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12 婚約式

よろしくお願いします

 婚約式の日になった。小さな教会でお互いの家族だけが立ち会って婚約者同士がサインして国の見届人が受け取って国に提出すれば終わる。

簡単だが大事な儀式である。不正が無いように書類は直ぐに宮殿の陛下の所へ届く仕組みになっている。



昔一方的な思いで婚約届けを出した者がいて、知らなかった相手が多大な被害を被った事があるそうでこのシステムになったそうだ。

いるよね、思い込みの激しい人って。あっ私香里奈さんの話し方に似てきているわ。自分だけの時は良いけど気をつけなくてはいけませんわ。ホホホ。



今日は薄い水色の詰襟と袖口にレースがあしらってあるプリンセスラインのドレスをクロードが贈ってくれて、真珠のネックレスとイヤリングを着けている。


一目見たクロードが声を失っているのが可愛すぎた。格好良いのに可愛いってずるい。

「美しいよ僕の女神、良く似合っている」

と言ってくれたのは嬉しかった。

クロードは真っ白のタキシードだ。金の蔦の刺繍が入っている。キラキラしている。前髪を上げていてプリンスぶりが半端ない。

「クロードも素敵よ」


向こうの言葉でハートを撃ち抜かれたと言うみたい。なんてことクロードが素敵すぎて辛い。



クロードのご両親は若くてイケメンと美女でお義兄様はがっしりした騎士様という感じだった。お義兄様はお祖父様に似ているらしい。クロードはお義母様にそっくり。

三人とも私たちの結婚を賛成してくださった。今夜は両家で夕食会になる。

お父様たちはお酒の話で盛り上がっている。お母様達は女同士の話かしら。今日会ったばかりだから緊張するわね。でも貴族のお茶会に沢山出ているお母様達は只者じゃないわ。


私はクロードの側でまったりしよう。朝から準備で疲れてしまったの。

身体強化魔法を掛けてもいいけど、駄目ね使い道が間違っているもの。お母様達は凄いわ、お元気だわ。見習わないと。


晩餐が済むまでは気を張ってないとレディとして失格だわ、頑張ろう。



「もう少しだから頑張ろうね」

「大丈夫しっかりするわ」

私達は微笑みあった。


周りが温かな雰囲気で見てくださっているのを自分たちの世界に入っている私達は気がついていなかった。



晩餐は和やかな雰囲気で進められた。予想通りお父様達は朝まで飲み、お母様たちはお茶を楽しみお義兄様は朝が早いからと早めに休まれた。


私はクロードに凭れ掛かりながら話をした。

「これでカリナは正式に僕のものだ。結婚まではまだ油断はできないけど」

「クロードしか見ていないわ」



クロードが髪を掬って口づけをした。瞳に熱がこもっているのが分かる。

「そういえばクロードの得意な魔術は何?」

「今更?風と氷だよ。カリナは全属性だよね。見せてもらったことはないね」

「お父様が他人に見せると危険だから隠しておきなさいって小さな頃から言われるから秘密にしていたの。クロードになら見せてもいいけどきっと驚くわ」

「またでいいよ、もう眠そうだし」

「クロードに髪を撫でてもらうの好きだな、気持ちが良い」


クロードは髪を撫でながら顔中に口付けを落としていった。

「はあ、甘い。可愛くて理性が焼ききれそう。後七ヶ月の我慢だ」

「何が焼けるの?それ美味しいもの?」

「眠そうだね、ちっとも美味しくないよ。カリナのほうが美味しそうだ」


そう言うと口の中に舌が入ってきた。相変わらず口づけが上手い。気持ちが良くなってきた。蕩けそうだ。誰かと経験したのかな、許せない。

「誰ともしてないよ、カリナだけだって言っただろう、信じれないの?」

「声に出して言った?」

「言ってた、かわいー。ベッドに運ぶよ、着替えさせてもらわないとドレスが皺になる」

「やー、一緒にいて離れたくない」

「とんだ甘えんぼさんだね。着替えたら直ぐ来るから。眠るまで一緒にいてあげるから待ってて」


メイドに頼んでドレスから寝間着に着替えさせてもらいクロードに同衾してもらって朝まで眠っていた。朝目が覚めたら同じベッドにクロードの麗しい顔がドアップで入ってきたので驚いてしまった。


「私ったらなんてことをしてしまったのかしら」

「昨夜のカリナは甘えたでとっても可愛かったよ。夕食の時に飲んだ軽いお酒で酔っていたみたい。疲れもあったかもしれないね。身体は魔術で綺麗にしたから気持ち悪くないでしょ。おば様に同衾の許可をいただいたから安心して。手は出していないよ」

「ごめんなさい、クロード」

「幸せだったし可愛かったから良いけどある意味拷問のようだった」

「目の下に隈が出来てる。それも色っぽいけど、ごめんね、回復魔法をかけるね」

「煽ってくると歯止めが利かなくなるよ、気を付けてね。ウエディングドレス着たいでしょう?」


漸く意味の分かったカリナは何度も頷いた。

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