるようになったようだね、僕も少し協力したいな」


うう、なんていい子なの。いけない、若者だった。


「お願いするわ」

「カリナの事情は聞いたけど好きだったの?元婚約者」

「無理やり決められたけど悪い人ではないかなくらいな感じだったわ。八年間婚約者だったけど一緒に教育を受けたのは三年くらいかしら。最初はお茶も飲んでお話もしていたから多少の友情はあったかな。でも段々すっぽかされるようになって、選りにも選ってこの私が石如きに負けたのよ。悔しくて、私の八年間を返せって思ったら虚しくなったの。何もかも嫌になった。だからふて寝の本格的なものをやってみたの。もう何とも思ってはいないわ」


「酷い王子と国だな。逃げ出したくなって当然だ」


「心が楽になったからもう良いのよ。これからは自由だわ。あれはいけません、これははしたないですとか言われっぱなしで、詰め込まれてがんじがらめだったから、それがなくなっただけで充分なの」

「王子妃教育って大変なんだな。これからは馬に乗って駆け回ったりピクニックへ行ったり街にも出かけてみよう」

「ピクニック以外したことがないから楽しそう」

「十四才だろう、これからだよ、楽しいことたくさんしよう」

「ええ、よろしくね」

十三歳のクロード様は爽やかに笑った。



こちらの世界はエアコンのような物はあったが魔石で空気の調整をしていた。なので魔石を買える貴族ほど快適な生活をしていた。


しかし冷蔵庫がなかったので魔石を入れた物を作ってもらった。暑い夏には冷たいものを食べたいし食料が腐りにくくしたかった。数を沢山売って平民の世界でも食中毒が流行らないようにした。冷蔵庫は必需品でしょう。お父様がクズの魔石を分からないように特級品に変え中に埋め込めるようにしてくださった。

お父様の魔法は最高だった。


暖炉は贅沢品だった。本物の火を見るのが貴族としてのステイタスだった。前世と似ている。


薪や石炭を運ぶ車も魔石を入れて作ってもらった。重い物を運ぶのは男の使用人の仕事だけど、部屋の数が多いから貴族の屋敷では好評で我が家の専売特許で飛ぶように売れて行った。


連絡手段として魔石を入れた電話のようなものを作った。お父様の部屋とお母様の部屋に付けてあげたら泣いて喜ばれた。クロード様の屋敷の私室と私の部屋、アンドルー兄様の家にもプレゼントした。評判が広がり我が家は益々大金持ちになっていった。



それとともにカリナへの釣書はうず高く積み上がっていった。父は病弱を理由に断っていたが、また王家から申し込まれてしまえば同じことの繰り返しになる。

クロードにカリナへの想いを尋ねることにした。次点はアンドルーである。



シュトレイン伯爵家に呼ばれたクロードは先にカリナと話をさせて欲しいとお願いをした。カリナは初恋の女の子でずっと想いを寄せていたが、一度王子と婚約をしていたのでその想いに蓋をした。

彼女の意思を無視して婚約を結ぶ気はなかった。結婚が出来なくても側にいたいと再会してから思うようになっていた。

ではどうやって側にいるか、シュトレイン伯爵家の事務官にでもなろうかと考えていた。実力は王宮でも充分な程だったが、カリナの姿が見えることが最優先だった。


庭に誘いカリナに話を切り出した。

困ったのは香里奈である。嫌いでは勿論無いけれど、いずれはカリナに身体を返さなくてはいけないのだ。自分の気持ちでは返事は出来ない。

神様の庭でカリナちゃんに会えないか祈ってみようと思い、急に言われたのでと誤魔化し返事は待ってもらった。


誤字報告ありがとうございます、訂正しました。

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